「仕分け」でしのげるような時じゃない
参院選であんなことになって、政権はすっかり失速だ。もう日本は内政も外交も、ろくなことはできないだろう。国会がねじれているから。
いや、ねじれているのは国会だけじゃない。肝心の民主党のなかがねじれている。自民党も右から左までかかえた政党だったが、民主党はそれ以上。水と油が同居している。たとえば官僚たたきをしようとしても、民主党を支える基盤のひとつ、官公労が反対する。
今日本を変えようと思ったら、「仕分け」で1,2の予算を削ってすむことではない。構造を変えないといけない。よく日本人の「国民負担率」(税負担と社会保障負担を足して、GDP値で割ったもの)は低いのだからもっと増税してもいいのだ、と言われるが、特別会計や独立行政法人などに我々が納めている諸料金(たとえば高速道路料金とか)を足すと、他の先進国なみに高い負担率なのだし、これに他の国にはない日本独特の生命保険システムに払うカネを足すと、デンマーク並みの高い負担をわれわれはしているのだ。
なのに、デンマーク並みの社会保障をわれわれは得ていない。どこかに効率の悪い分野があるのだろう。
だから例えば地方での各省出先、あまたの特別会計、運転免許取得にかかる費用の高さ――このような構造問題をこそ、仕分けの場で議論してほしい。財務省の官僚が差し出す人身御供を公開処刑して、それで支持率を上げる手はもう通じない。飽きた。
もし構造問題を議論できないようなら、それは民主党内部がねじれていて、大きなことは決めにくくなっているからだろう。
それではわれわれは困るので、ものごとを動かしやすいように、政党を再編成してもらいたい。
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