ChatGPTご託宣
ホルムズ海峡、閉鎖が長期化した場合、日本にどういう影響があるか、政府の言うことはどうも危機感をあおらないことに主眼を置いているようなので、本当のことがわからない。そこで、ChatGPTに聞いてみた。彼の言うことを鵜呑みにするわけではないが、政府の発言よりキレがある。
.
小生質問:「やあ。いくつか調べたい。日本の電力のうち、石油を使って発電されているものの比重(%)。次に、日本での石油の使途(輸送、化学工業の原料等)を割合つきで示してほしい。いずれも出典をつけて。これは、中東への依存度が過重な石油の輸入が止まった場合、日本経済にどの程度の影響があるかを知るため。最後の点について、貴兄の意見も聞きたい。」
.
ChatGPTの回答(一部省略):「結論はかなりはっきりしています。日本経済の急所は「発電」よりも、むしろ「輸送」と「石油化学原料」です。
まず、日本の電力のうち石油で発電されている比重です。
経産省・資源エネルギー庁が公表した2023年度の電源構成では、発電電力量全体のうち火力(バイオマス除く)が68.6%でした。内訳として、石油等は7.4%です。したがって、日本の電力のうち石油火力は約7%台と見てよいです。
.
次に、日本で石油が何に使われているかです。
石油連盟の2024年版資料によると、2023年度の石油製品(燃料油)国内需要は1億4,457万kLで、その内訳は、ガソリン4,450.5万kL、ナフサ3,616.0万kL、ジェット燃料1,179.8万kL、灯油984.2万kL、軽油3,122.5万kL、A重油666.0万kL、B・C重油438.1万kLでした。ナフサは石油化学原料として使われること、また日本の輸送用エネルギーの約97%を石油が占める(河東注:鉄道はそうではないと思うが)ことも示されています。
この数字を用途ベースでざっくり束ねると、こうなります。
輸送用(ガソリン・ジェット・軽油): 60.5%
石油化学原料(主にナフサ): 25.0%
民生用熱需要(主に灯油): 6.8%
工業用・船舶用・一部発電用(主に重油): 7.6%
.
私の意見を率直に言うと、中東からの石油輸入停止が日本経済に与える打撃は、「停電」より「物流・交通・化学工業・物価」の方がはるかに大きいです。輸入途絶の本丸は、トラック輸送、航空、船舶、農機、建機、そしてプラスチックや化学製品のサプライチェーンです。つまり、電気が全部消えるというより、モノが運べない、原料が足りない、価格が急騰する形で効いてきます。
だから、影響の順番としてはこうです。
.
短期では、備蓄放出で急場はしのげても、ガソリン・軽油・ジェット燃料・ナフサの配分管理が必要になり、価格高騰と一部 rationing が起きやすい。
中期では、物流費上昇が食品・日用品・製造業全体に波及し、石油化学原料不足が自動車、包装、電子材料などへ広がる。
長期では、代替調達先の確保、需要抑制、原発再稼働や省エネ投資の前倒しが進むが、その間の景気への打撃はかなり大きい。
.
必要なら次に、中東石油が3か月止まった場合の日本経済への影響シナリオを、輸送・化学・電力・物価に分けて、もう少し具体的に試算風に整理します。」
.
小生質問:「やってみて。加えて、これは電気自動車の劇的な普及をもたらすかな? 天然ガス、石炭で発電でき、これは中東に依存していない。その伝で行けば、化学工業の原料も天然ガス、石炭にスイッチできるんだよ。」
.
ChatGPT回答:「次は仮定を少し具体化します。3か月級の輸入途絶を想定したときのボトルネックを、備蓄・輸送・電力・化学原料に分けて見ます。そのうえで、EV普及や「石油→ガス・石炭」への置き換えが本当にどこまで効くかを切り分けます。
結論から言うと、3か月程度の中東原油輸入停止なら、日本は「即崩壊」はしないが、かなり痛い。しかも痛む場所は主に「電力」ではなく、「輸送」「物流」「石化原料」「物価」です。さらに、それが直ちにEVの劇的普及を生むかというと、そこまでは行きにくいです。
まず前提です。日本は2023年に原油を日量約254万バレル輸入し、その90%以上を中東に依存しています。一方で、日本の石油備蓄は2024年3月末時点で、国家備蓄142日分、民間備蓄85日分、産油国共同備蓄8日分があり、合計では約235日分あります。量の上では備蓄でしのげる範囲です。
.
