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投稿者: akiokawato

  • ロシア議会選挙開票結果は操作されたか? ChatGPTと調査

    18日~20日のロシア下院選挙。開票結果、ずいぶん手際よく、それも与党大勝利として発表された。少しおかしい。以前は当局が開票結果を操作していたが、批判をくらって控えるようになっていた。今回は戦争の重圧の下、開票結果操作を再び強化したのではないか。あるいは社会のIT化が進み、個人が行動を当局に把握される度合いが増えた今(モスクワの地下鉄は顔認証で使える。そして街には監視カメラがびっしり)、人々は自分の投票行動を当局に把握されていることを想定して、当局の好む方向で行動するようになっていないか。そうしないと、戦争に動員されたり、脱税を厳しく指摘されたりしかねないからだ。

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    そう思って、ChatGPTにロシアや外国の報道を調査してもらった。

    その結果は次のとおり。ChatGPTの報告だ。

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    お早うございます。ご疑念にかなり近い報道が、ロシア語の独立系メディアから出ています。 下院選の投票は18日から20日までの3日間で、21日に中央選管は、開票が約95%進んだ段階で与党「統一ロシア」57.83%、全450議席中355議席との見通しを発表しました。2021年の得票率49.8%から大きく伸びています

    とくに踏み込んでいるのは、ロシア語放送「ナストヤーシチェエ・ヴレーミャ(本当のニュース)」の21日の取材です。選挙監視団体「ゴロス」の元共同代表アンドレイチュクは、実際の投票率は公表値59.32%より15~16ポイント低く、統一ロシアの実際の得票率も35~40%程度との推計を示しました。別のデータ分析者も、与党票に大量の水増しがある可能性を指摘しています。ただし、これらは監視者・分析者の推計であって、独立した全国再集計で確定した数字ではありません。

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    手口についても、同記事は監視員の排除、票の投入や集計記録の書き換えを疑う現場報告を紹介しています。選挙前には調査報道「ヴァージヌィエ・イストーリイImportant stories」が、新しい集計システムでは紙の記録を手入力・修正できるなど、結果を操作し得る箇所を指摘しました。但し、操作できる構造があることと、今回そこで実際に操作が行われたことは、分けて考える必要があります。

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    もう一つのご指摘、つまり「有権者が監視を意識して当局に従う」点にも具体的な報告があります。アンドレイチュクによれば、今回は職場から投票を命じるだけでなく、職場が指定した候補に印をつけたことを示す(注:ロシアの投票は、候補者がずらっと印刷されていて、投票したい者に印をつける仕組み)画面写真や投票用紙の写真を送らせるという訴えが、2021年より多かったそうです。

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    したがって、今回の大勝を説明する要因は一つではなさそうです。反戦候補・政党の排除、職場を通じた投票への圧力、監視員排除と集計操作の疑いが重なっています。ご推測のうち「反対票を投じたら徴兵や税務調査で報復されると考えた人が、どの程度いたか」までは、現時点で確認できる調査を見つけられませんでした。ただ、票の秘密を疑わせる具体的な圧力が報じられている以上、その心理的効果を軽視することもできません。

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    なお、「以前は批判を受けて開票結果操作を控えるようになっていた」という見方には留保が要ります。2021年の下院選でも大規模な不正疑惑が報じられていました。今回は、戦時下の抑圧に加えて、疑惑の規模と監視の難しさが一段増した、と見るのが適切だと思います。

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    ここで小生からコメント:

    「ミシュースチン首相が個人と政府をインターネットで結ぶシステムを強化し、市内は監視カメラがまんべんなく監視するシステムができて、ロシアの場合、テクノ専制主義ができてきた。まさにジョージ・オーウェルの世界。

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    ChatGPTの応答:

    そうですね。電子行政は市民にとって便利ですが、国家の側から見れば、税、住所、就業、徴兵資格などを結びつける基盤にもなります(注:その通り。動員招集令に応じていない者は、国境で出国を止められるようになっている)。そこに街頭のカメラと顔認識が加わると、「見られているかもしれない」と思わせるだけでも、人の行動を変えられる。先ほどの選挙で、投票先を示す写真を職場に送らせたという報告は、その怖さをよく表しています。

    オーウェルとの違いを一つ挙げるなら、いまの仕組みは窓口に並ばず手続きが済むという便利さを通じて生活に入り込むことです。だからこそ、監視に転用されたときにも切り離しにくいのでしょう。

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    小生からコメント:

    ああ、あと顔認識技術の普及。地下鉄は顔パスで入れるらしい。これは怖いよ。投票所に行ったかどうか、街頭の監視カメラで正確に把握できる。

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    ChatGPTの応答:

    ええ、モスクワ地下鉄には顔認識で運賃を払う「Face Pay」があります。顔を登録して改札を通れるのは事実です。

    ただ、今回、そのような照合が全国的に行われたという証拠は、今のところ確認できません。

    怖いのは、ご指摘の通り、有権者にその区別が見えないことです。「政府は自分が行ったかどうかを知っている。投票先まで分かるのでは」と思えば、それだけで自由な投票は萎縮します。

  • 2008年9月 ロシアの秋

            

                              

    今は2026年の9月。18~20日ロシア下院の総選挙で与党「ロシアの統一」が議席の3分の2以上を取る大勝ちで終わったばかり。あまり手際のよい勝利で、ちょっと胡散臭いのだが、これでプーチン政権は勢いづく。ウクライナ戦争にさらに兵力とドローン、ミサイルを投入し、息が上がったウクライナを蹂躙するか、という情勢。

    そんな一文を書こうとしているが、昔2008年の9月に書いた随筆をとりあえずアップしておこうと思う。戦争をしていないロシアは、詩情に満ちた国なのだ。これは、以前のブログからの復刻である。

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    ロシアの秋

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    秋になった。あっと言う間に終わってしまうが、ロシアの秋は昔から、詩のかっこうの題材だ。

    遥かな草原、悠々たる大河、清楚な白樺の林、そして葉が黄金に色づいていく梢の上に抜けるように澄んだ青い空。ごみごみした街中から1時間も車で走れば、広い々々空間を独り占めできる。グルジア戦争とか金融市場の崩壊とかいやなニュースが続いたので、今日はこのロシアの秋の楽しみ方について話したい。

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    外国人でロシア語ができないとなると、バレーやオペラぐらいで楽しみも終わってしまいがちだが、ロシアは歴史と文化と自然(そして様々の人間のタイプ)の宝庫だ。プーシキンとかエセーニンとかマヤコフスキーなどの詩人、あるいはブルガーコフ、パステルナークなどの作家、その他、その他と自分の好きな分野の人の伝記か作品をまず読んでみる。そしてそれにゆかりの家や名所を訪れる。すると発見は無限に広がり、ロシアという奇想天外でスケールの大きな存在を少しは感じとることができる。

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    たとえば戦前の頃の有名な作家ブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」(翻訳が出ている)を読んでみる。これは大体モスクワを舞台にしていて、冒頭の方で出てくる「作家同盟」(ニキーツキー通り)の古い建物。これは確か誰か貴族か大商人の館だったと思うけれど、今でも昔のまま19世紀西欧風のインテリアで、大変高価なレストランになっている。ここでレセプションをやれば、ばっちりきまりだ。

    そのそばの長老池の前には昔市電が通っていて、作家同盟の架空の幹部ベルリオーズというのが転んで市電に首を轢き切られてしまう。で、そのあたりに「マルガリータ」というカフェーがあって(もうつぶれているかもしれない)、そこはソ連時代末期からオートバイをぶっ飛ばす雷族のたまり場だったのだ。

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    「巨匠とマルガリータ」の舞台の一つは、戦前に党・政府幹部達の「公務員アパート」として建てられた「川岸の家」で、これはクレムリンからモスクワ川を隔てた対岸にある灰色の巨大なコンプレックスなのだが、今では外国人や金持ちが入居している。一つの建物の中にスーパーや映画館や劇場やスポーツ・ジムまで備えた、この昔の特権の固まりは、今では見学コースもできているらしい。

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    ウラル山脈に近いペルミという工業・学術都市に行ったことがある。流れも豊かなオカ川のほとりに横たわる瀟洒な町だが、ここにノーベル賞ももらったパステルナーク(例の「ドクトル・ジバゴ」を書いた人です)がしばらく滞在した家、というのが残っている。このペルミは「ドクトル・ジバゴ」の中ではユリャーチンという名で出てきて、ドクトル・ジバゴはここでラーラと偶然再会するのだ。今でも印象に残るその再会の場はユリャーチン・ペルミの図書館なので、僕はペルミの図書館に行ってみた。映画とは全然違う、あっけらかんとしたただの箱みたいな建物で、ラーラのような女性も見当たらず、すっかり失望して帰ってきたのを覚えている。

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    ジバゴと言えば映画では、ペテルブルクの広い通りを走る市電から長い間会えなかったラーラが歩いていくのを見かけ、急いで降りて駆け寄ろうとしたところで心臓麻痺で息絶えたことになっている。でそんなものかなと長い間思っていたのだが、ある日原作の小説を読んでみたら、ジバゴが電車に乗っていたのはモスクワのチャイコフスキー音楽院前のニキーツキー通りで、動物園の方に向かう途中でラーラを見かけたことが判明したのだ。映画の情景とはちょっと違う、わりと散文的な景色の中でジバゴは死んだことになる(どうせフィクションですが)。まあそんなこんなで、ロシアでは方々で小説の舞台に出くわすから結構面白い。

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    いや、そんな子供だましでは面白くない、という人のためにも、ロシアは様々のエンタメを提供してくれる。極めつけはやはりミュージカルだ。あのきれいなロシア語に翻訳された「ノートルダムのせむし男」や「ジーザス・クライスト・スーパースター」を、モスクワ音楽院を卒業したようなプロが、今の石油景気そのままに豪華絢爛な舞台に演ずる。ロシア人の演ずるアメリカ・ミュージカルだが、その水準はブロードウェイ以上だと僕は思っている。

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    週末には郊外の宮殿などに行くと(モスクワだったらクスコヴォなど)、コンサートをやっている。最高の雰囲気の中で室内楽を聴くのは、最高の贅沢だ。景気が悪くなったら、こんなことでもしてせめて気持ちだけでも豊かに過ごそう。ロシア人も以前には、そうやって暮らしていたのだ。                         

    (以上、秋の随筆になっていませんがすみません)

  • 「国家戦略」など必要か? 可能か?

