2017年8月19日
米欧の金融政策にいつも周回遅れでむしられる日本
(これは7月26日のメルマガ「文明の万華鏡」第63号に掲載した記事の一部です)
米国、EUとも、2008年リーマン危機以降続いた超金融緩和をそろそろ卒業し、資産縮小、金利を引き上げる構えを示している。日本は2008年以降、米EUが超金融緩和政策を取ったのに(それは銀行救済のためにも必要だった)、日本では銀行の財務が健全だから不要だとして超金融緩和はせず、それが法外な円高を招き、2011年の東日本大震災で企業が資金を日本に呼び戻したことで更に円高が激化、モノづくりの海外流出を決定的なものとした。だから、2012年末以降、アベノミクスの「異次元金融緩和」で円安が実現した後も、輸出は一貫して低下を続けたのである。
異次元金融緩和は、遅れてやってきた、なくもがなの措置。後れている間に、モノづくりの海外流出が進み、日本人は雇用などを随分失ったのである。
そして今は、異次元金融緩和からどうやって抜け出すか、考えあぐねている。早くしないと、米欧が利上げしてくるから過度の円安になる。かと言って金融を急激にしぼると金利が急上昇して、悪性インフレを起こしかねないし、国債の発行も難しくなる。
日本は米欧の金融政策と周期がずれることが多く、それで得をするより米欧に痰壺のように使われる場合が多い。
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