「日本は世界で何をやっても認めてもらえない」?
「日本は世界で何をやっても認めてもらえない」とひがむ人がいる。僕もそう思ってへこむ時がある。でも、考えてみればそれはどの国についても言えることで、日本は例えば西欧の国々に比べても世界のマスコミで言及されることは多い方ではないか?
とは言え、昨日ワシントンのシンクタンクから来た連中を連れてJICA(日本のODAを集中的に実施している世界的な援助機関)に行った時のことーーーーーーーーーー
JICAの人たちから入れ替わり立ち替わり、アフガニスタンやその周辺諸国、そして東南アジアに至るまでの日本のODA案件の素晴らしさを3時間にもわたって刷り込まれたあげく、アメリカ人たちは上気気味だった。何しろJICAの人たちは英語力があるだけでなく、戦略意識、目的意識が明確、かつアメリカ人の質問に対する回答が適確、かつ誠意のあるものだったから。
「すげえ。日本はこんなにやっているのに、どうして世界で認めてもらえないんだ」――JICAでのイニシエーションが終わり、近くでトンカツを食べながら、そう言ったのは韓国系アメリカ人。
僕は言う。「日本は別に、他人に認めてもらうためにやってんじゃない。日本のODAは自分のためでもあるんだから。まあ、とは言え、日本がいいことをしても、それをできるだけ認めたくない、認めようとしない、という風潮はアメリカのマスコミや学界にもあるよな。ほとんど意図的だ。なぜなんだろう。」
朝鮮系アメリカ人。「そう。日本がやったことと言うだけで、冷笑する雰囲気がある」
白人系アメリカ人。「そうなんだよな。みんな、日本はそうやって当然だと思っているんだろ。(安保で米国に依存しているんだから、代わりにそのくらいは)当然の義務だと思っているんだ」
僕。「そういうこと。腕っ節が強くないと、男社会では相手にしてもらえない。日本は海外で軍事力を使うことを憲法、そして世論によって封じられているから、ODAとか文化とかで勝負するしかない。敗戦した日本にとっては、ODAなどもう自分の存在証明とも言える聖なるものなんだよな。でもそうした行き方は、世界の男社会では笑い物なんだろう。マッチョじゃないんだよな。口惜しいけど、仕方ない。」
(アメリカのマスコミは、日本ばかりが対米輸出で儲け、アメリカの企業は日本市場で儲けさせてもらえなかった80年代、日本に対して厳しかった。日本の悪いところ、変わったところばかり見つけては、笑い物、なぶりものにしていた。
今はそれは日本無視に代わっている。日本経済が中国沿岸部や東南アジアにspill overして一大経済圏を作り上げていることにも気がついていない。「中国はすごい。日本はダメ」で凝り固まっている。だから日本が謙虚にしていれば、そのうち日本についても好意的な評価が高まってくる可能性がある。
韓国の人たちは面白い。彼らは経済力がついてきたのに伴い、「世界に向けて発言。世界で行動」し始めている。日本のように、それを抑えられたり、笑われたりすることもない。日本がいろいろなことを考えて静かにしていたり、謙虚にしていると、韓国人はそれをじれったがる。「もっと声を大にして自分の意見を言えばいいじゃないか」というわけ。「そんなこと言ってると今に転ぶよ」、とこちらは思うのだが、韓国は意外に転ばない。というか、日本のように転ばされてしまうことがない。ここらへん、日韓の間のねじれ要因になってくるかもしれない。
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