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世界文明

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2020年5月31日

コロナ後 の世界

(27日にまぐまぐ社よりメルマガ「文明の万華鏡」第97号を発行しました。これはその冒頭の記事です)

「コロナ後」がしきりに話題になりますが、ワクチンができれば、あるいは常時消毒体制ができれば(たとえば人体に害にならない波長の紫外線のランプを室内で照射するとか。因みにこれはウシオ電機が開発しており、私はここの株を買ったばかりですので、お断わりしておきます)、コロナもエボラやエイズと同様、「のど元過ぎれば」になるでしょう。自宅勤務が定着するとか、それだけ大きなオフィスはいらなくなるとか言われますが、どうでしょうか? ZOOM会議とかWebinarとかいうものは、これまで長年実際に付き合ってきたからこそできるものなので、実際のつき合いを完全に代用するものにはならないと思います。

コロナ後の日本にとって大きな問題は、「安倍後」をどうするかということでしょう。一部の世論調査では支持率が30%を割りました。まあ、コロナ緊急事態を解禁し、その後感染者が再び急増するようなことがなければ、安倍総理への支持率も回復するでしょう。しかし、現政権に賞味期限が来ていることは明白です。その後、どうするか?

こんなことを言ってもしょうがないのですが、今の日本の政治全体が賞味期限を迎えている気がします。与党も野党も。かと言って、何をどうしたらいいのかは見えません。総理を公選制にして、山本太郎のような人物を総理にすればうまくいくものでは毛頭ないでしょう。一人だけでこの大きな国を運転することはできませんし、総理に選んだ人物がとんでもない方向に走り出したらどうするのでしょうか? いずれにしても、自民党が安倍後継を見つける過程を見守っていきたいと思います。昔のような政権たらい回しでは、自民党はその場でゴミ箱行きでしょう。

グローバル経済はなくならない

「コロナ後の新しい世界」を待望する人の中には、日本の中だけでやっていきたい人がいて、グローバリゼーションとか英語教育の充実とか、「嫌なものがこれで全部なくなった」と喜んでいるようですが、これも現実の勢いには吹っ飛ばされてしまうでしょう。コロナの間、世界での人の往来はなくなりましたが、貨物の往来はほとんど変わらず続いていたわけで、グローバリゼーションと言うか、企業が世界を舞台に儲けようとする動きは全然変わっていないからです。

「余分の消費」で経済を回す

変えてほしいことは、コロナで明らかになった、日本の何でも「きちきち」の体制です。伝染病床が少なく、医師・看護師も少なく、コロナ検査をになうべき保健所に至っては地方自治体に丸投げされた上に健康保険の対象になっていないこともあって、医師確保にも差し支えるという状況。大学では教員が事務員、通訳代わりに使われて、研究、論文執筆もできず、中学校でも教員が週末の部活動監督にまで駆り出されてブラックそのものの勤務状況。警官も人数が足らず、盆休みですら同僚に気兼ねしつつちびちびとしか取れない状況。もっと昔を言えば、太平洋戦争では熟練パイロットがきちきちで、一人撃墜されると替わりがおらず、戦闘機を作っても戦力がどんどん低下していきました。

 これに比べて例えばオーストリアの知人が書いてきましたが、コロナ禍の中でも医師は予定通りの休暇にでかけ、それでも病院はきちんと回っている状況。日本は人口が多いし、私のように申請書の類の書き方がいい加減という人も多く、それだけ役人の仕事量が多くなるという問題もありますが、もっと人員・設備の「糊しろ」を大きくとり、それにカネをつけることで、社会の総需要を増やし、景気を良くして税収も上げるという方向に切り替えるべきです。財政赤字の増大、通貨の増発でインフレが昂進するということにはならないでしょう。モノとサービスの供給は潤沢なのに、消費が少ないことが今の問題なのですから。

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