2020年1月16日
日本はスタートアップが少ないから新技術開発で米欧中に負ける のか
(これは昨年12月25日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」第92号の一部です)
「日本はスタートアップが少ないから新技術開発で米欧中に負ける」。こういう議論をよく聞くが、それは大事なところを見落としている。
それは、日本は「大企業で終身雇用」が相変わらず社会の主流で、大企業は技術者を不要な程多数抱え込み、「何でも内製」の原則でやっている、ということである。
優れた技術者・科学者は、資金・人材集めで走り回らずとも、企業内の人材、資力を使って新技術を開発できる。シリコン・ヴァレー流に言えば、「エンジェル」は自分の勤める企業自身、つまり企業内ベンチャーなのである。今年、リチウム電池の開発でノーベル化学賞を受けた吉野彰氏にしても、旭化成のチームの一員としての自分を強調している。
しかし大企業は、社内でやっている新技術開発の詳細をしゃべらない。それはもちろん、競争相手に手の内を知られたくないからなのだ。だから、米国や中国のスタート・アップ企業が技術成熟度60点で新製品を発売する時、日本の企業はまだ黙って検証を続けていて、成熟度90点(例えて言えばの話し)を超えたところでやっと新製品を発売する。成熟度90点を超える製品としては、世界で最初の部類に入るのだが、目立たない。目立たないながらも、数年で市場シェア上位に達することだろう。
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