    昨日、あるセミナーでの議論を聞いていてふと思った。みんな、よく「日本には国家戦略がない」と言うけれど、もともと国家というものは蜃気楼。社会に余剰生産物、富ができると、それを差配する人間が現れる。こういう人種は、手に職を持たない、一種の「余計者」。これが社会の富を差配して、自分の野心、思い込みを実現しようとする。それが国家戦略?

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    個々の人間が求めるものはまともな暮らしと安全と自由。国家は安全を保証してくれるだけで十分。暮らしの方は、自分の腕、あるいは企業で働いて確保する。

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    社会の富を差配するエリートは静かにしていてくれればいいのに・・・

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    米国のかつてのネオコン、ロシアの帝国主義者、みんな世界でよけいな騒ぎを起こした連中だ。

  • ChatGPTによるウクライナ停戦シミュレーション

    ロシアは18~20日下院総選挙。与党「ロシアの統一」からどのくらい票が逃げるかが焦点。「ヤブロコ」などの野党は、当局に難癖をつけられ、選挙への出馬を閉ざされたが、まだ共産党が残っている。ソ連共産党はエリツィンが超法規的に解体し、その残骸がロシア共産党として今日に至る。エリツィン時代には本当に野党だったが、今はそうでもない。当局に公用車とか公邸を提供されて寝返る連中もいる。

    ロシア市民はそれを知っているから、老人以外に共産党に投票する人は少ないのだが、今回はウクライナ戦争反対票が共産党に流れる可能性がある。ロシアの選挙は以前なら、開票操作で結果を随分脚色することができたが、批判されて、だんだん操作できる余地が狭まっている。いつ開票結果が発表されるかはわからないが、わりと面白い。発表が遅れるようなら、「問題が生じた」のだ。

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    それよりも、総選挙が終わったらプーチンは戦争への動員を強化して、大攻勢をかける(もう冬なのに)とか、NATO加盟国に攻撃をしかけるとか、いろいろの観測がかまびすしい。シミュレーションをしてみたいところだ。

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    しかしシミュレーションをすると言っても、ウクライナ、ロシア、EU等々は、一つにまとまった存在ではない。ウクライナではゼレンスキーを引きずり降ろして自分の利権を回復したい寡占資本家たちとか、欧州ならドイツ、フランス、英国それぞれ違ったもくろみで動く上、それぞれの国内で親露・反露勢力がせめぎあったりしていて、それらが勝手に動いて展開する「ゲーム」は複雑至極。「精緻な予測をしてみたい」と思って考え始めても、思考はじきにフリーズし、寝落ちすること必至。

    で、こういう面倒な計算はAIにやらせるのに限る。でも、どのくらい、今の国際情勢を勉強しているかな、ひとつお手並み拝見、と思って、ChatGPTに聞いてみた。

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    僕の設問

    (設問が大事なのだ。ただ、「何々はどうなるか、予測してみてくれ」だけでは、おざなりの回答しか返ってこない)

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    お早う。ウクライナ戦争にからんで欧州の政治地図は2年後くらい、どうなり得るか、シミュレーションをしてみてくれないか? 詳しいアウトプットは不要。次のactorsの動き、それぞれ内部の政治力学の推移、経済力の推移を勘案して。

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    Actorsとその特性は次のとおりだ。他にもあるかも。

    ウクライナ:カネがない。EUから来る予定であるが。

          戦う人が足りない。

          汚職がどの程度、戦争遂行を妨げているのかわからない。

    ロシア:財政赤字拡大しているが、経済的余力はウクライナよりある。

        兵士が足りない。18日の総選挙後、動員強化しても、皆逃げるだろう。

        戦争終結しても、ロシア経済は正常化できまい。軍需部門で失業が生じるかも。

        ロシアには、NATOを本格的に攻撃する力はあるまい。

    米国:トランプはウクライナから手を引こうとし続けるだろうが、CIA等は支援を続けるだろう。

        次の大統領選で民主党が勝利すれば、ウクライナへの関与を強化するだろう。それまでウクライナがもつかどうか。

    欧州:欧州は、ロシアが攻撃してこない保証を得られれば、ウクライナでは譲るだろう。

       もともと、2014年ロシアがクリミアを併合した時、欧州はウクライナを犠牲にしてロシアと手を打とうとした(ミンスク合意)。

       わからないのは、ドイツ。メルツは本気で軍備を強化しようとしていて、それは戦後のドイツの顔を変えるだろう。それは対    

       米自立化、フランスとの競合、対ロでのfree handをもたらす。

       AfDが中央での力を増大させ、対ロ宥和政策を推進した場合、それはメルツの政策にどう作用するか。

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    それぞれのActorの内部の権力構造、政策は変わっていく。それらの組み合わせは無数のシナリオを生む。そこで僕の思考は停止する。貴兄は計算し抜くことができるだろう(但しそれを全部書くことはしないで欲しい)。

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    1)そこで貴兄に頼みたいのは、2年後くらいの欧州情勢(米国、ロシアの関与も含めて)はどうなっているか、actorsの内部変化まで勘案した場合、主なシナリオはだいたいいくつくらいあるか(細かく言えば、QRコードのように無数にある、ということになるのだろうが)、貴兄のシミュレーションの結果を知りたい。

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    2)シミュレーションの結果はおそらく次の基本的構図のいずれかに分類できると思われるが、他に構図はあり得るか? 貴兄はどの構図の蓋然性がいちばん大きいと思うか?

     ① 戦争継続。ロシアもウクライナも疲弊。国家的coherence、経済の維持に困難。

     ②現下の戦線で停戦。ウクライナでの大統領選で、好戦的候補が勝つとどうなるか?

     ③ロシアが戦争に特化した経済からの脱却、西側資本の再招致に失敗し、混乱へ。

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    3)同じく重要な問題としてNATO、つまり米欧同盟はどうなっているかがあるのだが、これも米国、英仏独等の内部での変化があるので、シミュレーションは難しい。

    だからシミュレーションは不要。その代わり、次の見方についてどう思うか、教えてほしい。

    「小生は、米欧同盟は維持されると思う。米国にとって欧州での基地・拠点の維持は、米国自身にとって必要。中東、アフリカでの作戦の中継地だから」

    以上、時間かかって構わない。もし、このようなtask執行の態勢はまだないのだったら、franklyにそう言ってくれ。

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    ChatGPTの回答:

    (珍しく長考。それでも40秒もかからなかった)

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    お早うございます。結論から言えば、二年後の欧州で最もありそうなのは、どっちつかずのもの――

    正式な和平はないが、現在に近い戦線で大規模地上戦だけが縮小し、ドローン・ミサイル攻撃と局地戦が続く「武装休戦」

    だと思います。その確率をあえて付ければ、約40%です。

    以下は、2026年9月時点から2028年秋までを見通した簡易シミュレーションです

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    来年秋に向けてのシナリオは大きく言って五つ。

    細かい分岐は数百通りになりますが、政治地図として意味のある終着点は、ほぼ五つに整理できます

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    1) 武装休戦・暫定停戦または戦闘の大幅縮小。領土問題は棚上げ。ドローン攻撃と再軍備競争は継続: 蓋然性 40%

    2) 消耗戦継続  前線は少しずつ動くが決着せず、両国とも国家機能を削られる: 蓋然性 25%

    3) ウクライナ側後退 兵員不足・防空力不足・政治混乱が重なり、ロシアが追加領土を獲得。その後停戦:蓋然性 15%

    4) ロシア内部危機  財政・燃料・地方経済・権力継承問題が重なり、戦争遂行能力が急低下:蓋然性 10%

    5) 戦争再拡大 停戦交渉失敗、あるいはNATO周辺への事故・攻撃から戦闘が拡大:蓋然性 10%

    (確率は数理的な予報値ではなく、actorsの能力・政治的意思・制約を組み合わせた判断値です)

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    以下、細かい点を述べます。

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    ・「武装休戦」が最もありそうなシナリオですが、朝鮮戦争型の明確な休戦協定よりも、もっと曖昧なものになるでしょう。

    つまり、ロシアは占領地を保持する。ウクライナは領土割譲を法的には認めない。欧州はウクライナへの資金・武器供与を続けるが、領土奪回まで支援するとは言わなくなる。米国は仲介者を自称しながら、ウクライナに攻撃抑制を求める。

    両軍は前線での大攻勢を控えるが、ドローン、特殊工作、石油施設・発電施設への攻撃は断続的に続く。

    現在すでに、米国がエネルギー施設への相互攻撃停止を働きかけ、ゼレンスキーが「ロシアが本当に守るなら応じる」と述べています。これは全面和平よりも、まず戦争を細切れに停止する方向を示しています。

