今の日本の抱える大問題を800字で言うと
(東京雑学大学というけっこうな集まりがある。草の根大学のようなもので、各地域の識者がかわるがわる講義をしている。7月に一度、「日本をとりまく国際情勢の現状」というテーマでスピーチをしたのだが、それを800字でまとめろと言われて、以下の文章を書いた。有効に活用するために、このブログにもアップしておく)
日本を取り巻く国際情勢の現状
北朝鮮の核ミサイル、尖閣奪取への中国の策動、米国の内向き化、先進国における「自由・民主」の価値観の後退、日本の電機産業の衰退、――多くのことが、戦後世界の枠組みの崩壊を予兆している。国際情勢はただの「お勉強」の対象から、私たちの生活に直接響くものとなってきた。
日本語だけでも良い暮らしができる空間=日本をどうやって守るか、そして輸入を賄えるだけの外貨を入手するためにどうやって企業の競争力を維持するか――これが今、日本が直面する根本的問題である。
安全保障については、米中ロシアという軍事大国に挟まれた日本に、「完全自主防衛」をする経済力、人口はないことを認識するべきである。つまり日本には同盟国が必要なのだが、相手としては米国が最適である。と言っても、米国に安全保障を全面依存するべきではなく、尖閣のような局地の問題は自力で守るべきである。米国に期待するのは核の傘、そして大規模紛争における助太刀(海兵隊、海軍、空軍が中心になる)である。米国との対等性を少しでも確保するため、日本も米国の安全保障に貢献することが必要である。
産業革命以来の西欧文明が作り上げた国家統治(ガバナンス)の諸制度、価値観が、社会の多民族化、格差の増大のために相対化しつつある。日本は村落共同体の平等主義を根っこにもつ民主主義的伝統、そして「ちゃんとしていること」を旨とする市民社会の道徳感を有していることを十分認識し、自由と民主主義の旗印を掲げ続けて行くべきである。
企業の国際的競争力を維持するには、日本の企業経営のあり方を合理化していかないといけない。また高度の英語力(その他の力も)を持つ人材を、現在よりはるかに多数養成していかないといけない。
世界には、ロボット、無人運転、AI、遺伝子工学、脳波の利用など新しい次元の技術が登場している。これらは、社会・人間のあり方を大きく変える可能性を持つ。倫理との抵触が起らないよう、世界的な議論、技術の標準化作業に加わっていくべきである。
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