映画 アイリッシュマン とトランプ大統領の関係
この前、「アイリッシュマン The Irishman」(アイルランド人)という映画を見た。https://ja.wikipedia.org/wiki/アイリッシュマン
これは、全米トラック運転手組合の戦後の歴史を背景とした、実話に基づくもの。いくつかの発見をした。
一つは組合幹部の特権体質。組合費を吸い上げて、その頂点に位置している連中の荒っぽい所業。マフィアとの絡み合い。
組合が労働者の賃金や年金費用をどんどん吊り上げたことも、1970年代以降の米国製造業の空洞化、海外への流出の一因なのだったと、つくづく思った。つまり組合幹部の「欲」greedが、他ならぬ労働者の職場を奪い、組合自体をもだめにしていったわけだ。よくあること。
そして映画の主人公はアイルランド系なのだが、その喧嘩早いこと。数年前「ヒルビリー・エレジー」という本が出て評判になった。それは、19世紀飢饉のアイルランドを逃れて米国に渡ってきたアイルランド人達の現況を描いている。これら、アパラチアの石炭鉱山で働き、後に中西部の工場労働者になっていった人たちは、米国の労働組合運動で主要な役割を担ったようだし(IrishとLabor Unionで検索すると、随分資料が出てくる)、現在は中西部「ラスト・ベルト」の住民として、トランプ大統領誕生の大きな力となった。
そして「ヒルビリー・エレジー」は、アイルランド系の人たちの気の荒さ、喧嘩早さをいやというほど描いている。
トランプはアイルランド系ではないが、この「アイリッシュマン」や「ヒルビリー・エレジー」が描き出す、強い利権体質、喧嘩早さ、非インテリ性は彼に沁みついている。インテリは彼を嫌うが、彼は米国の大きな部分、おそらく70%以上のアメリカ人の「地」を体現していることと思う。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/3932