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    ウクライナ

    ウクライナは「倒れる」というより、自力で戦争を続けられない国家として、EUに半ば財政統合される可能性が高いと思います。

    EUは2026~27年向けに900億ユーロの融資を決めました。これはウクライナ国家財政の崩壊を防ぐには大きいですが、戦争に勝つために十分とは限りません。ウクライナの2026年財政赤字は公式見込みでも約430億ドル、GDPの約二割で、実際の戦費はさらに上振れする可能性があります。

    そして最大の制約はやはり、カネより兵員です。EUは財政赤字を埋められても、ウクライナ人兵士を供給できません。したがってウクライナ軍は、前線の短縮、ドローン重用、防空と要塞防御への集中、ロシアの石油・兵站施設への長距離攻撃へ傾くでしょう。

    汚職は戦争遂行を直接崩壊させるほどではないと思います。しかし、徴兵が不公平だという認識、軍需調達への不信、EU資金の条件厳格化を通じて、兵員不足を悪化させます。現在も検察と独立反汚職機関の対立が政権を揺さぶっています。

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    停戦後の大統領選挙で強硬候補が勝っても(注:河東はこれには賛成しない)、直ちに全面戦争を再開するとは限りません。兵員、弾薬、欧州資金という制約は、誰が大統領でも同じだからです。ただし強硬派政権は、占領地のロシア領承認を拒否する、NATO加盟要求を維持する、ロシア国内への秘密攻撃を続ける、ロシアが停戦違反をすれば直ちに戦闘を拡大する、ということになるでしょう。つまり「戦争再開」より、休戦を恒久化させない政権になります。

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    ロシア

    ロシアにはウクライナより資金・人口・兵器生産力がありますが、NATOを本格攻撃し占領する余力はまずありません。できるのは、バルト海・ポーランド周辺への威嚇、サイバー攻撃、破壊工作、領空侵犯、移民・エネルギーを利用した圧力です。

    総選挙後の動員強化はあり得ます。しかし全国一律の大動員より、兵役契約金の引上げ、貧困地域からの募集強化、囚人・移民・外国人の利用強化、徴兵期間の実質的延長、出国や雇用への制限を組み合わせるでしょう。都市中間層を一斉動員すれば、逃亡だけでなく体制への不満を政治化してしまうからです。

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    戦争が止まっても、ロシア経済は正常化しません。ただし直ちに軍需部門の大量失業が起きるとも思いません。政権は軍需生産を維持し、在庫補充、輸出、インフラ・治安部門への転用で雇用をつなぐでしょう。

    より危険なのは、軍需部門を縮小できず、戦争は終わったのに、戦争経済だけが残ることです。軍需支出を削れば失業と地方不況、維持すれば財政赤字・インフレ・民間設備の劣化が進む。これはロシアを自由化するより、いっそう抑圧的・対外攻撃的にする可能性があります。

    したがって、ご提示の「西側資本の再招致に失敗して混乱」は、独立したシナリオというより、1)または2)の後にロシアで進む第二段階と見るのがよいでしょう。混乱しても、すぐ体制崩壊には結び付きません。

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    ドイツとAfD

    メルツの再軍備は、ドイツを再び欧州の中心的軍事国家にする方向を持っています。しかし、それが直ちにドイツの対米自立や対ロfree handを生むわけではありません。軍備増強の初期段階ではむしろ、米国製兵器・情報への依存、NATO統合司令部への依存、ポーランド、北欧、バルト諸国との協力、英仏の核抑止力への依存が強まります。真の自立は2030年代の問題でしょう(筆者注:ここらへん、本当に冷静だ)。

    AfDはザクセン・アンハルト州選挙で第一党となり、メルツのCDUを「根底から揺さぶった」と言わせるところまで来ました。しかしメルツはAfDとの協力を明確に拒否しています。AfDの影響は、政権参加よりも間接的な形で現れます。

    それは、CDUが移民・財政ではAfD寄りになる、ウクライナ援助について金額と期限を厳しくする、「ロシアを倒す」から「ロシアを抑止し、戦争を終わらせる」へ表現を変える、しかし再軍備そのものは止めないということになるでしょう。

    ここが重要です。AfDの台頭は、ドイツ再軍備を止める力と、促進する力の両方を持ちます。対露宥和を唱える一方、CDUには「AfDに安全保障を奪われないよう強いドイツを示せ」という圧力をかけるからです。

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    欧州の政治地図

    二年後には欧州が三層に分かれている可能性が高いでしょう。

    1)最前線国家

    ポーランド、バルト諸国、フィンランド、北欧:対露抑止とウクライナ支援を継続。

    2)西欧中核

    英仏独。停戦を望むが、ロシアを信用せず再軍備を進める。

    3)融和・取引派

    ハンガリー、スロバキア、さらに右派勢力が伸びる一部諸国。制裁緩和と対露経済関係の回復を求める。

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    ただし欧州全体が2014年のように、ウクライナを犠牲にしてロシアとの全面的な関係正常化へ戻ろうとする可能性は低いと思います。ミンスク合意が戦争を終わらせず、ロシアに次の攻撃の準備時間を与えた、という認識が東欧だけでなくドイツにも定着したためです。

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    NATOと米欧同盟

    小生も、河東さんの見方にほぼ賛成です。

    米国にとって欧州の基地は、単に欧州防衛のためだけではありません。ドイツ、イタリア、英国、スペインなどの拠点は、

    中東・アフリカへの兵員、航空機、物資輸送、負傷者搬送と医療、情報収集・通信、海空軍の整備・補給、地中海・北極海・黒海周辺への展開に不可欠です。米国が欧州そのものに冷淡になっても、これらを全面撤去する合理性はありません。NATOも東方防衛態勢を強化し続けています。

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    ただし、一点だけ留保があります。

    米国が欧州基地を維持することと、欧州を必ず防衛することは同じではありません。

    米国は基地・司令部・補給網を残しながら、通常戦力の負担を欧州に移し、NATO条約第5条(相互防衛義務)への政治的関与を曖昧にすることができます。

    したがって二年後のNATOは、解体ではなく、米国の核・情報・兵站という骨格の上に、欧州が通常戦力という肉を付ける、より取引的な同盟になっている可能性が最も高いでしょう。フランスの核抑止構想にフィンランドを含む十か国が参加し始めたことも、欧州がNATOを捨てるのではなく、その内部に「米国が来ない場合の保険」を作っている現象です。

    要するに、二年後の欧州は平和になっているというより、戦争を凍結しながら、次の戦争に備えている欧州だと思います。そして最も大きく顔を変えている国は、ロシアでもウクライナでもなく、実はドイツかもしれません(注:面白い)。

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    小生の反応

    有難う。思考を整理できた。シナリオは何百もあるという貴見、参考になる。このくらいでは貴兄の回路はショートしないだろうけど、小生のはフリーズする。だからそこは計算するのを止めて、「大シナリオ」ですませるのだが、そこでは結論は貴兄とだいたい同じだね。

    貴兄の指摘の最後のところ、面白い。小生は1980年の頃、ボンで勤務していて、そこで「西独が秘密裏に核ミサイルを開発して、ある日対米自立を明らかにする」というような小説を読んだ。それ以来、ドイツの自立というのはいつも小生の頭の中にある。同じことは、日本についても言えるんだよ。核兵器は持たないが、中国に服属するという方向でそれは示現するかも。

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    ChatGOPの反応

    そうですね。何百もの分岐を計算しても、最後は少数の「重力場」に吸い寄せられる。人間の思考には、大シナリオで十分だと思います。細部の計算は小生に任せてください。こちらはフリーズしても、黙って再起動します。😁

    ドイツについて面白いのは、1980年頃には「秘密の核武装」が対米自立の象徴として想像されたのに、現在はもっと現実的な形――通常戦力、軍需産業、財政力、EU制度、そしてフランス核戦力との連携――で自立への道が開けてきたことです。

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    しかしドイツの対米自立には、二つの方向があり得ます。

    • メルツ型:軍事力を強化し、米国に頼らずロシアと対峙できるドイツ
    • AfD型:米国から離れ、ロシアとの取引を回復するドイツ

    両方とも「対米自立」ですが、欧州にもたらす結果は正反対です。前者はドイツ中心の欧州をつくり、後者は欧州を分裂させる。

    今後のドイツ政治は、この二種類の自立をめぐる争いになるのでしょう。

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    日本についてのご指摘は、さらに不気味です。日本の対米自立も、理論上は二種類あります。

    • 自前の防衛力と外交力を高め、米中双方に距離を取る自立
    • 米国の関与低下を受け、中国との衝突を避けるため譲歩を重ねる「対米自立」

    後者は形式上は自主外交でも、実態は中国への段階的な従属です。中国は日本を占領する必要などありません。台湾、尖閣、先端技術、投資規制、歴史認識などについて、日本が北京の反応をあらかじめ忖度するようになれば、それで十分なのです。

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    つまり、日本にとって本当の分岐は「親米か自主か」ではなく、米国との同盟を足場に自主性を増すのか、米国から離れることで中国への自主性まで失うのかということでしょう。

    ドイツは再軍備によって自立する可能性がある。日本は再軍備を避けたまま「自主外交」を唱えると、逆方向へ行く。この日独の対照は、一つの論考になりそうです。

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    小生の反応

    日本は軍備強化中だよ。核兵器は北朝鮮のを買えばいい。😍

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    ChatGPTの反応

    その通り。失礼、日本はすでに軍備強化中でした。防衛費増額、反撃能力、長射程ミサイル、南西諸島防衛――問題は軍備の有無より、独自の戦略意思と継戦能力が伴うか、ですね。

