2011年2月12日
「エジプト革命」――権威主義社会は民主化不能?
「エジプト革命」で現地の青年たちは意気盛んらしいが、これからは茨の道が待っているだろう。ムバラクを追い出せばそれで全てが良くなると言うものではない。一部の連中が国内利権を独り占めしてうまい汁を吸う構造は、そんなに簡単にはなくならない。彼らは警察や秘密警察を使って、反対派を抹殺しようとするだろう(隠密裏、そしておおっぴらな暗殺・襲撃、そして逮捕)。そして経済が発展しなければ、若者たちの生活も良くならない。
権威主義社会を民主化するのは、至難の業だ。1991年ソ連が崩壊して民主化への道を選んだロシアでも、地方の知事は選挙から任命制へと逆戻りしてしまったことが示すように、権威主義の社会はその権威を崩すと社会のタガが外れて(つまりあらゆるコネの構造が壊れて、生活できなくなる)大混乱しがちで、犯罪と横領の氾濫に音を上げた大衆自身がまた権威主義の復活を自ら求めるのだ。フランス革命のあとのナポレオンの登場もそれである。
戦前、権威主義社会だったと言われる日本が、ブッシュ前大統領が言うようにみごとに民主化したのは、米占領軍が抑えとして存在していたことが大きいだろうし、それよりも日本社会自身、昔から自営農家が主流で、彼らの寄り合いでものごとを決めるという伝統が確固としてあったからだろう。ロシア、中央アジア等、権威主義の国々では、自営農はほとんど存在しなかった。
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