(これは23日発行のメルマガ「文明の万華鏡」の一部です。ドイツは、国際政治においては大したプレーヤーとは考えられていませんが、2度の世界大戦では主役級だった国。米国が欧州という歯茎でぐらぐらし始めている今、随一の力を持つドイツの動向がじわじわと重みを持ち始めています。筆者は1979年~1982年、西独のボンで外交官としての経歴をスタートさせたものですから、そのあたりの皮膚感覚はまだ残っています)
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ドイツでは、メルツ政権が積極財政に転じ、これまでご法度だった国債の大量発行を通じて、これまたこれまで控えてきた軍備の大増強に踏み出している。これは、歴史的なライバルであるフランスの軍部など、一部疑心を抱く向きを生み出している。他方、これまで停止していた徴兵を再開しようとすると、青年層からの反発は大きなものになるだろう。
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一方、過激右派・親ロシアとされる(小生は必ずしもそうではないと思っているが)AfD党が州議会選挙で急伸してきたことで、ドイツの外交、対ウクライナ支援、対ロ姿勢は流動化し、NATO、米欧関係にも動意が生じている。何といっても、ドイツは欧州の蝶番のような国で、欧州の対米・対ロシア関係、そして欧州内部の政治地図はドイツの動向次第で大きく変わるのである。
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これらについて、ChatGPTと対話してみた。Chatとの対話は、考えを整理するのに役に立つ。
まず、メルツ政権がこれまでご法度だった国債大増発を通じて軍備を強化しようとしていることを、Chatはどうとらえるか。
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ChatGPT曰く:
「メルツの軍備増強は、ドイツを再び欧州の中心的軍事国家にする方向を持っています。しかし、それが直ちにドイツの対米自立や対ロ宥和を生むわけではありません。軍備増強の初期段階ではむしろ、米国製兵器・情報への依存、NATO統合司令部への依存、ポーランド、北欧、バルト諸国との協力、英仏の核抑止力への依存が強まります。真の自立は2030年代の問題でしょう」(筆者注:ここらへん、本当に冷静だ)。
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「AfDが台頭したことで、CDU政権が移民・財政ではAfD寄りになる、ウクライナ援助について金額と期限を厳しくする、『ロシアを倒す』から『ロシアを抑止し、戦争を終わらせる』へ表現を変えるようなことは起きるかもしれませんが、軍事力強化そのものは止めないでしょう。AfDの台頭は、ドイツ再軍備を止める力と、これに反発して促進しようとする力の両方を生むのです。」
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ChatGPTさらに曰く:
「その中で、二年後には欧州が三層に分かれている可能性が高いでしょう。
一つは、対ロシア最前線国家とも言うべき存在でポーランド、バルト諸国、フィンランド、北欧諸国です。彼らは対露抑止を強化し、ウクライナ支援を継続するでしょう。これに対して、英仏独の中核諸国家はウクライナ停戦は望むが、ロシアを信用せず再軍備を進めるでしょう。三つ目は「対ロシア融和・取引派」のハンガリー、スロバキア、さらに右派勢力が伸びる一部諸国で、彼らは対ロシア制裁緩和と経済関係の回復を求めるでしょう。
ただし欧州全体が2014年のミンスク合意の時のように、ウクライナを犠牲にしてロシアとの全面的な関係正常化へ戻ろうとする可能性は低いと思います。ミンスク合意が戦争を終わらせず、ロシアに次の攻撃の準備時間を与えた、という認識が東欧だけでなくドイツにも定着したためです」
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小生の質問:
「NATOというのは米欧同盟なのだが、最近ではトランプがしきりに欧州から米軍を撤退させるようなことを言っている。しかし僕は、それは脅しに過ぎないと思っている。米国自身にとって、欧州に基地を持っていることが重要だからだ。貴兄はどう思う?」
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NATOと米欧同盟についてChatGPT曰く:
「小生も、河東さんの見方にほぼ賛成です。米国にとって欧州の基地は、単に欧州防衛のためだけではありません。ドイツ、イタリア、英国、スペインなどの拠点は、中東・アフリカへの兵員、航空機、物資輸送、負傷者搬送と医療、情報収集・通信、海空軍の整備・補給、地中海・北極海・黒海周辺への展開に不可欠です。米国が欧州そのものに冷淡になっても、これらを全面撤去することに合理性はありません。NATOも東方防衛態勢を強化し続けています。