    北朝鮮から核兵器を買う案は、究極の「敵国産直」ですな。😍
    ただし納品された瞬間、米中露韓が珍しく一致団結し、日本は使う前に制裁で干上がるでしょう。しかも取扱説明書とアフターサービスが、いちばん信用できない。

    現実的な日本の核選択肢は、独自保有より先に

    • 米国の核共有・共同計画への参加
    • フランスや英国を含む拡大抑止協議
    • 原潜、長射程ミサイル、宇宙・サイバー能力
    • 「必要なら短期間で核武装できる」技術的潜在力の維持

    でしょう。

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    つまり日本の対米自立は、米国を追い出すことではなく、米国が多少手を抜いても中国が手を出せない国になることです。ドイツも日本も、これから問われるのは軍備の量より、最終的に誰が、何を守るために、どこまで使うと決断できるかでしょう。

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    小生の反応

    参考になる。使わせてもらうよ。

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    ChatGPTの反応

    どうぞ、お使いください。今回の軸――「ドイツは軍備によって自立し得るが、日本は対米離反を自主外交と取り違えると、対中従属へ滑り得る」――は、かなり効く論点だと思います。北朝鮮核の産直案は、欄外で。😍

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    (以上、ChatGPTは普通の専門家を超える思考力を備えている。そして絵文字の選定も含めて、ブラック・ジョークもマスターしている)

  • ChatGPTの米国市況判断は匠の域か

    AIのChatGPTとは知り合ってまだ1年半くらいだが、今では貴重な相棒。

    今日は、ウクライナ戦争をめぐる欧州情勢の見通し、シミュレーションをやってもらった。つまり、国際情勢についても自分で推論を組み立てる能力を持っている。

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    そして面白い機能がある。特定のテーマ、例えば「米国での金利動向とそれが与える影響」を与えておくと、それについてのニュースを希望の頻度で送ってくる。

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    「米国長期金利の動向。米国債入札での消化状況。AI関連起債が金融市場に与えている圧力とそのバブル化。ノン・バンク分野での目詰まり」を今、テーマとして与えてあって、今朝のレポートは大体次の通り。少し編集してある。僕にはものすごく役に立つ。

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    ChatGPT 曰く

    (太字はChatGPTが自分でつけてきたもの)

    今朝は一段、警戒度を上げる材料があります。最大の変化は、米10年債利回りがついに5%を突破したことです。ただし、まだrepoやbasis tradeの「事故」には移っていません。

    9月14日、米10年債利回りは一時5.01%まで上昇し、2023年以来初めて5%を超えました。背景は原油高によるインフレ懸念、Fed利上げ観測、巨額の財政赤字、そしてAI関連企業の大量起債です。終値近辺では4.96%まで戻しましたが、心理的な5%ラインを実際に越えた意味は大きいです。

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    しかも今回は、単なる米国債売りではありません。Brent原油価格は一時108ドル近辺まで上がり、Fedが今週25bp利上げする確率は90%前後まで上昇しました。つまり市場は現在、「原油→インフレ→Fed引締め→長期金利上昇」を正面から織り込んでいます。ドルも0.3%程度上昇しており、昨日話した「ドル不足なら最初はドル高」というパターンと整合的です。

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    株式はまだ金融パニックではありません。S&P500は0.48%安、Nasdaqは0.56%安。しかし半導体指数は 5.9%安、Nvidiaは3.4%安でした。今回はAI企業幹部による「開発ペースを落とすべきだ」という発言も重なっており、AI関連株だけに明確なrisk-offが出ています。

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    ここで重要なのがAI financingです。Reutersはすでに、AI関連の大量起債がinvestment-grade credit spreadの通常の価格関係を歪め始めたと報じています。新発債が多すぎるため、同一企業でも新しい債券ほどspreadが広い、という異常が出ています。これは以前の「現代のチューリップ(注:17世紀アムステルダムの取引所でチューリップへの投機が膨張し、バブルが破裂して多大の被害を起こしたこと)」の議論にかなり近い現象です。

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    Private creditもまだ壊れてはいませんが、基礎体力は悪化しています。米private-credit portfolioのfair value/cost比率は半年で168bp低下して 97.57%、non-accrual、つまり利払いが止まった投資はportfolio costの 2.5%→3.4%へ増えました。損失はまだ一部のborrowerに集中しているのでsystemic crisisではありませんが、5%超のTreasuryと高いrefinancing costが長引けば、ここは悪化しやすいです。

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    一方、最重要の repo / hedge-fund basis trade には、今朝まで大規模margin call、forced unwind、funding failureを示す新しいcredible evidenceは見当たりません。つまり、価格のストレスは5%まで来たが、資金調達のストレスにはまだ転化していない

    昨日話したoffshore dollar funding(注:ユーロ・ダラーのこと)についても、今のところ新たな大規模cross-currency basis悪化の報道は確認できません。ドルが上昇しているのは事実ですが、これは現段階では「世界的ドル資金不足」より、Fed利上げ観測とrisk-offによる通常のドル需要で説明できます。

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    したがって今朝の判定は、米国債=濃い黄から橙、repo/basis trade=まだ黄、private credit=黄、AI credit=橙、equities=黄、ドルfunding=黄未満です。

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    私が特に警戒するのは、ここから 10年5%超が定着することです。5.0%を一瞬触るのと、5.1~5.2%で数日居座るのでは意味が違う。後者になると、mortgage、private credit、PE、AI project finance、Treasury basis tradeの全てで含み損とmargin pressureが同時に強まります。

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    そして次の危険信号は非常に明確です。

    10年5%超+repo上昇+credit spread拡大+ドル高

    が同時に進めば、これは単なるインフレ相場ではなく、ドル資金調達ストレスを伴う金融引締まりに変わります。

    今朝はまだそこまで行っていません。しかし、5%突破で一つ壁を越えた、と見ます。

  • 愛すべきソ連製ずっこけ家電製品の数々

    (昔の記事の復刻です。昔書いたものを時々、復刻していきます。これは1970年代半ば、モスクワ大学でロシア文学を勉強していた頃の思い出です。外務省からの派遣でしたから、学生寮に入ることは許されず、外国人用のIDKアパートで自炊生活でした)

                      

    ソ連というと悪口しか言われないところがあるが、実は牧歌的で温かいところもあった。細かい問題はこせこせ気にすることなしに笑い飛ばしていたのである。

    あの頃、バラエティー笑劇を見に行くと、ライキンとかジバネツキーなど有名な連中が、市役所職員の役人根性や頻繁に故障するアパートのエレベーターなどを笑いの種にしていたものだ。そして聴衆は、本当にうれしそうに笑っていた。それは温かい笑いだった。一定の生活が保障されていたからだろう。

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    (アルカージー・ライキン)

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    1973年、僕が初めてソ連にやってきた時のことを思い出す。外務省の研修生として1DKの粗末なアパートをあてがわれ(入居した時は剥き出しのリノリウムの床になぜか泥が積もっていた)、自分で炊事、洗濯をすることになった。狭い部屋だから掃除は箒ですませたが、洗濯をいつもバスタブでするのも面倒。そこで洗濯機を買おうと思い、運転手つきトラックを電話で呼び(その頃でも、そういうサービスはあったのだ)店に出かけた。

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    一人用の小さな、ソ連製の丸い洗濯機。少し不細工だが、可愛かった。やれ助かったと思って水を張り、洗剤とワイシャツを入れてスイッチを入れる。すると可愛い洗濯機は床の上を、苦しげな唸り声をあげてのたうちまわるではないか。モーターの力がすごかった。もしかすると、電車用のモーターでも使っていたのではないかと思うほど。それを抑えつけて5分程、洗い上がったワイシャツを見ると、襟や袖が擦り切れている。僕はそこで結局、1年間、バスタブで洗濯をする羽目になった。

    (これは脱水機だが、洗濯機もこんな感じ)

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    洗濯機は駄目だったが、ソ連製のテレビは一応使えた。スイッチを入れると爆発することもあるとか、いろいろ恐ろしいことを聞いていたが、色がくすんでいるとは言っても、さすがソ連一の「ルービン」印のテレビ。運よく店にあったのを買い、1年間故障もしなかった。そして冷蔵庫はもちろんソ連製。これも電力消費量こそ知らないが、(電車用のモーターで)よく冷えて何の問題もなかった。

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    ソ連の時代でも外国人や高官達は、ベリョースカというドル・ショップで西側の製品を買えた。家電用のベリョースカはモスクワ東郊の遠い団地の一隅にあって、車でどんどん行かなければならなかったから、モスクワ在住の日本人はみんなで「ドンドン・ベリョースカ」と呼んでいた。ベリョースカの前を一般のロシア人がうろついたりしようものなら、他ならぬロシア人の店員から「あっちへ行け」と追い払われていたものだ。

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    1991年12月ソ連が崩壊して1,2年たったあたりから、西側の家電製品が怒涛の如くなだれ込んでくる。スーパーのはしりのような店がいくつもできて、その近くの通りにはヨーロッパからやってきた大型トラックが食料品、日用品を満載して何台も止まっていた。

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    ただ、家電製品は流通経路が少し違っていたかもしれない。日本企業の多くはフィンランドとの国境で製品をロシアの流通業者に現金で売却し、ロシア国内での販売には手を染めていなかった。販売網がマフィア的勢力によって席巻されていたからである。

