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2010年11月18日

外交戦略と対国内マスコミ対策戦略を混同しないこと

尖閣とか北方領土をめぐる最近の出来事で感じたが、日本では外交戦略と対国内マスコミ対策が混同されているのでないか?

マスコミでは編集局のうちの「政治部」が外交を扱うことが多い。政治部では国内でのキャリアを中心に出世してきた記者が主流なために、どうしても外交案件が日本国内の政局、総理への支持率にとってどんな意味を持っているかに関心が集中する。

他方、外国にいる特派員の多くにとっては、日本のやっていることが外国でどう受け止められ、日本がどのくらいの力を発揮しているかの方が気にかかるのだが、それは日本の「デスク」にいる政治部の連中にとっては二の次のことなのではないか?

尖閣の録画の「流出」にしても、国内では政争にからんでくるから大きなニュースとなるが、中国から見ていたら日本が一人相撲をやって一人でこけている、としか見えまい。ロシアが同じ状況に置かれたら、問題の起きた次の日から問題のテープは何者かによってあっさりユーチューブどころか第1チャンネルのニュース番組に流されてしまうだろう。

マスコミに好意的に報道してもらうことを外交の主眼に置こうとすると、かなりの場合に外交の本筋を捻じ曲げることになる。北方領土の場合も、ロシアに対する対抗措置を日本マスコミに示そうとして焦れば、ロシアに対する日本の立場を確実に悪くする。

大衆に公開して行う「外交」は、集権制国家の外交に、大体の場合において敗北する。それでも、手の内をあらかじめさらけだして行う公開外交の方がいい、と国民が本気で言うのだったら、何をか言わんや。政治家や外交官には俳優がなればいいのだ。ああ、もうなってるか。

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