師走のご挨拶
あわただしい師走で、資料を読もうと思えば何も書けず、いざ書き始めると資料の山がたまるという毎日でした。
一月前、国際問題研究所の派遣でブラッセルとベルリンに行ってきました。共同研究プロジェクトで、NATOの現状を調べることが目的でした。
東では日米安全保障条約が、西ではNATOがそれぞれ米国を勧進元に地域の安定維持装置となっており、NATOと比較することは日米安全保障関係を考える上でも多くのヒントをもたらしてくれます。
今回感じたことを小論にまとめましたので、是非このwww.akiokawato.comで御覧いただければ幸甚です。
「金融恐慌の現在、NATOとか欧州とか関係ないだろう」とは言えません。オバマ新政権発足直後から、東アジアでの日米中韓関係をどう運営していくかという議論は始まります(もう始まってます)。日米安全保障関係の今後について、今までの惰性を洗い落として考えておく必要があるのです。
金融恐慌と言えば、犬と近所を散歩していると、ほとんど怒りをおぼえます。
世界でNo.2の経済大国と既に30年ほど言われながら、いったいどうしてこんな粗末な住宅地しか我々は持てていないのか、住宅投資という乗数効果、波及効果の高い投資をどうしてもっとちゃんとしてこなかったのかということです。
東京は都心でさえ、消防車もろくに入り込めない住宅地が主流です。土地が狭い? いや、原因はもっと複合的なものでしょう。当局の政策の欠如だけが原因でもありません。デベロッパーの強欲、消費者側の「いい家」についての想像力の不足、そうしたもの全てが原因でしょう。
逆に言えば、住宅を広く良くすること、電線を地中に埋設して電柱をなくし、歩道、自転車道を整備すること、景観を良くすること、老年世代によるセカンド・ハウスの購入を促進すること等々で、日本経済を輸出依存から内需主導へ転換することはできるでしょう。
日本はものづくりの国だ、ロシアのような石油一辺倒の国とは違う、と胸を張ってみたところで、日本も輸出一辺倒ではありませんか。この頃私は、これまで拠り所にしてきた日本についての誇りの根拠が次々に崩されていく感じがしています。
クラいトーンで終わりましたが、本年中の皆様のご支援に感謝申し上げますとともに、来年の御多幸をお祈り申し上げます。
経済が底を打つことを強く願っています。産業革命以来の経済発展はこれで終わりではありません。中国もインドもこれまで言われていたほど速くは発展できないでしょうが、合計20億人以上もの人口がこれから豊かになっていくことの波及効果には大きいものがあるでしょう。
「蟹工船」がベスト・セラーになっているようですが、ソ連型計画経済が如何に国民の福祉に反したものであったかは、いくらでもお話しすることができます。
団塊の世代が学習したことは、記録にして残しておくべきです。
河東哲夫
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