トランプが日本につきつける踏み絵
日本は「名誉白人」なのか。「非白人達の希望の星」なのか
トランプのやることが、日本にとっては難しい踏み絵を迫る局面が増えている。まずイスラエル・サウジの意を受けた――トランプにとって両国はスポンサーのような意味を持っているようだ――過度とも言えるイラン敵視は、遂にホルムズ海峡に緊張をもたらした。日本が米国主導の「有志連合」に加われば、イランから攻撃されることになるだろう。また中国が有志連合に加わらないばかりでなく、イラン制裁を無視して原油の輸入を続けると、中国のタンカーが米国や有志連合の艦船に停止・臨検・拿捕されるということになるのだろうか?
次に米中貿易・技術戦争。米国のフアウェイ等制裁に日本は生ぬるい協力をしてきたが、韓国企業への半導体材料の輸出管理強化は、実はフアウェイ等中国企業に日本の先端材料、部品が韓国を通じて流れるのを防ぐためのものでもないのか? まあ日本はこれまでも、中国への右製品の直接の輸出は厳しく管理してきたわけだから、韓国に厳しく当たったとしても中国から特に恨まれる材料にはならないだろうが。
米中対立については、自分は米国の側に立っている。と言うのは、中国を今支配している者達が持つ価値観、世界観は、人間や他の諸国家を窒息させるからだ。しかし、トランプが今米国で人種対立を煽り、それで白人票を固める動きに出ていることは、自分を不安にさせる。この30年程で顕著になった米国の多民族化(1965年の移民法改正で、地域、国毎の移民枠を撤廃したことが契機になった)は、白人を遂に少数派に転落させ、その中で中西部の重工業地帯を中心に、困窮した白人達がこれまでの民主党支持からトランプ支持に寝返ったことが、今の米国政治の底流にある。
今のところ、米白人の敵意は黒人、イスラム、ヒスパニックに向けられているが、これはアジアの黄色人種にも向けられてくるだろう。その時、日本はどうする? 明治初期、日中が組んで欧米列強の植民地主義に対抗していくことを夢見た者は数多い。それは、日本自身が富国強兵政策で植民地主義勢力になったことで、おじゃんになったが。
そして戦後は、本来はアジアの盟主たるべき中国が共産化して内にこもったために、日本は米国の庇護下、名誉白人とか言われ、あるいは自ら自称して、偉そうな顔をして過ごしてきた。
トランプはこの点で、日本に究極の踏み絵を踏ませようというのか? 日本は、そして自分は多分、「名誉白人」の地位にしがみつこうとするだろうが・・・。いや、白人につくか、色つき民族の方につくかの二者択一ではなく、「日本は双方の間に立って、後者の近代化を主導する」という第三の道もあるか。
そして以上のことは、「中国経済は世界ナンバー・ワンには多分なれない」ことに関連してくる。
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