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経済学

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2019年12月21日

国債はどこまで増額できるか

(これは11月27日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」第91号の一部です)

「今日本では、まだ償還されていない過去の国債・公債が合計約900兆円溜まっていて、GDPの約2倍になっている。大変だ」というのが通り相場。それはその通りで、野放図に借金を膨らませていいわけがない。一つはあまりそういうことをやっていると、国際金融市場での信用を失って、為替取引等あらゆる場面で割り増し料金を課されることになる。もう一つは、市場の資金をあまり吸い上げると金利が上昇してインフレになり、国債の利払い費用がうなぎ上りになるからだ(と言っても、国債は普通固定金利なので、償還する時に借り換えする分を減らしていけば――今はほぼ全額借り換え――、騒がれている程のことにはならないのだろうが)。

 しかし今のところ、二つとも現実には起きていない。なぜか? そこで「家計の金融資産」を見てみた。これは現在、1800兆円強でGDPの3倍以上、そしてこの3年、年間平均43兆円増えている 。企業保有の現金・預金は250兆円強もある。これらを消費・投資に向けないと(あるいは輸出を大量に増やして貿易黒字を増やしたり、海外での利益をもっと多額に持ち込まないと)、GDPは縮小する一方だろう。従って、国債を発行してこの退蔵資金を吸収、社会保障や公共工事を通じてポンプのように経済の中に還流し、需要を喚起する現在の政策は理にかなっているのだ。ただ一定の縛りをかけておかないと、予算は野放図に膨らんでしまうから、財務省はいつもブレーキに足をかけている。実は別の足で、適度にアクセルも踏んでいるのである。

もう一つ、現代が以前と違うのは、ロボットの多用等で生産力が飛躍的に増大する時代にあるということだ。つまり消費を増やしても、それですぐインフレになるということにはならない。だから社会主義と言うか、市場経済の中での社会的公正度の向上は以前より可能になってきた。種々の理論、政策を整備するべき時だろう。

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