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赤澤亮正氏の「トランプ関税 交渉の記録」を読んで

 

赤澤氏には、失礼ながら顔に騙された。トランプ大統領に赤い帽子をかぶらされてかしこまっている写真とか見て、心配になっていたが、実際は所を得た人選であったのだ。

コーネル大学に留学しているし、運輸省出身で現役時代は航空交渉(どこの国のどの航空会社に日本のどの空港に何便の着陸を認めるなど、切った張ったの交渉)もいくつか手掛けている。

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そして日本での報道を見ていると、ひょいひょいひとりでワシントンに出かけては、ラトニック商務長官だけを頼りに危なっかしい交渉を続け、ろくに記録も取っていない、ということになるのだが、彼は実際には外務省、財務省、経済産業省の幹部をいつも引き連れ、交渉のための文書、あるいは記者会見での発言案作成など、魔術師の速さで書き上げてしまう彼らの上に乗っかっていたのだ。官僚出身だから、そのあたりの呼吸は心得たものである。

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そしてトランプの言い分を聞いていると、米国が日本の約束した5500億ドルの投資を思うがままに使い、利益もすべて米側が手にするように聞こえるのだが、それは彼の国内向けの発言で、実際の「投資」は融資が中心なので、返済されるものである。そしてその融資を使っての投資案件は、日米双方の合意がないと進まない。使う資材の多くは日本製である。だから日本は、日本にとっても良いディールをしたのだ。

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というのが、この本の結論。筆者もそれに賛同する。「自動車関税は何としても軽減してもらう。日本側は米製品に対して関税を引き下げることはしない。代わって大規模な投資を行う」という立場を交渉の始めから変えず、そのために交渉が長期間止まっても立場を変えなかった。それが効いたと言うよりも、「日本に関税を下げさせて僅かな利益を得るより、5500億ドルという膨大な投資をしてもらう方がはるかに得」ということに、米側も気がついたのだろう。

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ここは、赤澤氏の背後で盤石のごとく、「日本は関税ではもう譲れない。関税ではなく、対米投資増大でトランプの要望に応えたい」という立場を貫いた石破総理の功績でもある。

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この赤澤歌舞伎は、その真価・真相が語られないうちに、もう忘れ去られようとしている。政治・外交はきちんと総括しないと、誤りは繰り返されるし、好例が学習されることもない。もったいないことだ。

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