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経営学

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2010年7月15日

聞け! 下づみの声 2――中堅幹部から「経済国士会」結成の呼びかけ

ビジネススクールで企業中堅幹部と議論すると、彼らのやる気と危機意識、そして日本の現状の不甲斐なさへの憤懣がひしひしと伝わってくる。
そのうちの一つを紹介する。外国のパートナーが国営から民営に移行して人が変わったり、日本の大企業が定期異動を繰り返すために、人のつながりが薄くなり、他国の企業に負けてしまう、ということをどう改善するか、ということについて。
まあ言ってみれば、個々の企業は官僚組織化して内部の決定が小回りがきかず、他方財界団体は以前のように「会長ミッション」を海外に送っては先方と協力の方向を定め、大型商談をいくつも成約してくるという力を失った(と言うか、個々の企業が大きくなりすぎたのだろう)ことが背景にある。
どうするか? 言うは易く、行うは難し。OBを活用するのも手だが、カギは適当な人がいるかどうか、そしてそういう人を実際に長期雇用できる態勢があるかどうかということ。では、

「学生」から:(一部編集)
日本企業は一般的に、海外駐在のリーダーは日本人Rotation Staff(RS)で維持している
ので、5-6年経過すると後任が赴任してきて、これまで前任が構築してきた現地顧客との関係を引き継ぐ、というパターンを繰り返します。確かに、顧客との長期的な関係維持という観点からはマイナスに働くものの、他方、冗長化を防ぎ、新たな観点から顧客関係を見つめなおす、癒着を正す等、プラス面もあります。

また、顧客の不満も考慮し、RSの駐在期限を延長したり、二度目の駐在をさせたり、当該地駐在経験のある退職者の再雇用・再派遣など、具体策を打ち、一部新興国では重要顧客との関係強化に効果が出ている例もあるようです。

更に手を打つとすれば、「経団連」やら「経済同友会」のような財界諸団体の国際化をもっと進めるということではないでしょうか。語学力、カリスマ性を備えた人材が必要です。特定企業の枠組みでやろうとすると、どうしても我田引水の疑念を招いたりするので、ある程度中間的な立場のOBに日本の利益代表として動いて頂くのも手です。国のために一切のPrivateを捨てる覚悟の人材、即ち「国士」が必要です。

海外に拠点を展開している一部上場企業の社長さんは引退後、適格者として「経済国士会」にでも所属していただき、そこから経済的ロビイング活動をやってもらうような仕組みづくりが出来ないものでしょうか。

日本ではどうもロビイング=汚い、という短絡的な発想があるようですが、今この競争の激しい時代、江戸時代のような悠長な心境ではとても勝ち抜けず、必要なロビイングはやる方向で行くべきと考えます。

教師より
全く賛成。でもそういう仕事は1~2年が限界ですよね。体力的に。

コメント

投稿者: katsumata | 2010年7月15日 14:37

「日本企業の駐在員(現地法人の重役として赴任する人
含めて)が数年のスパンでローテーションする」という
事象が問題なのではなくて、彼らのなかに「そういう
ローテーションを前提とした(腰掛け的な)スタンスで
仕事をする人」が多分に含まれていることが問題なのだ
と感じています。
そういうスタンスが、現地での「ゆるい仕事」につながる
のです。

赴任半年で、もう何年も前からそこに駐在しているかの
ような、濃密な関係を作り出す人もいれば、何年いても、「もう何年ここで仕事してるんだっけ!?」と思ってしまう
ような人もいます。
日本企業は、そういう人の存在を容認(見てみぬふり!?)
する度合いが高いのかな、と。

また、(表面的な観点での)語学力も、たいした重要
ポイントにはならないような気がします。
「言葉が通じるか・通じないか」などということでは
測れない「コミュニケーション力」といいますか・・・。
肝心なことは、とりわけ民間企業の立場からいえば、
いかに「成果を収益として結実させることができるか」
に尽きるわけですから。
そういう能力こそ大切で、それがあれば、語学力なんて
どうでもいいといえばどうでもいいのだと思います。
だから、ひとつの外国で成果が出せる人は、どこの国へ
行っても、たいてい成果が出せるのだと思います
(いちいち赴任した先々の言葉に精通するわけにはいか
ないでしょうから)。

これは私の極論かもしれませんが、とりわけ中国での
状況を見ていて感じることは、現地でうまくいっていない
日本企業ほど、「中国語が流暢な日本人=中国でうまく
仕事ができるはず」と思い込んで採用や赴任をさせる
ことが多く、現地でうまくいっている企業ほど、「表面
的な語学力とは別の視点で人を見ている」ような気がして
おります。

投稿者: 河東哲夫 | 2010年7月15日 16:08

Katsumata氏の御意見にも賛成します。
ただ言葉を全くやらないでいいかというとそんなことはなく、Katsumata氏もそこまでは言っておられないと思います。
言葉に対しての前向きな姿勢を見せない人は相手に対してもいい加減な気持ちで接しているのではないかと思われる時があります。
そこはアメリカの外交官は偉くて、ウズベキスタンでもウズベク語でかなり挨拶できるくらいに勉強していました。

投稿者: katsumata | 2010年7月16日 13:17

自動車生産の一大拠点となっている、中国内陸部の重工業
都市にて、日本の自動車会社から出向している現地法人の
重役に連れられ、その方がなじみにしている小料理屋
(一応日本料理の看板はかかっていますが、スタッフに
日本人はいません)に連れて行っていただいた時の話。

いざ食事が始まったかと思うと、お店のメニューには書か
れていない、「そんなものが中国で食べれるとは」という
日本の家庭料理が次から次へと・・・・しかも、中国人が
つくっているというのに、味付けまで、日本で食するもの
と全く変わらず・・・。

その理由を聞くと、その方曰く・・・
「中国の奥地に来て生活をするんだから、食べ物くらい自分が食べたいものを食べたいじゃない。だからといって、
日本語に不自由しない日本料理のレストランばかり入り
浸っても、面白くないでしょ。だから、しょっちゅうこの
お店に来て、彼らに、一品一品、料理の作り方を教えて
あげたわけよ」
その積み重ねが、次から次へと出てくる家庭料理に結実
していたのでした。中国語が満足にしゃべれるとはいえ
ないその方の懸命な「身振り手振り」は、非常に正確に、
生き生きと、彼らのレシピとなって伝わっていました。

現地の日本料理店に入っても、日本で出てくるような
日本料理が出てこない、味も違う・・・・などと文句を
言うのも簡単だし、「そんなものだよね」とあきらめる
のも簡単です。
そこで終わってしまうのか、もう一歩を踏み込むのか
・・・単なる食事の話というなかれ、ビジネス全般に
共通する話かと思います。

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