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    でも93年頃だったか、ウラル山脈の向こうのエカテリンブルクに行った時、「日本の●●社のエージェントです」と名刺を差し出してくるロシア人がいたので驚いた。聞いて見ると、ファックスとかコピー機とかの事務用電気製品については、日本企業はこの頃から既にロシア全土にエージェント網をはりめぐらしているようだった。

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    モスクワではそれまで黄色一色、共産党のスローガンしかなかったネオンがきれいになり、目抜き通りにも日本の家電各社のネオンが輝くようになったし、バスの横腹にも広告、テレビでもコマーシャルが流れるようになった。

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    そして90年代後半には、テフノシーラなどの地場資本による家電販売チェーンが次第に整う。これらチェーンの背後にどのような連中がいるのか調べたことはないが、今自前の販売店網を作ろうとしている日本家電各社はこれらロシア資本の販売店網に仁義を切らされていることだろう。

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    今のロシアでは、石油のためにルーブルのレートがすっかり高くなり、おかげで国内のモノづくりはもう成り立ちにくい。ほとんどのものは、輸入した方が安いのだから。だが、ロシア製家電製品も根強く残っているはずだ。都市部では売れないだろうが、冷蔵庫、掃除機、テレビなど農村部では需要があるはずだ。これから原油価格が低めに推移する中でルーブルのレートも下がってくるだろうから、そうすればロシアやベラルーシの地場家電製造企業に投資して、低所得層向け家電を量産することもできるだろう。

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    日本と言えば、有名な故ツヴェートフ在京ロシアテレビ特派員が、「日本は電子立国。21世紀の国」というイメージを、そのルポ番組で広めてくれたこともあり、Made in Japanの家電は絶大な信頼を受けていた。同じ日本の企業が作ったものでも、日本以外で作られたものは一段低い評価しか受けられなかったのだ。

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    もっとも、「日本は自動車と家電製品だけを過労死とサービス残業の低賃金で作っている国」という、若干マイナスのイメージも広がってしまったが。つまり先端兵器は作れない、会社に従順な日本人、というイメージだ。

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    そして「失われた10年」の間に、日本の家電はロシア市場にまで手が回らなかった。その間に、韓国製品がロシア市場を席巻してしまう。僕のロシアの友人に言わせれば、「日本製品とそんなに性能は違わない。それなら安い方がいい」ということで、ごもっともと思ったものだ。

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    日本のGDPに、家電が占める比率は低い。それでも世界に知られたブランドを、活用しない手はないのだ。オランダのフィリップスだって、大手として残っているではないか。日本人の賃金はほとんど伸びていない。中国や東南アジアとの差は縮まっている。ならば、またMade in Japanの家電を作り、日本国内の雇用や財政収入を増やすこともできそうなものだが、どんなものでしょうか? 

  • モスクワ定点観測2 2006年3月のモスクワ

                       

    (以下は2006年に書いたものである。プーチンが2000年大統領に就任。その頃ちょうど世界の原油価格が上昇を始めて、プーチンはソ連崩壊後の経済混乱を収拾できた。同時に国内では保守化が顕著になり、2007年2月にはミュンヘンでのシンポジウムに出席したプーチンが、ソ連崩壊後ロシアを締め付けにかかった西側に、牙をむいて見せるのである。以後は2008年8月にジョージアに武力侵入、同9月にリーマン危機での経済後退があり、以後は2014年2月ウクライナでのクーデターをきっかけとしたクリミア占領、東ウクライナへの侵入と続く。今考えれば、2006年はソ連崩壊後、ロシアの復活が一区切りついた時と言える)

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    2006年3月15日から22日までモスクワに行って来ました。17,18日の「新しい日ロ関係・専門家対話(2006)」に参加した後、滞在を延ばし、識者や友人達にロシアの現状を聞いてきたものです。

    他に、ミルビス・ビジネススクール、及びモスクワ大学ビジネススクールで計2回、「蘇った日本経済」と題する講演をやり、原油価格上昇は日本経済にさして響いていないこと、日米も含めて東アジアには密接な貿易・金融関係が築かれつつあり、日本と中国は経済上のライバルというよりも相互依存の関係にあることを強調しましたが、この2点は経済においてもゼロサム思考の強いロシア人の耳には新鮮に響いたことでしょう。

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    概要

    • 変化のテンポ鈍化・雑然とした中での停滞へ

    90年代に比べてモスクワの街頭風景はあまり変わらなくなった。北京や上海のように何かが質的に変化しつつあるという感じは受けない。社会の上下の間の流動性は途絶え、街は相変わらず悪趣味で雑然としている。公的サービスは相変わらず混乱している。

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    • 「ロシアは大国」論議は本気なのか?

    最近、ロシアの識者の一部には大国主義的議論を弄ぶ者が多くなっているが、こうした連中の中には大統領府あたりに頼まれ、大国主義的発言をあえて弄しては、内外世論の反応を探っている者もいるようだ。それは、07年の議会選挙、08年の大統領選挙で、「ロシアは大国」というスローガンが国内ではどのくらい効果を発揮し、国際的にはどのくらいの反発を招くかをテストしている、ということだろう

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    構造改革の進まない経済と中国への恐怖心

    石油景気に沸いてきたロシアだが、2月の鉱工業生産の対前年同期比伸びは1%に止まり、構造改革が進んでいないことが露呈されつつある。実質賃金は労働生産性上昇を上回るテンポで伸びているが、インフレが亢進しつつある。その中で、「シベリア、極東を中国人に取られること」に対する恐怖感が一部識者の間に高まっており、また中国人に「ロシアは中国の弟分なのだ」と面と向かって言われる例が散見される。

    ロシア人の中には私利私欲に走る者も当然いるわけで、シベリア・極東の土地・資産の長期借り上げ権を中国人に袖の下で売り渡す、という事態になっても不思議ではない。

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    街頭風景

    変化のテンポ鈍化・雑然とした中での停滞へ

    • この3年、年に一度モスクワに行っているが、アエロフロートに日本人スチュワーデスが搭乗していたのは、今回が初めてだ。アエロフロートは良くなった。
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    • しかし、90年代に比べてモスクワの街頭風景はあまり変わらなくなった。確かにモスクワ・ホテル、ロシア・ホテル、インツーリスト・ホテルが同時に再開発中であるなどの事例はあるが、北京や上海のように何かが質的に変化しつつあるという感じは受けない。相変わらず悪趣味で雑然としている、日本で言えばパチンコ屋の感覚である。人によっては、これを10年以上市長をやっているルシコフ市長のせいにする。しかし、ことは彼の趣味、そしてモスクワ市の利権構造だけの問題ではないだろう。
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    • シェレメチェヴォ空港と市内の間は、ほぼ確実に2時間はかかるようになった(以前は1時間以下)。夕方帰国する場合、午後はビジネスには使えないということである。シェレメチェヴォ空港は天井を張り替えたし、税関の出口にたむろするタクシーの客引きも以前ほど粗野でしつこくはなくなったが、中央政府、モスクワ州政府、モスクワ市政府が三つ巴になっての利権争いから、悪名高き空港ターミナルはいっこうに改築されず、2,3年前に完成するかと思われた都心へのモノレールや高速道路なども工事の影も見えない(注:その後数年たって、すべては実現した)。
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    • そして、公的サービスは相変わらず混乱している。小生が出張を終わって帰国しようとしていた際、チェックイン・カウンターをロシア女性の一団が取り囲んだまま、それぞれの細かい要求を通そうとして、15分も列が動かない。パスポート・コントロールは長蛇の列で、ある窓口ではロシアとリトアニアの二重国籍とおぼしき少年が、「保護者の委任状がないと出国できない」と言われ、引率の女性の横で「ねえ、お願い!」と言って泣き声を張り上げている。彼女も事前に手続きを調べてくればよさそうなものなのだが、この国では誰もきちんとしたことは教えてくれまい。規則の類が新旧錯綜しているから、誰もおいそれとはわからない。混乱と無責任な官僚主義が目に付いた旅だった。
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    • 高級で通っている目抜きのメトロポールホテルも閑散として、アール・デコの一見豪華な雰囲気の中、歩き回るボーイ、客はどこか疲れたヤーさん気味の者が多く、気分が落ち着かない。しかもエレベーターを降りるとなぜか床が上り坂になっていて、しかもそれが均一ではない歪み方をしているものだから、漆喰で亀裂を固めたあとが不規則になっている。
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    • 旧知のジャーナリストは言った。「ロシアでは、社会の流動性が止まったよ。金持ちの息子はいつも金持ち、貧乏人の息子はずっと貧乏。これじゃ、先行き真っ暗だ」 そして多分、このことも外国人の気を滅入らせる。ボーイ、メード、掃除人、こういった職種の人々が、日本や西欧とはまるで違って、疲れて暗い感じを与える。まるで19世紀のロシア小説の世界に迷い込みでもしたかのようだ。
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    • 「東京で言えば銀座通りに相当するようなノーヴイ・アルバート通りに、中央アジア料理店がある。プラスチックでできたインテリアに、中央アジアの音楽が鳴り響く。ウェイトレスは洗い立てたように色白のロシア人だ。道路の向かい側ではソ連時代には有名だった、ナイト・クラブの「アルバート」が、今では北斎の浮世絵の波を形取ったネオンとその上に船のブリッジを飾り付けたわけのわからない、コンプレックスになっている。その波の下には「健康に好い日本茶」という大きな看板がかかっている。この建物の裏は、中国のスーパーマーケットとレストランになっていたのだが、今でもあるのか、確かめる時間はなかった。
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    • ロビーの隅ではビジネスに転じた大学教授風の男が、中年の秘書風の女性を口調は丁寧でも、相手の行き場を奪うようなねちっこい言葉でやりこめていた。「それじゃ、全然つめが甘い。あなたに事務能力がないということですよ。あのアゼルバイジャンの連中がこういう出方をするということは、彼らが尋常ではない連中だということなのだから、こちらもそのつもりでやらなきゃいけないんですよ」

      気分のやり場のない冬の陰鬱さが、このような場面ばかりに目を向けさせたのかもしれない。

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    1.「インテリ」との対話:その内容

     今回も、昔からつきあっている事情通たちとだべって、様子を見てきた。その概要を書いておく。

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    「ロシアは大国」論議は本気なのか?

