(米国の力が低下し、日本が自力でいろいろやらねばならなくなっている今、日米関係の現状をしっかりおさらいしておく必要がある。米国に過度に抑えられているところがあれば、それは是正していかなければいけない、米国を利用しすぎているところがあれば、自制しなければいけない。
ここでは、「最近増えている外国人株主はハゲタカのように、高い配当ばかり要求し、資金を投資や賃上げに向けることに抵抗する。これでは、日本人従業員・社員は外国人株主に貢ために働く奴隷のような存在だ」という見方を検証する。ChatGPTにデータ、資料を集めてもらい、Chat自身の見方も聞いて書いた、Chatとの共作だ)
河東哲夫
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有産階級⇒大銀行⇒内部留保+外国人株主 と動いてきた、日本の株式会社の資金源
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英国の株式会社は、19世紀前半の重工業化の中で確立していった。製鉄や鉄道のような案件には莫大な資本が必要で、これは株式を発行することで集めたのである。しかし、明治初期、約500もの株式会社の設立に名を連ねた渋沢栄一たちは(ChatGPTに言わせれば、彼の名は「士族・官僚・財界の信用ネットワークがついている」こと、つまり一種の保証を意味した)、株式を旧士族や地主など資産階級に売ることで、資金を用立てた。旧士族や地主の資産は土地なので、要するに土地を現金化して産業資本化した、ということになる。
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「株式会社」にこだわったのは、それが先進国のスタンダードになっていて、商法などの法的なインフラも株式会社を核に作られていたからだろう。ところで、英米の株式会社は本当に株式を発行して資本を得るが、日本は明治以降も資本市場が未発達だったので、財閥の銀行に資金を依存した。
戦後、財閥は解体されるが、財閥の銀行は系列の諸企業にとって「メイン・バンク」としての機能を続ける。しかし1991年のバブル崩壊以後、日本の大銀行は債権の不良化をおそれて、期限前の融資返済を企業に迫り、それによって企業と銀行の間の信頼関係は過去のものとなる。日本の大企業は以後、内部留保への依存を強めて現在に至る。
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日本企業の内部留保は現在600兆円を超えている。企業は投資資金の60~70%を、内部資金(内部留保・減価償却)、15〜25%を銀行からの借り入れ、5~15%を社債発行に依存。株式新規発行で得る分は数%と極めて小さい。新規発行すると一株の価値が下がりやすく、既存株主が嫌がるからである。
一方、米国企業は、投資資金の40~50%を社債発行で得ている。内部資金への依存度は日本企業より低めの約 40〜50%である(内閣府「企業行動に関する分析」)。
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内部留保への依存度上昇と並行して、1990年代には、外国人株主の存在が目立ってくる。同年代初めには株価総額の5%程度しか保有していなかったのが、2008年には30%に達している。その背景には、企業間の株式持ち合いが減って、別の株主を見つけてくる必要がでてきたことにあるだろう。
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日本の企業にとって、株価はなぜ重要なのか?
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日本の企業は新株を発行して資金を集めることは少ない。前述のように、新株を発行すると株価が下がって、既存の株主が嫌がるからであるらしい。ならば、日本の企業はなぜ株価の維持、上昇にこだわるのか。
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それは、株価は維持しておかないと企業の格が下がる。そうなると、社債発行の際の格付けが下がって発行条件が不利になる。そして株価が上がって企業の資産額が膨らむと、銀行も好条件の融資を出してくれる。更に株式交換でM&Aをする場合、自社の株価が高ければ、有利な条件で合併を進められる。
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というわけで、日本の企業も株価の維持、押し上げに熱心になった。しかし日本の投資家、個人は日本株をあまり買ってくれないから、どうしても外国人投資家に依存する。今や外国人投資家は、東証プライム市場の株価総額の30%相当を保有している。
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ワルいのは外国人投資家か、それとも日本企業の経営陣なのか
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そこで次の疑問は、「日本企業の株価を支える外国人投資家は、日本人にとって善なのか、それとも悪、つまり従業員をできるだけ低賃金で働かせて利益を上げさせ、それを吸い取る寄生虫のような存在なのか。それとも日本企業に合理的な経営を迫る善玉なのか」ということ。
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Chatに言わせると、「個々の外国人投資家によって異なるが、一般に、賃上げを抑制してきたのは日本企業自身の判断」ということになる。アベノミクスの時代以降、円安による輸出代金の水ぶくれ等で、日本企業の利益は増えていったが、日本企業は新規投資、賃上げの双方に慎重だった。円安という一時的な要因に浮かれて投資や賃上げをするわけにはいかない、なけなしの自己資本を毀損するようなことはしたくない、ということだったのだろう。
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Chatに言わせれば、外国人投資家が求めているのは資本効率(ROE)、成長(利益拡大)と株主還元で、「賃上げ」や「投資」そのものには反対していない。生産性が上がるなら賃上げOK、利益が伸びるなら投資もOKということなのだが、日本の企業はROEや成長には手を付けず、株主還元だけで外国人投資家をごまかそうとするから捩れる。
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ねじれの構造=業績を上げるより、配当と自社株買いで外国人投資家を繋ぎ止める
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この結果、日本企業の多くは外国人投資家を引き付けるために高配当をし、自社株買いで株価を吊り上げる。他方、投資、賃上げは躊躇する。それによって外国人投資家が日本企業、日本人従業員に寄生しているかのような構図を招くことになった。
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本来なら、内部留保は投資(賃上げも)に回して企業の成長をはかり、それによって株価を上げるのが王道なのだが、日本企業の多くは投資をためらう一方で、外国人投資家のカネで株価の維持だけをはかり、それによって外国人投資家のうち悪質な者を引き寄せているのだ。
悪質な投資家は日本人の中にもいるが、内部留保をため込んだ企業を安値で買収してはその資産を売り払って利益を得るのである。寄生虫にたかられにくい体質を作れば、株主-それが外国人であれ日本人であれ―とはウィン・ウィンの関係を作ることができる。日本の経営者と外国の投資家の間のコミュニケーションが重要だ。