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ただし、一点だけ留保があります。
米国が欧州基地を維持することと、欧州を必ず防衛することは同じではありません。米国は基地・司令部・補給網を残しながら、通常戦力の負担を欧州に移し、NATO条約第5条(相互防衛義務)への政治的関与を曖昧にすることができます。
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したがって二年後のNATOは、解体ではなく、米国の核・情報・兵站という骨格の上に、欧州が通常戦力という肉を付ける、より取引的な同盟になっている可能性が最も高いでしょう。フランスの核抑止構想にフィンランドを含む十か国が参加し始めたことも、欧州がNATOを捨てるのではなく、その内部に『米国が来ない場合の保険』を作っている現象です。
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要するに、二年後の欧州は平和になっているというより、戦争を凍結しながら、次の戦争に備えている欧州だと思います。そして最も大きく顔を変えている国は、ロシアでもウクライナでもなく、実はドイツかもしれません。
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筆者の発言:
「貴兄の指摘の最後のところ、面白い。小生は1980年の頃、西独のボンで勤務していて、そこで「西独が秘密裏に核ミサイルを開発して、ある日突然、対米自立を明らかにする」というような小説を読んだ。それ以来、ドイツの自立は欧州、そして世界の政治地図をひっくり返すものだということを胸にしまっている。同じことは、日本についても言えるんだよ。この小説の西独のように核兵器を持つことはせず、中国に服属するという方向でそれは示現するかも。」
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ChatGPTの反応:
「ドイツについて面白いのは、1980年頃には「秘密の核武装」が対米自立の象徴として想像されていたのに、現在はもっと現実的な形――通常戦力、軍需産業、財政力、EU制度、そしてフランス核戦力との連携――で自立への道が開けてきたことです。
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しかしドイツの対米自立には、二つの方向があり得ます。
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メルツ型:軍事力を強化し、米国に頼らずロシアと対峙できるドイツ
AfD型:米国から離れ、ロシアとの取引を回復するドイツ
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両方とも「対米自立」ですが、欧州にもたらす結果は正反対です。前者はドイツ中心の欧州をつくり、後者は欧州を分裂させる。
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日本についてのご指摘は、さらに不気味です。日本の対米自立も、理論上は二種類あります。
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自前の防衛力と外交力を高め、米中双方に距離を取る自立。
米国の関与低下を受け、中国との衝突を避けるため譲歩を重ねる「対米自立」。
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後者は形式上は自主外交でも、実態は中国への段階的な従属です。中国は日本を占領する必要などありません。台湾、尖閣、先端技術、投資規制、歴史認識などについて、日本が北京の反応をあらかじめ忖度するようになれば、それで十分なのです。
つまり、日本にとって本当の分岐は「親米か自主か」ではなく、米国との同盟を足場に自主性を増すのか、米国から離れることで中国への自主性まで失うのかということでしょう。
つまり日本の対米自立は、米国を追い出すことではなく、米国が多少手を抜いても中国が手を出せない国になることです。ドイツも日本も、これから問われるのは軍備の量より、最終的に誰が、何を守るために、どこまで使うと決断できるかでしょう」
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(以上、ChatGPTは普通の専門家を超える思考力を備えている。既存の言論をコピペしたものではない。情報を取捨選択し、論理的に総合している。そしてそれは、近代の価値観に基礎を置くものとなっていてぶれないから、人間より信用できる)




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