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2018年 米中新冷戦開始の頃 回想

今、トランプ大統領が中国を公式訪問している。何が目玉なのかよくわからない。2018年頃から米中は冷戦状態にあるはずなのだが、トランプはレア・アースの禁輸で脅されて以来、すっかり腰砕け。中国との関係のどこが問題で、どこをどう直したいと思っているのか、ぜんぜんわからない。

だから、ここでは、2018年時点ではどんな感じだったのか、思い出すことにする。メール・マガジン「文明の万華鏡」第78号からの復刻だ。

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 10月4日ペンス副大統領はハドソン研究所でスピーチし、米国は中国の挑戦をこれまで過小評価してきた、これからはあらゆる分野での挑戦に対抗し、勝利するつもりであると述べて、実質的な「冷戦布告」を行った。

彼は、言う。

・クリントン、ブッシュ、オバマの歴代政権は中国の台頭の意味を完全に読み違えていた。中国は戦略的パートナーであり、米国主導の国際秩序の中にエンゲージすることで、正常な市場経済、民主主義の法治国家となるresponsible stakeholderなのだという考え方に賭けたのだ。

・米国はその賭けで敗れた、トランプ政権はその結果を処理することを迫られている。トランプ政権は中国との貿易戦争を何年でも続ける覚悟であり、しかも必ず勝利を治める決意でいる。

・中国は中間選挙も含めて米国内政に干渉しようとしている。中国は米国の実業界、映画界、大学、研究所、マスコミ、そして政府関係者を餌でつり、脅しで強制し、特定の議員の選挙区に狙いを定めて工作を仕掛けている。ロシアが米国に対して仕掛けていることを、中国ははるかに上回っているのである。

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これに対して、これまで「トゥキディデスの罠」という言葉で米中衝突を予言してきたグラム・アリソン・ハーバード大教授は、13日のFinancial Timesでこう言っている。トゥキディデスとは古代アテネの歴史家。その著書『戦史』1で、アテネの勃興と膨張、そしてそれをスパルタ連合が破る経緯を正確、かつ平家物語のような情感をもって描いている。

・戦略というものは、最終目的と手段と実力がうまくかみ合ったものでないといけない。中国との全面的な対決は果たして可能だろうか? 購買力平価で計測すれば、中国の経済は米国のそれを既に上回っているのである。そして中国は、主要なアジアの国々すべてにとって最大の貿易相手なのであり、2008年の金融危機以来、世界経済の成長のエンジンなのである 。

・そして米国は、同盟国・友好国を中国との対決に協力させることはできるだろうか? 豪州や日本のような同盟国は米国に対して、自分達の米国との安全保障面での関係は重要だが、そのために中国との経済関係を捨てるようなことはしたくないと言ってきている 。

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このアリソン教授の言うことは、経済面では中国を持ち上げすぎている。中国は2000年代毎年30兆円を超す外資の流入(貿易黒字と直接投資を加えたもの)と、それを国内のインフラ投資で膨らませて急成長を成し遂げたものである。2008年リーマン恐慌に対して60兆円程の財政支出・国営銀行による融資で切り抜け、それが鉄鉱石等への需要となって世界経済を一部支えたのは事実だが、2010年代は再び貿易黒字・直接投資による外資の流入と国内インフラ投資に依存する経済モデルを続けている。

その結果、中国の輸出の50%は今でも外資系企業によると言われている。トランプの措置は、貿易黒字と直接投資を大きく減らすもので(米国が関税を上げると、中国で対米輸出品を作るのは引き合わなくなるので、外国は中国への直接投資を減らすだろう)、中国の成長のエンジンに棒をつっこんだのと同じ致命的な効果を及ぼすだろう。

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米中の対決で日本にとって問題があるのは、対決が軍事面に及ぶと、日本は非常に難しい立場に置かれるということである。米ソ冷戦時代のソ連は、在日米軍基地や自衛隊基地を叩ける核ミサイルを持っていなかった。中距離ミサイルは1987年の中距離核戦力全廃条約で、相互に放棄していたからである。ソ連との対立は、日本にとってはアメリカに付き合う程度のことだったのだ。

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ところが中国は、日本に到達する中距離ミサイルを100基以上は保有していると見られている。これを抑止する自前の手段を日本は持っていないし、これからも持てないであろう。米国の「核の傘」もとても十分とは言えない。中国は日本にとって、冷戦時代のソ連をはるかに上回る、「リアルな脅威」なのである。

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トランプ自身がどこまでペンス副大統領の反中姿勢を共有しているかどうかは、わからない。彼は貿易赤字のことしか考えていないかもしれない。「米中新冷戦」もナンボのものなのか、もう少し見極める必要があるだろう。

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