タッチが素晴らしいピアニストは何人もいる。その中で、僕が最近はまっているのは小林愛実。一つの音でも、力を入れ、不意に抜く(感じ)と、支えを失った感情が宙にたゆたう。こういう芸を彼女は本能的にやっている。そして音色は、色のついた透明感、とでも言おうか。
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彼女はショパン弾きとして知られているけれど、シューベルトが素晴らしい。ある日、ソナタの20番イ長調を聴きに行った。その先は、小林愛実と言うよりシューベルト自身の音楽について。このソナタは、シューベルトがわずか31歳で死ぬ年に書かれたもの。
諸説あるが、第二楽章を聴いていると、死を完全に予知していたとしか思われない。
静かな諦念から始まるが、突然調整も脈絡もかなぐり捨てて音楽は荒れ狂う。なんで自分が死ななければならないんだ!
小林愛実が強く打鍵しても、音の裏には虚無が漂う。シューベルトは狂う。叫ぶ。そして叫びはしばし中断する。「何を言おうが、もうおしまいなんだよ」---
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(次の演奏は小林愛実ではありませんが)




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