どんどん丁寧になって息がつまる社会
この頃感じているのは、店がサービスの質を競うこともあって、虚礼の上塗り現象が最近やたら激しくなり、息が詰まるということ。過剰エチケットなのだ。
「タクシーでは後席の奥の方が上席」とは一体誰が決めたのか? 雨の時、重いカバンを持ち上げながら右側へずれていくだけで、心臓発作を起こしていつか死ぬのではないかと思う。
スーパーでカードで払い、カードを財布にしまっていると、レジ係りがレシートをさっと両手で捧げて、「速く受け取ってよネ。次の客が待ってるんだからサ」と目で催促。こちらはカードを財布にしまう作業を中止し、財布を横に置いて両手でレシートを恭しく拝領する。そんなの、カゴの中に放っておいてくれればいいんだよ。
エレベーターに乗ろうとする。すると中から、「開」ボタンを片手で押したまま降りる人がこの頃増えた。これがエチケットになったのだろう。でもね、エレベーターに乗り降りする客がいれば、ドアは光センサーで感知して閉まらないようになっているはず。こちらはいつも、片手を広げ入口を半分もふさいで降りてくる客の横を急いで回り込み、コントロール盤の「開」を押す役を引き継がなければならないから、疲れること疲れること。
駅の通路を歩くとき。年配の女性は他人の進路に気を使い、進むのをわざとためらって見せたりする(それが慎ましさを示すエチケットなので、1秒後また進み始めるのだが)。その「儀式」に費やす時間のじれったさ。かと思えば、若い娘はイージス艦のように周囲の舟は踏みつぶさんばかりに進路を変えない。外国との関係もこの調子でやったら、そこらじゅうで衝突だ。もう大変だヨ。
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