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政治学

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2012年6月18日

核抑止は日本ではやはり難しい

今は日本にさしかけられた米国の「核の傘」はずいぶん薄くなっていて、所によっては骨が折れていたりする。中国が日本に撃てる核ミサイルはおそらく百を超えているのに対して、太平洋の米国の原潜はもはや核弾頭搭載の巡航ミサイルを装備していないからだ。従って、米国による「傘」はグァム島から飛び立つ爆撃機に搭載された原爆だけで、これでは抑止力として不十分だ。

そこで日本では、一部に核武装論が起きている。僕もこれをタブー視するべきではないと思うものの、その現実性についてはまだ確信が持てないでいる。「日本が原爆を持っても、それは抑止力にならない」というのはよく言われること。その根拠は、日本の国土が小さくて、数発の原爆で攻撃されただけで国が麻痺、または壊滅するからだ。

核抑止とは、「自分が核攻撃したら、相手が報復攻撃してきて、こちらも大被害を蒙る。だから核攻撃はやめておこう」と思わせる、ということである。

ところが日本の場合、一発東京上空で原爆が破裂しただけで、そこから生ずる電磁波は東京とその周辺のコンピューター、通信・電線網を麻痺させるだろう。それだけでなく、この前の福島原発事故で如実になったように、日本政府は「フリーズ」してしまい、反撃の決定を行うことすらできまい。たとえ日本の潜水艦が原爆巡航ミサイルを抱えてどこかで潜っていようとも、そこに「発射」の指令が行かないのでは、使い物にならない。日本が核を持って、それを「抑止力」として使いたいのであれば、核による先制攻撃をやれるようにしておかないといけないのである。そして、そんなことは日本では不可能だ。

というわけで、外からの核に対する守りとしては、核抑止力は無理なのだと思う。英国やフランスが核を持っていることがよく引き合いに出されるが、これも有事には果たして抑止力として機能するだろうか?

では日本の場合、どこかの国から核攻撃するぞと脅かされ、それに屈しないためには、どういう手段があるのか? 一つには、今米国と共同開発しているMDがあるが、これはまだ能力が不十分だろう。次にMDのようにミサイルをミサイルで撃つという、驚異的な精密兵器ではなく、(MDの一種だが)強力な電磁波を浴びせて敵ミサイルを無能化するというやり方もあるだろう。そんな大出力の電磁波砲を作れるのかどうか、そこはまだ僕は知らない。あきらめることなく、方便を探そう。ものごとは友愛だけではだめで、抑止も考えておかないといけない。

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