2009年05月16日
生産と消費の場所が同じになるとき
産業革命が起きて、世界の経済史がプラスサムの方向にぐいぐい動き出して以来、モノを作るところとそれを消費するところは違うことが多かった。産業革命期の英国は、輸出依存度が30%以上はあったと言うし、綿織物に至っては大量生産したものの80%程度は輸出していたらしい。生産と消費が場所的に一致していたのはアメリカくらいのもので、他は植民地にモノを売りつけて大きくなったのだ。
戦後、生産地の東アジアと消費地である米国の間の乖離は激しくなりすぎた。このねじれから生まれた余計な資金が、今回の不況の原因だ。ところがこれからは、中国、インドと大市場の足元でモノが生産されていく。生産地と消費地が収斂するのだ。これは、他の国々にとって、どういう意味を持つのか? 富の蚊帳から完全に外に出されてしまうのだろうか? 金融バブルはこれからもっぱら、中国、インドの内部で起きるようになるのだろうか? そんなことを今、考えている。 河東哲夫
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