2013年3月 8日
外国 への目線の変化
僕の机の横の本棚に、永井荷風の「断腸亭日乗」がのっている。開いてみると思ったとおり、4ページに1回は「昔いたパリでは」という類の文章が出てくる。パリは懐旧と憧れの調子で語るが、東京下町の描写には時に上からの目線が加わる。
こういう書き方で売れていた時代は良かった。そういう時代は1985年くらいまで続いただろうか。欧米の方が日本より進んでいて、彼の地のことはいつも憧れをもって読んでもらえた時代。
ところが、今の若い世代にとって、欧米は別に「進んだ」ところでも何でもなくなっている。同じ高さの目線で見ている。そして欧米の社会自身が変容し、自由だとか平等だとかの理念も風化してきた。日本人は欧米スタンダードを再吟味して、これからの自分達にとって本当に必要なものを抽出していかないと。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/2408