ただし、そこに落とし穴があります。備蓄が235日分あるからといって、平時と同じように回るわけではありません。備蓄放出には速度の限界があり、製油所ごとに扱いやすい原油の種類も違う。つまり、3か月なら国全体としては耐えられても、価格高騰・配分統制・地域や業種ごとの不足は十分あり得る、ということです。
影響の強弱を順に言うと、まず一番痛いのは輸送です。石油が止まると、真っ先に揺らぐのは自家用車よりも、トラック輸送、建機、バス、航空、漁船・内航海運です。食料も部品も宅配も、運ぶ血流はなお石油で動いています。したがって、経済への第一波は「停電」より物流コスト上昇と配送の乱れになるはずです。
.
次に深刻なのが石油化学原料です。日本の石油製品需要のうち、ナフサが約25.0%(河東注:政府資料の中には、「ナフサは4割が国産」としているものがあるが屁理屈で、中東から輸入した原油を精製してナフサを得ているのだから、自給率はゼロ)を占めています。しかも日本の石油化学は、政府資料でも、石油精製で得られるナフサを分解してエチレンやプロピレンなどの基礎化学品を作る産業として説明されています。ここが詰まると、プラスチック、包装材、合成繊維、塗料、接着剤、電子材料、自動車部材まで波及します。つまり、石油は燃やすだけでなく、日本の製造業の材料そのものです。
.
(電力もその70%を天然ガスと石炭から得ているので、石油に依存するよりましですが)石炭は主に豪州とインドネシア、LNGもアジア・オセアニアなどに依存しています。中東ショックが海運、保険、為替、世界エネルギー価格全体に波及すれば、日本のLNG・石炭火力コストも上がります。
.
3か月シナリオをざっくり言えば、こうです。
第1段階では、備蓄放出で物理的な欠乏は避けつつも、ガソリン・軽油・ジェット燃料・ナフサの価格が急騰し、政府は優先配分を考えざるを得なくなる。
第2段階では、運賃上昇が食品・日用品・建設・製造業全体に転嫁され、石化原料不足が広がる。輸出企業も国内サプライヤーも苦しくなる。
第3段階では、電源シフト、省エネ、原発再稼働圧力、燃料調達先の分散が進むが、その前に景気はかなり冷える。
.
では、これがEVの劇的普及をもたらすか。私の見方は、中長期では加速するが、短期には「劇的」とは言いにくいです。理由は三つです。
第一に、日本のEV販売はまだ低く、IEAによれば2024年時点で新車販売に占めるEV比率は約3%です。これを危機ひとつで一気に20~30%へ持っていく土台は、まだ十分ではありません。
第二に、政府自身が、EV普及の障害として充電インフラ不足を認めており、2030年までに15万基の充電設備整備を目指しています。逆に言えば、いまはまだそこがボトルネックです。
第三に、石油依存の本丸は乗用車だけではない。航空、船舶、長距離トラック、建機、農機は電動化が遅く、ここが日本経済には重い。だから危機が来ても、すぐに「みんなEVに乗り換えて解決」にはなりません。
ただし、危機が数年単位で続くなら話は違います。そうなれば、日本では乗用車はEV・PHEV・HEVへ、都市物流は小型EVへ、鉄道シフトは加速し、発電の脱石油・脱炭素も前倒しになるでしょう。つまり、危機は方向を変えるが、EVへの転換速度はインフラと車両更新年限が決める、ということです。
.
次に、あなたの後半の指摘です。
「化学工業の原料は天然ガスや石炭にスイッチできるのではないか」――理屈としてはその通りです。世界には、天然ガス由来のエタンやLPG、さらには石炭ガス化→メタノール→オレフィンのルートもあります。IEAも、メタノール・トゥ・オレフィンは石炭を主原料とすることが多いと説明しています。
しかし、日本について言えば、短中期には簡単ではありません。政府資料でも、日本の石化は今なおナフサ中心です。そして将来の脱ナフサは、いまのところ「すぐ天然ガスや石炭へ全面切替」ではなく、CO2と水素から炭化水素を作る、あるいはナフサクラッカーの燃焼をアンモニアに置き換えるといった、かなり先を見た転換として語られています。つまり、代替技術は見えているが、危機対応の即効薬ではない。
要するに、私の意見を一言で言えばこうです。
中東石油が止まったとき、日本の最大の脆弱性は「電気が足りないこと」ではなく、「石油が交通と材料に深く食い込んでいること」です。」
.
以上、Chat GPTは同じことを繰り返すことがあるし、目覚ましい解決策を提示してくれるわけでもない。しかし考えを整理するには便利だし、自分で統計類を探しているよりは確実に速い。



