2017年7月 9日
必要資産10億円の時代
新聞を見ていたら、これからの必要資産額は10億円という趣旨のタイトルの新刊書の広告が出ていた。これまでは、1億円もあれば老後は大舟に乗った気持ちでいられたのに、10億円だって。我想都不能想。これは政府のインフレ期待をあおる政策が功を奏している証明。国民は遂に物価が10倍になるインフレを見越し始めたか?
そうではないだろう。これはインフレ期待というより、「将来の負担増を予測して」の無理な貯蓄を意味しているものだ。インフレで所得が増加したから貯蓄、資産も増加する、というのではない。近い将来、増税があるだろう、医療負担は上がり、年金は少なくなるだろう、と見越して、これまでと変わらない所得から無理してもっと多くの貯蓄をする、ということだ。
デフレ傾向が収まらない中で、政府が財政均衡化を強調しすぎると、こういうことになる。消費が増えずに貯蓄ばかり増え、そのカネは投資には回らない。消費が増えないからだ。そうやって、社会を回る資金はだんだん少なくなっていって、投資も少なくなっていって、経済はスパイラルに縮小していく。ある日、円は国際的信認を失って暴落、積み上がった貯蓄も紙くずとなる。--こういう風になってしまうのか?
ああ、そうなると困るから、資産を100億円積んでおくことにしよう。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/3455