(これは2023年の春に書いたものです。今も賃上げの動きは続いているので参考になると思い、ここに復刻しておきます)
. 河東哲夫
今年の春闘では久しぶりに、ベア引き上げが目白押しになった。組合の要求を上回る引き上げを提示する企業さえあった。連合加盟の組合で、引き上げは平均3,8%。
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企業が賃上げしないから人々は財布のひもを緩めず、消費が伸びない。だから企業はもうからない。もうからないから賃上げできない。だから・・・の悪循環は、やっと断ち切られた。しかしこれでも、インフレをカバーするには至らない。実質可処分所得は下降を止めていない。中小企業は賃上げをする体力を持たないので、従業員を確保するのに四苦八苦。
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これは1950年代半ばからの日本の高度成長期の後半に見られた現象に、一部似ている。
60年代までの日本は貧しくて、1970年に外務省に入省した筆者の初任給は、確か2万500円。外国留学を終えて1974年に帰国すると、給料は確か7万円そこらになっていて、感激したものだ。
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しかしモノやサービスの値段もどんどん上がった。中小企業は従業員を確保するために、泣く泣く賃上げをしたのだが、製品やサービス提供価格も引き上げた。筆者が10歳くらいまでラーメンは30円くらいだったのが、1980年になると300円を超えていく。そして、1973年の石油危機がインフレに油を注いだ。
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それでも、賃上げはインフレを上回り、円レートが上がったこともあり、日本人の生活水準は急速に上がった。「戸別の風呂がついている」ことでひばりヶ丘団地は有名になったが、今の新築マンションのインテリアは、ふすまで六畳、四畳半に仕切られた窮屈な日本風のスタイルを完全に卒業している。




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