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政治学

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2013年4月13日

インテリジェンス=情報への幻想

インテリジェンス、つまり諜報とか情報について、日本では幻想が強い。
国際関係が雲の上の世界のように見える上に、自国の外交官を信用していない。だから、スーパーマンがいて、そいつがどこかから何とかして取ってくる情報が、すべての謎を解き明かし、日本をすべての困難から救ってくれる、という筋立てになってしまう。

これは、「一人優れた政治家がいれば、私たちの抱える問題はすべて解決してくれる」と思い込むのと同じ、何と言ったらいいか、とにかく政治や外交の実情からかけ離れた、おとぎ話なのだ。

政治は無数の個人、団体、役人、政治家たちがもみ合い、圧し合いして決まっていくもの。優れた政治家というのはこういう場合、自分がどんな優れたアイデアを持っているかより、社会にとっておそらく最も望ましい解法を嗅ぎ取り、その方向へ向かって諸方を説得し、なだめすかし、脅かして、最後にはそれを通してしまう、そういう人を言うのだろう。TPP交渉参加を決めた時の安倍首相が、それに近いと言えるだろうか。

情報というものは、日本語や外国語の「公開情報」(新聞・雑誌とかインターネットにあふれているニュース・レターの類とか)を少し丹念に拾い、整理していくと、90%以上のことはわかる。そしてこの世の中に、そういうことをやっているところは無数にある。他ならぬマスコミ自体がそうだし、外務省もそう、大企業の抱える研究所もしかり、いわゆる「専門家」たちもそうなのだ。

そういうところから話しを聞かず、いきなり一片のスーパー情報でものごとをすまそうとするのは、努力が足りない。知力が足りない。諜報やインテリジェンスは公開情報の収集と分類、解析からスタートする。それでもわからないことを、相手国の関係者から合法的、非合法的な手段で聞き出し、書類を手に入れ、会話を盗聴するのが、みんなの言う「情報」「インテリジェンス」なのだ。これは水モノ。「イラクに大量破壊兵器がある」という「情報」が結局は誤りで、でもそれが誤りであるのがわかった時には、もう何万もの人が死んでいた、そういう世界。情報とかインテリジェンスは、手袋をして扱わないと火傷をする。

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