ウクライナ戦争は5年目に入っている。ウクライナはもちろん、大国ロシアもよれよれだ。イラン戦争で原油価格が急騰して受けに入っているが、戦車・装甲車はウクライナに何千両と殲滅されたし、大砲・砲弾でさえも、生産が消費に追い付かない。動員令を発すれば青年たちは国外に逃げてしまうので、兵員不足。
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そして世界はまだ気にしていないようだが、ロシアでは9月に議会(下院)の総選挙、統一地方選挙がある。筆者がロシアで在勤していた経験から言えば、「選挙を首尾よく遂行すること(民主主義の体裁を保ちながらも与党を勝たせること)」が、1年以上も前から政府の最大の課題になる。
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ロシアの選挙と言うと、西側ではまやかしだと思われている。だが普段はそうでも、時々火を噴く。2011年9 月の総選挙では、12月から翌年5月にかけて「開票結果の操作」に抗議、その実プーチンの大統領職への返り咲きに抗議する市民の集会が相次いだ。12月10日には、クレムリンから至近の広場で5万人を上回る市民が気勢を上げている――これはプーチンの肝を冷やしたことだろう。
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当時、SNSで市民に集会参加を呼びかけた野党指導者、反政府運動家はその後ほぼ殲滅されているし、SNS も情報が当局に筒抜けになるよう案配されている。「それでもCIAやMI6は仕掛けてくるだろう」と大統領府は疑い、対策を練っているに違いない。
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根本的な方法は、ウクライナ戦争を収めることだ。春、ぬかるみが収まった後の攻勢が天王山。ここでドネツ全域を征圧できれば、ロシアは勝利を宣言して、ウクライナ南部からの撤兵などを代償に停戦をはかることができる。これはベストのケース。
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目先を変える決め手はプーチン辞任(で院政へ)
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もし春季攻勢で失敗すると、そのままでは議会選挙は戦えない。「目先を変え」ないと、議会選挙はひどいことになる。兵役年齢の若年層には投票したいような野党がないから、大量棄権の行動に出てくるだろう。与党「統一ロシア」は保守的な高年層の支持で、現在の72%を上回る圧倒的多数議席を占めることになろう。当局には好都合でも、国際的には益々専制独裁だと揶揄される。
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目先を変える決め手は、大統領のすげ替え。プーチンは辞任して、「国家評議会」の議長職に専念する。この評議会はこれまでは「お飾り」だったが、国家の重要事項について関係省庁を調整することができる。プーチンの側近のデューミン補佐官が今、この評議会の書記として、地ならしをしているようだ。院政を敷く「プーチン議長」の代貸しとして、デューミンは大統領候補としての力を貯めていくだろう。プーチン辞任後3カ月以内に次期大統領を選挙しなければならないが、その間の大統領代行は憲法が定めるとおり、ミシュースチン首相で十分。
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西側は「プーチンが去ればロシアは自由な国になる」と言うが、それはナイーブ。大衆は「自由」などよりパンを求める。少数のインテリは、社会の隅々まで見張っている旧KGBに完全に抑えられている。ソ連崩壊の時のようにKGBが権力を失って「自由化」が実現すると、ロシアは大混乱に陥る。ロシアでは、「自由とは何でもあり」で、カネと暴力がまかり通ることになるからだ。
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2000年プーチン大統領が登場して以来、ロシアは本当に見違えるほど、近代的になった。しかしそれは原油価格の高騰と西側の資金・技術に支えられてのこと。自力で発展を続ける力を、ロシアは未だに持っていない。エリートは大国だと言って威張るが、世界で主役を果たせる存在にはならないのである。
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ウクライナ戦争は結局のところ、どちらかが倒れないと終わるまい。朝鮮半島のようにロシアは、紛争要因を抱え込んだまま、「大型の北朝鮮」になってしまいかねない。




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