今日、5月7日は日本の株式市場が活況で、平均株価は歴史的高値に達した。イランが停戦になりそうなことも、株価を押し上げる。
しかし、日本、米国の金融市場は不穏な動きを示している。双方とも、長期金利が上昇、つまり双方の国債に対する信用が失墜しつつあることを示しているのだ。国債に高利をつけないと売れなくなる時代、そして高利をつける故に、のちの利払いが急増して日米両国の財政をひっ迫させていく時代が、すぐそこにやってきている。
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これで、2008年9月のリーマン不況に似た「リーマン2.0」が起きるのだ、という声が日米双方で増えている。筆者もそのことを何度も書いた。
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しかし2008年9月と比べてみると、現状は当時と随分違う。「何がどう動くか」ということについて、念入りにシミュレーションをしておく必要がある。
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まず、2008年9月との違いについて。2008年は住宅バブルの崩壊を受けて、市場は景気停滞を見込み、長期金利は低下していた。住宅バブルの崩壊は住宅ローンから組成した「サブ・プライム」証券の値崩れと、サブ・プライム証券を抱え込んだ大銀行への不信を呼び、市場の資金は安全資産である国債の購入へと向かっていたのである。つまり、国債価格は上昇していた。またドル需要も盛り上がって、ドル指数は2009年まで上昇を続けた。
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今はそれとは、基本的な状況が違う。国の財政に対する不信から金利は上昇しているのである。インフレ期待もあってさらに金利が上昇していくと、国債価格は下がり続けて、やがて投げ売りされる。この時点ではドルも上昇を続けるが、市場が米国自体が危ないと思い始めると、下落を始める。そうなると、日米間の「円キャリー・トレード」は一気に解消して逆回り、そしてかなりの円高が起きるだろう。
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このあたりでFRBが介入して、資金を供給、更には国債の直接購入も始めるだろう。ドルは持ち直す。
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以上の過程においては、欧州での動向も重要だ。欧州での貿易・金融決済のかなりの部分はユーロ・ダラーで行われている。これは米連銀ではなく、欧州の民間銀行が貸し出しによって創り出す「ドル建て信用」である。湾岸諸国などから流入した石油代金のドルを基礎に、銀行間取引やデリバティブを通じて、このドル信用は大きく膨張している。
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リーマン危機の際には、銀行同士が相手の支払い能力を疑い、与信を一斉に停止した。その結果、欧州ではドル資金が枯渇し、決済に深刻な目詰まりが生じた。このとき欧州中央銀行はFRBとの通貨スワップを通じてドルを調達し、これを民間銀行に供給することで危機をしのいだのである。
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今回も、海外でのドル不足と決済の目詰まりは十分起こり得る。ただし今回は、FRBとの常設スワップ網がすでにあるので、2008年より早くドル供給は行われるだろう。他方で、今回は米財政や米国債そのものへの不信が混ざる恐れがあり、そこが2008年より厄介である。(この箇所はChatGPTが提示した表現のまま)。
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不信が支配的になると、金利が上がってもドルは下がるという、通念とは逆のことが起こり得る。それは、2025年4月の市場混乱の際、見られた現象である。
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今後オイル・ダラーが減少することでユーロ・ダラーが減少する場合、あるいはトランプが欧州をつぶすためにドルを供給しないなどの挙に出た場合、EU・英国はユーロ・ダラーを補う何らかの手段を開発するだろう。「ユーロ・ユーロ」もおかしいが、日銀などとSWAP協定を結んでユーロの価値を安定させた上で、ユーロ・ダラーの一部を「ユーロ・ユーロ」に直ちに振り替える等である。
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以上は、日本にとってはアベノミクスによる低金利の縛りから抜け出す格好の機会になり得る。日本は欧米での金利動向などをよく見て、柔軟に対応できる体制・頭つくりをしておくべきだ。アベノミクスの時のように、欧米が機敏に利上げをしていく中で、「緩和」一本で凝り固まり、法外の円安を招いて、今でもそこから抜け出せないような愚は避けたい。



