熟年エンジニアの海外流出
昨日ネットをぶらぶらしていたら、「日本人エンジニアの中国移住支援」というサイトが目に付いた。覗いてみると、随分派手に日本の熟年エンジニア達を中国に誘い出している。市場経済だから自由だし、日本企業は日本企業で中国やインドのITエンジニア達を雇っているので相身互いではあるのだが、やはり日本の物づくりノウハウが全部筒抜けになり、日本がいっそう空洞化してしまうのではないかと心配になる。現場を知る人たちの意見を聞きたい。
僕の考えでは、「足りないものは外国からなんでも買ってくればいい」という中国企業の考え方は、結局大した実りをもたらさないと思うのだ。日本の熟年エンジニアを数人雇ったところで、彼らを生かすだけの課題を企業がうまく与えられるかどうか。そしてサポート体制を組めるかどうか。それは企業予算の配分、労働者募集・訓練のやり方、そして最先端の工作機械の有無、徹底的なマーケット・リサーチと社内の意思決定のための合理的なメカニズム、すべてについてだ。一つの企業にずっと居ついて長期的な視野から業容を考えるような幹部は少ないだろうから(共産党幹部のたらいまわしにされているポストも多数あるはずだし、それにもともと中国の大企業には国営企業が多く、ここは生産量至上主義で動いているはずだ)、日本人エンジニアも実力を発揮しきれないのであるまいか?
だから、日本で伸びている部門のエンジニアはできるだけ日本にとどまるような手当をした上で、もう開発のピークを過ぎてコモディティー化してしまったもののエンジニアは、それらの生産の中心地である中国に行ってもらって構わないのではないか? ついでに所得税を取れれば、御の字である。
ついでに、僕のような中古の外交官も引き取ってくれないかと思う。無理か。高いばかりで走らない?
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