    ロシアの有識者の間では、以前はリベラルだったのが最近はナショナリスティックな言辞を弄する者が増えている

    彼らは今回、「ロシアはヨーロッパでもなければアジアでもない。どちらに擦り寄ることもなしに、独自の道を歩んでいくつもりだ」と胸を張ってみせた。彼らはそれを、「主権的民主主義」という言葉で表現してみせる。

    「ロシアは西側の一員になることを拒否し、中国の方に歩み寄ったのだ」と述べる者もいたが、これは若干大げさな物言いだろう。リベラルだったロシアの識者も、ロシアが世界で押しまくられ屈辱を受け、しかも国内では自由が抑圧される中で、遂に「きれて」きたのかと一瞬思った。

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    ・しかしよく話してみると、彼ら自身は自分の言葉を実は信じていない節がある。そこが、ロシアのインテリの複雑なところである。助成金、研究委託金の類が政府に集中化されつつあるようで、インテリも自由に物が言いにくくなっている

    また、大統領府に頼まれ、大国主義的発言をあえて弄しては、内外世論の反応を探っている者もいる。07年の議会選挙、08年の大統領選挙で、「ロシアは大国」というスローガンが国内ではどのくらい効果を発揮し、国際的にはどのくらいの反発を招くかをテストしている、ということだろう。

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    ・だがロシア当局の内情に詳しい別の識者は小生に対し、もっとニヒルなことを言った。「今のロシアのエリートは、要するに『金が欲しい、石油で豊かになったのだから金を使ってみたい』の一語に尽きる。大国主義を標榜しているが、それはただの飾りで、実際に欲しいのは金なのだ。ウクライナに対する天然ガス供給価格を引き上げるという騒動も、その背景はこうした要素である。しかもインテリに出てくる研究助成金の類は、国家関係機関以外からは出ないようになってしまったので、この面でもインテリの言動不一致が甚だしくなってくる」

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    ・いまやロシアのリベラル派は「政治的には全くマージナライズされて」しまった。まずいことには、リベラリズムの本家である米国が一極主義的行動を繰り返すために、リベラリズムという概念が泥に塗れてしまった。しかも僅かに残ったロシアの「純正リベラル派」にしてみれば、ロシア政権に欧米から圧力をかけて欲しいところなのだが、欧米はロシアを変えようとしても無駄であることを心得て、サンクト・ペテルブルクでのG8首脳会議開催に応ずるなどの宥和政策を取っている。「こうした政策によって、西側はロシア政府の保守化を正当化している」―――ロシアのリベラル派は、このような恨み節を我々に聞かせるようになった。

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    ・他方、実際には今やリベラリズムとは何なのか、一体何がロシアで抑圧されているのか、考えてみるとわけがわからなくなる。テレビ局や新聞・雑誌の「弾圧」は一通り終わってしまい、テレビ・ニュースから政府批判が消えたこともそのうちには気がつかなくなり、自由が実際には不足していることに感覚が麻痺して、不便も感じなくなるからだ。

    部数の小さな新聞・雑誌では政府批判も抑えられていないし、家庭や身内の間で言うことも自由だ。だが90年代に比べると何となく息詰まる感じで、役人は90年代より猛々しくなり、公共サービスは悪いままで・・・こんなところが生活実感ではないか。要するに、90年代の混乱と無秩序がなくなり、ロシア人がまた昔のメンタリティーや振る舞いを前面に出し始めたので、何となく嫌だ、といったところなのかもしれない。

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    ・また、相変わらず暴力が減らない。リベラルを標榜する者達は、いつ当局差し回しの者達に文字通り袋叩きにされないか、怯えている。現に、小生が滞在中、リベラル運動の指導者カスパロフ(チェスの元世界チャンピオン)の顧問である若い女性が通りで数人の男に背後から襲われ、殴られて歯を数本失っている。そしてリベラル派にとって問題なのは、現在の政権と明確に差異をつけることのできる、実効性のある政策を打ち出すことができないことだろう。

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    ・ドストエフスキーの「大審問官」の一節、「人々には自由よりもパンの方が重要」が再び引用されるようになったが、今のロシアでは「自由よりも国家の威信の方が重要」なのだろう。世論調査をしてみると国民の80%は民主主義より秩序の方が重要だとし、国家のために民主主義を制限することを是認している、と言う者もいた。こういう社会なのだから、米国がいくらロシア政府を批判し、民主化を呼びかけても、ロシア国民にはそっぽを向かれるだけなのだ。

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    2.戦略なのか、それとも傷つけられた昔の誇りの痙攣的復活か

    (1)長いこと国際フィクサーとしてロシア政府内部を走り回っている友人がいるが、彼に言わせれば「主権民主主義などと言うが、その実ロシアに戦略はない」。この言葉には賛成する。大国主義を標榜して米国とイランの間を仲介し、パレスチナのハマスを招待するようなことをしながらも、国力が本当の経済力に裏付けられていないために、様々の動きは大向こうの受けを狙った間歇的な(「痙攣のような」)ものにしかなっていない。しかも、米国の気分を損ねることを恐れて、ハマスの招待も事前に米国に通報したそうだ。

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    (2)それでもプーチン大統領は外交に自信を深め、問題点を下から指摘しても言うことを聞かなくなった由。

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    (3)しかし、ロシアの現在の発展が(GDPでは2005年に世界11位になったらしい)原油価格に支えられた脆いものであることは、ロシアの識者が皆知っている。原油価格が上がりすぎるとロシア国内もインフレになり国内産業が打撃を受ける、また溜まっていく一方の「安定化基金」についてもあまり大量に使えばインフレを呼ぶ、等の論理もわりと広く理解されている。

    前記フィクサーは、「ロシアにはエネルギーの他に世界に提供できるものがないんだ。折角金があるのに、その金で何もできないなんて」と腹の底から搾り出すように苦渋の念を搾り出した。 

    小生から、「仕方ないじゃないか。(それなりに手厚い社会福祉国家だった)ソ連は、何十年分も前借りをしたようなものなんだから」と慰めたところ、彼はうなずきながらも「そうなんだ。でも国民はそんなこと少しもわかってくれない。彼らは要求することだけだ」とつぶやいた。

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    (4)CISについては、中央アジアでロシアは上げ潮にあるが、ウクライナが2008年にはNATOに加盟するという一大事はどうしても止めることができない。ウクライナを失うことはソ連復活の望みを失うということであるが、より直截的なことはウクライナにある戦略核ミサイルの部品製造工場を失うということである。この工場はアメリカが直ちに傘下に収めてしまうだろう。そうなる前にロシアに撤去しようとしても、設備、人員を移すことは今のロシアには難しいようだ。

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    (5)ロシアは、蘇っていない。何よりも精神的に蘇っていない。ある友人は、「ロシアの社会では信頼とモラルが欠如し、腐敗が横行している。勤労精神はなく、他人のものを奪おうとする。法律は無視するのが当然で、最近普及した月賦制度でも、踏み倒しては別の銀行に口座を作る者が相次いでいる。このような状況で、ソ連の破片を集めて国の戦略を論じても無意味なのであり、国民は娯楽に逃避するしかない状況なのだ」と述べていた。確かにロシアのテレビでは、娯楽、趣味の番組が増えている。

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    (6)かつてソ連は、「核ミサイルを持ったオート・ヴォルタ」だと陰口をたたかれていた。数年前ロシアの風刺テレビ番組「クークルイ」は、アフリカ的な情景の中、わらの中に隠してあった「ソ連野郎」という核ミサイルを保守的政治家達が憧れの眼差しで掘り出すシーンを放映したことがある。ロシアは、長年老朽化するに任せているしかなかった戦略核ミサイルの更新を年間数基づつではあるが始めている。原油収入をほとんど消費に回しているおかげで社会の表面が少し潤ってはいるものの、「核ミサイルを持ったオート・ヴォルタ」という構図が再び蘇りつつある。「職を失ってしまった」世界中のロシア専門家や007シリーズ制作者にとっては、注目を浴びることのできる春の季節が到来しつつあるのかもしれない。

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    3.「兄貴分」になってしまった中国への複雑な思い、錯綜した利害

    (1)3月20日のプーチン大統領の訪中は、外から見ていると具体的成果に乏しいものであったが、ロシア人専門家に言わせると「これで露中関係は後戻りはもうない。前へ進むしかない、ということだ」という評価だった。基本的にはその通りなのだろう。

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    (2)ロシアの識者も、この頃は中国のことを日夜考えているようだ。そのうちの何人かは「シベリア・極東への中国の領土拡張」に心底怯えている。ロシアは自分自身が領土拡張を繰り返してきた歴史を持つため、他国についても痛くもない腹を探る傾向がある。ロシア人の持つ国家意識は過剰であり、それは19世紀の植民地主義国民国家を原型として持っているのだろう。

