アジアの混成バンド Unit Asia
今日、「座・高円寺」でUnit Asiaというジャズ・バンドhttp://www.planet-arts.co.jp/unitasiajp/index.htmlのコンサートがあったので行ってきた。タイ、マレイシア、日本のミュージシャンがコラボしていて、今日はそれにエジプトからナイという縦笛、そしてキーボードの名手がジョインした。国際交流基金が助成している。
昔アジア・ファンタジーという試みがあって、これは国際交流基金がプロデュース、アジアの民俗楽器も含めたバンドを作って合宿させ、ジャムセッションをさせる中から新しいものを生んでいったのだ。文化交流と一口に言うが、何かをいっしょにやって、新しいものを生み出すのは最高に面白いやり方だ。
Unit Asiaはモダン・ジャズのバンドのようだ。民俗楽器は(今日のナイを除いて)使わない。でもエジプトは言うに及ばず、タイ、マレイシアの音楽文化もどことなく違うのだ。
まあ、70年代はビートルズがチベット(?)に行ったことがものすごく喧伝されたり、エスニックというものはヨーロッパ・ポップのほんの胡椒くらいにしか使われなかったものだ。アジア・アフリカの文化は動物園に行った時のような、まったく異質の無関係なものに対する好奇の対象でしかなかったろう。それが今ではエスニックと言うよりは、もう渾然一体のものとなっている。
音楽についてはそのくらいしかわからないが、今日はもっと俗な感慨があった。それは、アジアの台頭が文化にも及んできたなということだ。演奏の水準は非常に高い。そして力がある。アメリカのジャズがもう失ってしまった、むせるようなエネルギーだ。
そしてアジアが今、世界経済の機関車と言われるようになったのは、欧米の直接投資もあるけれど、チープレーバーを利用するだけでなく、現地の人々の生活と技術の向上を常にはかってきた日本企業もおおいに貢献している。日本政府のODAは悪口を言われるけれど、実際にはこれら諸国の通信、港湾、鉄道などを近代化して、経済発展のためのインフラを整えたのだ。
日本は明治に率先、社会構造を一変させてまで欧米の技術と科学を取り入れた。植民地にされないように維新をした日本は、自ら植民地勢力になるという誤りを冒し、今でも諸国から恨みに思われる所業を行い、あげく本土は焦土とされ、それでも戦後はまず自分を、次にアジア諸国の経済を持ちあげる手伝いをした。そこは、われわれが子孫に語り伝えるべき歴史的業績だろうと思う。今の日本社会では別に国が、国が、と言い募る必要もないし、またそうしても若者たちからは相手にもされないが、まったく何も大きなストーリーがないというのも、ちょっと困る。
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