2009年6月 3日
黄信号ーーアメリカはスタンダードを変えてくる
トヨタの人は、去年びくびくしていたかもしれない。トヨタは昨年、GMを抜いて世界一の生産台数をほこる自動車会社になったのだが、アメリカがみすみすそんなことを許すかどうかと。今回のサブプライム不況がトヨタの進撃を止めるために仕組まれたものとは思わないけれど、アメリカを抜くときにはたいてい何か起こるものだ。
例えばもう15年くらい前になるだろうか、日本のNHKがハイビジョンの開発で世界の先頭を走っていたころ、ある国際会議でアメリカがデジタル・テレビをこれからのスタンダードとすることを提案、それであっさり決まってしまったことがある。きまったスタンダードをこつこつと改善して完璧なものにすることが得意な日本は、そのスタンダードを変えられるとただただ呆気にとられるだけだ。日本のハイビジョンはその日、栄光の座を転げ落ち、ガラパゴス化を運命づけられた。
困ったときのアメリカは「アンフェアーだ」とか言ってーー相手を不公正だと言ってなじるより、「こりゃ勝負にならない。何とかしてくれよ」ぐらいの意味だ。どっちが「アンフェアー」なのか僕にはわかりませんがねーールールやスタンダードを変えようとすることがある。今度のサブプライム不況では、どんな手を繰り出すか? 囲碁で白が黒にひっくり返るような起死回生の一発を、どこでどのように打ってくるだろう? 大体、日本にとっては都合の悪いものだろうが。 河東哲夫
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