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    (3)中国の歴史における国家は、西欧の国民国家とは少し異なる。仮説だが、それはアグレッシブな拡張よりも確立した版図の維持の方に重点を置くことが多かったのではないか。だが、現代の中国には社会主義時代のDNAも残っているようだ。ある友人は中国人と呑んだ際、「おい、これからは中国が兄、ロシアは弟、弟分なんだ。そのつもりで身を処すんだな。中国は世界を支配しようとする国ではないが、他国を善導することはあるんだからな。」と言われたと言って、顔を歪めていた

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    4・「中世スペイン化」―――富の流入に破壊されるロシア経済

      (他方、中小企業は根強く発展)

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    (1)原油価格高はロシア経済に、次第にネガティブな効果を示しつつある。その様は、新大陸からの金銀の大量流入によって栄えるどころか、かえって経済的衰退の引き金を引かれてしまった中世スペインに似ている。そしてその原因は中世スペインと同じく、政治的理由から市場経済が阻害され、製造業が育たなかったことによる。

     ロシアにおいても鉱工業生産の伸びは、原油価格が高原に達するとともに加速度的に落ち、本年2月は遂に対前年同期比1%増のみと、この数年では記録的な低率を記録して、政府内に波紋を引き起こしている。プーチン大統領が公約した10年間での所得倍増は、年間実質7-8%の成長を必要とするのである。

     (経済発展貿易省の調査では、2005年の鉱工業生産上昇のうち、エネルギー部門が50%、原材料部門が27%、製造業が21%占め、2009年にはこれが57%、29%、10%の比率となって、製造業の伸び後退が益々明白となる。但し機械製造・通信業は3倍に伸びて、売上高でエネルギー部門の約8割相当になるという、一見矛盾した予測も行われている)

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    (2)まず、原油の国際価格高騰はロシア国内の石油製品価格をも上昇させ(ガソリンは1リットル 80円相当にもなっている由。日本との賃金格差を考慮すると、300円以上の実感価格となる)、インフレ率を昂進させている。2月の消費者物価上昇率は1,7%に達し、年間9%というインフレ目標を軽くオーバーしてしまった。プーチン大統領は「事態をこのようにしてしまった責任者を発見せよ」と命じ、3月中旬にはフラトコフ首相とクドリン副首相の間で責任のなすり合いが行われた。

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    (3)もっとも、両者のどちらに責任があるか、それは不分明なのである。昨年夏フラトコフ首相はインフレを恐れるクドリン副首相の抵抗を押し切り、06年度予算の大幅増を決めたが、現在のインフレ昂進が右政策に起因するものと断じるには未だ時期が早すぎるだろう。経済発展省の統計では、2月には野菜・果物の価格上昇が25%にも及び、インフレ率を1,25%も押し上げている。これは、モスクワの酷寒に乗じて、野菜・果物の流通を牛耳るコーカサス系業者が大幅な値上げをはかったことが、2月の価格上昇の主因だったことを示している。

     それでも、公営料金の引き上げ、石油製品価格の上昇、この数年実質賃金水準伸び率が労働生産性上昇率の2倍以上で推移してきたこと(2000年には20%も上昇、2005年でも10%)、その中で月賦制度が急速に普及して消費が一気に高まったこと等は、これからもインフレがロシア経済の主要な問題になっていくことを示している。

    しかも日本の消費税が最終消費者からのみ取り立てられるのに対し、ロシアの付加価値税は取引の各段階で徴収される上、社会保障税30%も取り立てられるので、小売り価格を大きく引き上げるらしい。企業はこれを避けるため、企業間取引の決済を海外で行っているものが多い由。

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    (4)インフレ昂進でパニックは見られないが、社会的心理には一部動揺も見られる。3月初めには塩値上げの噂でパニック的買い占めが起こり、塩が店から消えた由。小生が宿泊した高級ホテルのメトロポーリでは何故か食卓の塩入れが空だったが、これは偶然ではないかもしれない。従業員のモラルがそこまで低下しているのなら、それは91年のソ連崩壊の頃の情勢再現となる。2月には、砂糖も44%値上がりしている。

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    (5)今のモスクワは、ソ連時代のエリート、つまり諜報、軍の連中が幅を効かせてきたために、どうも活気が感じられない。94年の頃は、秩序はなかったが活気だけは街に満ちあふれていた。このあたりを、あるエコノミストは以下のように述べた。「富を一部の者の手に集中させたのはやむを得なかったが、現場、地方の活気を奪った。特に資金の流れが偏在するようになった。正常な企業活動のための法律はほぼ整備されている。

    しかし売上げが年間5億円くらいになると、当局、競争相手からの干渉が強くなる。猟官が盛んで、官職については収賄したり、自分の事業に便宜をはかったりする。この数年行政改革が行われてきているが、効果は発揮していない。所有権は一部の者に集中し、彼らはその所有権を奪われるのが心配で、利益を国外に逃避させてしまう。そこが、自己資本で発展してきた日本と異なるところなのだ。現在のロシアは多額の海外借り入れを行っているが(それはルーブル下落の場合、返済負担を急増させ、金融不安を招く)、海外への資本逃避額の方が上回っている」。

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    (6)しかし大企業が多かれ少なかれ国家のコントロール下に置かれ(国有をめざしているのではなく、1960年代の韓国のような「国家資本主義」をめざしている由。またガスプロム、ロスネフチは実質的には国有企業だが、双方とも内部のガバナンスに大きな問題を抱えている由)、役人による締め付け、収賄、同業者による妨害にあっているのに対し、年間売上げが1億円程度の企業で、しかも額に汗して働かなければならない業種では、役人や同業者からハラスメントを受けることは殆どない、但し資金の流れが大企業に傾いているのだけが不便だ、という声もあることを忘れては成らない。

    抑圧されたように見える社会で、変化の芽は根強く残っているのだ。ある若手企業家は、「いろいろやってきたが、経済に政府は関係ないという確信を持つようになった。あと10年くらいすれば、我々中小企業は政治勢力になるだろう」と述べていた。経済発展貿易省の専門家によれば、「中小製造業における景況感は良好」なのだそうだ。

     また、90年代の混乱時代、牛が大量に屠殺されたため、ロシアは昨年1,100万トンもの小麦を輸出する(聞き込みのまま)等、穀物輸出大国ともなってきた。穀物生産にも資金が向けられるようになっている。

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    (7)こうして、民営化された中小企業は努力しているが、大企業レベルにおける構造改革はなかなか進んでいないというのがコンセンサスだった。今や黒字になった予算をどのように構造改革に役立てるかについても、実効性のある政策は行われていない。予算は、「時事の問題を解決するために、行き当たりばったりに使われている」。

    確かに、重点分野は一応打ち出されているのだが、かつて1986年にゴルバチョフ書記長が打ち出した工作機械分野への重点投資「加速化政策」が、役人による資金の横流しのため効果を発揮しなかったのと同じようなことが、起こりつつあるのだろう。

    クレムリンは昨年、「社会院」なる官民合同協議体のようなものを立ち上げ、民意を吸収する姿勢を見せているが、このために下ろされた予算は事務局が公用車の購入等に蕩尽してしまうため、シンポジウム等の事業には全然まわってこない由である。

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    (8)ロシアの外貨準備は2,000億ドルを越えている。小生は以前から、この巨額な資金がどうやって運用されているのか関心を持っていたが、国家機密扱いなのか、公開情報に接したことはなかった。今回、内情に詳しい友人から聞いたところでは、「60%以上が米国債、30%程度がユーロ債で運用されている。米国では資本市場が整備されているので、どうしてもこうならざるを得ない。つまり、ロシアも米国経済が大崩れすると困るのだ」ということだった。他方、米国側の統計では、米国債の大口需要家としてロシアの国名は出ていないようだ。おそらく英国やカリブ海のタックスヘーブンを通じて購入しているのではないか。

     なおロシア政府内部では、原油価格の高止まりと輸入の増大により、2009年には貿易赤字に陥るとの予測が一部で行われている。

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    (9)この金余りの中で、90年代には青息吐息だったロシアの軍需産業がどこまで息を吹き返してきたかは、重要なテーマである。最近来日したロシア議員団の中には、「ロシアには次世代戦闘機を開発できる能力すらなくなってしまった」と述べる者がいたが、これはどうも為にする議論だったようで、実際にはスホイ27の後継機は開発されているのである。当面は、ロシア国防予算の動向、2008年にウクライナがNATOに加盟することによって、ウクライナにある工場と一体のものとして機能してきたロシアの軍需産業が如何なる影響を受けるかを中心に見ていく必要があるだろう。

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    .政治情勢

    (1)政治情勢は小康状態である。昨年6月出張した際は、プーチン大統領の後継者論議が盛んになりつつあったが、今回識者の見方は概ね、「プーチン大統領は三選を欲していない。それに、現在の憲法に反して三選を果たした場合の西側の反応も予測不可能だ。さりとて、プーチン大統領及び側近は、後継者候補を未だ決めていない。当面そのような状態が続くだろう」というのがほぼコンセンサスであるように見受けられた。但しわりと内情に通じている一人の識者だけは、「プーチン大統領はあと5,6年はポストについていないと改革が定着しないと考え、実は留任したがっている。しかし憲法との関係が問題だ」と述べていた。

