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政治学

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2013年11月 8日

日本だけで、米中ロを仮想敵国としていた時代

今、岩波新書の「大正デモクラシー」(成田龍一著)を読んでいるのだが、その中に面白いというか、ぞっとする箇所がある。
日ロ戦争が終わって、1907年以来、日本は「帝国国防方針」を策定していたが(今の防衛大綱みたいなものだ)、1923年2月の改訂版ではそれまでのロシア(ソ連)、中国に加えて米国も仮想敵国としたのだそうだ。当時は、第1次世界大戦が終わったことを受けて、ワシントン体制の名の下に多国間平和維持の枠組みが太平洋地域に樹立されていた。

多分、ワシントン体制で軍備はもうそれほどいらないだろうという声が日本国内に充満していたので、軍部が死にもの狂いで、米国も敵に数えて軍事費を増やそうとしたのかもしれない。

僕の近著「米中ロシアーー虚像に怯えるな」で警告した、米・中・ロシア・韓国・北朝鮮すべてを敵に回すようなことが、実際に今から90年前行われていて、それで日本は本当に滅亡してしまったのだ。

ワシントン体制ができたので日英同盟はもういらないということで(そんな単純な経緯ではなかったが)、1923年8月には日英同盟はもう消滅してしまう。以後の日本は糸の切れた凧のように、戦争に向かってまっしぐら。多国間の枠組みの難しさだ。すべてを保証してくれているようで、実は何も保証してくれていない。

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