この前雑誌で見て、Mahani Teaveという変わった名の女流ピアニストのCDを買った。聴いてたまげた。
これは、米国シアトルに住む映画監督兼プロデューサーのJohn Forsenが2018年、クルーズでイースター島(例のモヤイの石像で有名なチリ領の島)に寄った際、地元の観光名所にもなっている「音楽学校」で歓待された。そしてそこの庭で、粗末なアップライト・ピアノを弾いたピアニストに衝撃を受けたところから、話が始まる。
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彼女は地元のイースター島人の父と米国人の母の間にできた人間で、白人美人を浅黒くしたような顔をしている。感心したForsenは半年後には彼女を家族ごと、シアトルの自分の家に招き、最高のグランド・ピアノで彼女の演奏をスタジオ録音、エミー賞やグラミー賞を何度も取った友人プロデューサー達も動員してCDとして売り出した。
(https://www.amazon.co.jp/Rapa-Nui-Odyssey-Mehani-Teave/dp/B08NTX797B)。
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Forsenは最初、自分の判断が正しかったのか不安になったが、彼女の演奏を聴いたスタジオの技師たちは口々に、これまで聞いたピアニストの殆どよりいい、と言って、Forsenを安心させた。
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このCD “RAPA NUI ODYSSEY”は2021年、米国のBilboard誌のTraditional Classical部門で一位を獲得する。RAPA NUIとはイースター島のことだ。
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このCDはバッハ、ショパン、ヘンデル、リスト、ラフマニノフ、スクリアビンという奇妙な取り合わせなのだが(ベートーベンとモーツァルトがないのが面白い)、どれもすごい。ショパンのスケルツォ第1番、リストのバラード第2番が特に。
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テクニックと音楽性はもちろん、彼女の場合、その音、打鍵がものすごく変わっている。ピアノの音は打楽器的なところがあって、最初の打鍵がいやに響いてあとは減衰していくものなのだが、彼女のは「輪郭線のない画」のごとく、キーを「打っている」と言うより、「ずっと押している」感じ。打鍵のショックはなく、鍵盤を押している間の音量が減衰しない。太くボーンと鳴っている感じ。リストになると、こうしたいくつもの音柱が地響きを立てる。
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イースター島は今ではチリの一部で、欧州の文化圏にあるようだ。彼女はチリ本土、米国クリーヴランドとドイツ・ベルリンのHanns Eisler Music Academyで教育を受けている。それでも渡り鳥のようなコンサート・ピアニストになるのは嫌で、故郷のイースター島に自分で音楽学校(エコに配慮した作りで、建材に空き缶、ボトルを多用している。円形で変わった建物)を作って子供たちに音楽を教え、地元に音楽を広めている。こういう生き方も手ごたえがあっていいだろうなと思った。
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因みにYouTubeには彼女の実演がいくつも出ているので、無料で聴くこともできるけれど、音楽学校への募金も意識してCDを購入したらいいと思う。1枚の値段で2枚入っている。




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