これまでは政府を忌み嫌い、蔑んできたはずの人達が、北朝鮮の核や中国の力を目前にして俄かに国家主義者になってきた感がある。
でも、日本が「当たり前の国家」になるのすら反対し政府の手を縛ってきながら、今になって突然政府が何もしてこなかったとなじるのは、おかしなことだ。
政府がやってきたことーーーそれは日米安保の運用と改善、中期防衛計画による自衛隊配置、装備の改善等々で、割とちゃんとしているではないか。
核がない？　それは日本の世論が核兵器に対して敏感で、非核三原則を守ってきたからだ。

1980年頃冷戦華やかなりし時代、ソ連が欧州に向けたＳＳ－２０というミサイルを配備した時、ＮＡＴＯは米軍管理下にＰｅｒｓｈｉｎｇ－２というソ連向け中距離ミサイルを配備することを決め、それによって双方をゼロとする解決に持ち込んだ。
その頃、僕は西ドイツで勤務していたけれど、こうした戦術の是非をめぐっては、非核・敗戦国の西ドイツではＩＮＦ論争と言って、論戦が澎湃と巻き上がった。でも、最後は軍縮ができたのだ。
同じことを日本でやろうとするとどういうことかと言えば、それは米国による核兵器持込を認めるということだ。自分で核爆弾を持つのだ、と息巻く前に、まだ試していない他の可能性もあることを考えては？

それにそんなに日本を強く見てもらいたいなら、戦後ずっと１００の単位（これこそ敗戦の印を貼り付けたままの国辱もののレートだ）ではりついたままの円・ドルのレートでもデノミしたらどうかと思う。今なら1ドルが1,2円。こんな数字上のことで、世界が日本を見る目は随分変わると思う。

北朝鮮が核ミサイルを飛ばせるようになるまで、まだ何年もかかる。まず、デノミでもしておいたらどうかと思う。デノミは経済が比較的落ち着いている現在が、チャンスではないのか？