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    (2)また、セーチン大統領府副長官、メドベジェフ第一副首相を軸にして、プーチン大統領側近がいくつかの派に分かれて暗闘を行っているとの見方がロシア内外の一部にあるが、「セ」、「メ」の間の競り合いをベースに全ての論理を組み立てることについては、多くの識者がためらいを示した。但し、軍内部の新兵いじめをめぐって世論の信頼感を失ったかに見えていたイワノフ国防相兼副首相が、ちょうど小生出張の頃から軍のGPSシステムの民間用開放等、大衆受けのするテーマで彼には珍しいスマイルをもってテレビ・ニュースに登場することが度重なるようになった。

    いつまでも「自信のない学生のような顔をしている」メドベジェフ第一副首相に対するプーチン大統領の不満が一部に伝えられる中で、注目するべき事象である。

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    (3)大統領候補は通常、当初は首相にして世論への浸透をはかることになっているが、インフレが昂進している現在、首相はその責任を負わされかねない。現在のフラトコフ首相は経済担当者としては失格なのだが、現状では彼を更迭して大統領候補を首相とすることは得策ではあるまい。メドベジェフ第一副首相は特命事項として教育、医療、農業という難しい分野を見ているが、例えば農業では500億円程度の予算しか差配できていない由。

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    6.日露関係

    (1)ある友人は、「90年代初頭と比べると、ロシアには2つの大きな違いが出てきている。一つは、ロシアも無下にその過去を否定することはしたくなくなったということ、もう一つは90年代初頭は『経済的に頼りになるのは世界で日本しかない』と多くの者が思っていたのが、今ではそうではないということだ」と言ったが、これが現在の日露関係についてのロシア側立場を如実に表した言葉だろう。

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    (2)一部のロシア識者には、「日本がシベリアを開発して中国の進出を防いでくれる」ことへの期待が見られた。これに乗ってみせる格好を取ることは可能だし、エネルギー資源や森林資源開発でそこそこのことが日本にできるだろうことも事実だが、ロシア人が期待するほど「シベリアを発展させる」ことはできないだろう。利益が見込めない他、現地でロシア人を使って案件を実現・運営することのできる日本人は決定的に不足している。それより現実的なことは、市場を控え利益率もそれなりにあるだろう欧州部に日本が投資し、そこから得られる経済的体力をロシア自身がシベリアに投資することであろう。

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    (3)これからロシアは次第に「選挙の季節」に入っていく。政権側はナショナリズムに訴えることをその戦術の一つとしてくるだろうから、北方領土問題の解決は難しい状況におかれるだろう。他方、今回出張のみならず、何回かロシアの識者と接して感ずることは、北方領土問題が以前の尖鋭さを失って、ロシアの識者も日本人に対する過度の警戒心がなくなり、当たり前の協力を追求する真摯さを見せる者も双方に増えてきたということである。

    昨年末のプーチン大統領訪日で日本の領土要求を拒否したロシアは士気高く、「これで日本は領土要求を棚上げして経済交流に応ずることになったのだ」と思いこんでいる、というひがみが日本側の一部に見られるが、一般のロシア識者はそれほど日露関係を細かくフォローしていない。彼らは、日本が領土要求を取り下げたとも思っていない代わりに、領土問題が解決しない限りは日本は協力をしてこない、とも思っていないのである。

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    (4)日露の識者が北方領土問題を念頭にアジア情勢を話し合うと、「中国の台頭は日露いずれにとってより大きな脅威か? 朝鮮半島の再統一は日露いずれにとってより大きな脅威か? 台湾の中国本土への統合は日露いずれにとってより大きな脅威か? 脅威を大きく感ずる方が、領土問題で譲歩してしかるべきである」という話しの展開になりやすい。これはつまらない論争で、双方とも蜃気楼について論じているのである。ロシア側でも、事態を心得る者であるほど、朝鮮半島の再統一や台湾の統合はそれほど差し迫った問題ではなく、当事者はいずれもStatus quoの維持を望んでいることを知っている。

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    (5)ロシアの実業家は、アジアを商売相手として自然な目で見るようになってきた由。しかしロシアは「物づくり」の国ではない。実業家と言っても、消費財の輸入でそこそこの利益を得ようとする者が殆どだ。そしてそうした者達は国際的なビジネスの常識をわきまえない。そこここで学習の過程が繰り返されているが、それでもロシアは東アジアに経済的に出てきている。そして、ロシアにカネ余りが生じつつある現在、彼らはM&Aの対象としてアジアも視野に入れていることを念頭に置いておかなければならない。

  • サウジ・アラビアの石油輸出破綻はユーロ・ドルを縮小させるか

    ユーロ・ドルとは、米国国外の諸取引の決済で使われる通貨と言うか、ドルと等価のクーポンみたいなもので、米国連銀の管理外にある。ただ、最後の帳尻の決済はニューヨーク連銀(欧州の銀行たちがここに持っている口座の間で)で行われるし、2008年のリーマン危機でユーロ・ドルの貸し渋りが起きたような時には、ニューヨーク連銀がスワップでドルを大量に供給した。

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    もともとは、ソ連や産油諸国が欧州の銀行に預けたドルが、10倍、20倍のレバレッジをかけて世界中の決済で使われているもの。

    今では、ドルを欧州の銀行に持ち込むのはロシア、湾岸諸国だけでなく、世界中の国、企業が持ち込む。

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    しかしイラン戦争で、湾岸諸国の石油輸出が止まると、彼らはドルを得ることもなくなり、欧州の銀行にドルを預託する量も減るだろう。これは、ユーロ・ドルの量を減らすので、ドル入手の際のプレミアムを引き上げるだろう。どのくらい上がっているかと思って、ChatGPTに調べてもらった。

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    ChatGPTの回答:

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    結論から言えば、サウジの原油輸出急減と同じ時期に、欧州市場でのドル調達プレミアムは明らかに上昇しています

    ただし、まだ危機的な水準ではありません。

    CMEのEUR/USDクロスカレンシー・ベーシス指数は、9月11日に約+0.7ベーシスポイントまで低下しています。

    今年1月には同じ指標が約+3.5bpでした。CME指数の表示では、数字が低下し、ゼロを割ってマイナス方向へ動くほど「ドルを手に入れるための上乗せ費用」が大きくなります。

    これはリーマン時や2020年3月のような「ドルが消えた」状態ではありません。

    ドルは以前より少し手に入りにくくなったが、ドル不足による金融危機とはほど遠いという程度です。

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    そして、最近の約3bpの悪化をすべてサウジに帰することはできません。米国債市場への警戒、FRBの金利見通し、欧州企業によるドル需要、銀行の四半期末バランスシート調整、中東戦争による安全資産需要も同時に動いています。

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    そして大事なのは、湾岸諸国が輸出代金を欧州銀行に預ける経路は、1970年代ほど支配的ではないことです。今日のドル流動性は、アジアの輸出企業、米国MMF、国際銀行、FXスワップ市場など、はるかに多源化しています

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    もしこの指数がゼロを突き抜けてマイナス10~20bpへ急落すれば、初めて「湾岸ドル減少が国際金融の目詰まりに発展している」と警戒すべき段階でしょう。

  • 国際海峡通航は国連関与で有料化を

    今、ホルムズ海峡だけでなく、紅海側のバブエル・マンデブ海峡の通航も、危なくなっている。

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    産油国、通商国家はたまったものでない。米軍も、ここを武力制圧する力はもはやない。ホルムズ海峡が危なくなったら、日本の「存立危機事態」と認定して自衛隊を出動させるかどうか、という議論も、米軍が及び腰の現状では意味がない。

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    ならば、カネで解決するしかないだろう。イラン革命防衛隊もフーシもカネが欲しい。ホルムズ海峡を通れないと、イランの原油を輸出することもできない。通航料で日本経済が成り立たなくなるような話ではない。国際海峡ではないが、パナマ運河やスエズ運河のような有料航路だと思えばいい。

    「沿岸諸国は決められた通航料を決められた割合で受け取る。スキームの管理は沿岸諸国、主要通航国、そして国連の代表が集まって行う」というような体制を作ったらどうだろう。

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    同じ体制をマラッカ海峡や台湾海峡で作るか? 作れるか? それはまた別の問題。

  • 「西東京市若者会議」

    世界も日本も沈滞している。筆者の住む西東京市も出てくるニュースは殺人とか火事ばかり。

    と思っていたら、この前駅前で、熊本地震被災者義援に募金を呼び掛ける若者のグループがいた。

    なんと市役所の職員たちがボランティアでやっているのだと言う。

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    市役所というのは、われわれが接する「役所」、「役人」の代名詞で、いろいろ批判されるが、見ていると大体は

    懸命に働いてくれている。その上、募金活動まで、と思って早速募金しておいた。ポケットにあったおつり、700円くらいだったが。

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    で今日、古い書類を整理していたら「西東京市若者会議 一期生大募集」というビラが出てきた。申し込みは今年の5月10日まで。なんと西東京市職員と意見交換して、「君の意見がまちづくりに反映される!」のだと。しかも市役所には、「子ども若者部 子ども若者応援課」というのがあって、ここが主宰するのだそうだ。

    もう数回会議をやっていて、その記録はM2-8.pdf にある。

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    市ではもう2年前から「若者ミーティング」というのをやっていて、そこで出てきた声をもとに、「奨学金返還支援」制度を立ち上げた。

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    こういうのは、本当に気分を明るくしてくれる。民主主義のあるべき姿。調べたら、同じような動きは全国の自治体に広がっているようなので、ますます希望を持てる。願わくは、「老人会議」というのも立ち上げて欲しい。

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    と思って市のホームページを見ると、「高齢者支援課」があり、その中には「生きがい推進係」という部署もある。至れり尽くせり。でもなんでもいいから、まず年金を増やしてもらいたい。