2011年10月31日
演歌の復活
この前、駒込駅の階段を上がってまぶしい日ざしに照らされた大通りが見えたのだが、同時に演歌の調べが耳に飛び込んだ。カセットかCDを道端で売っている。
この5年ほど絶えてしまったかと思われた演歌が、また不死鳥のようによみがえる。
格差と不条理がないと、芸術、ドラマを生みだす原動力、「魂の叫び」も起こらない。1億総中流と言われた幸せな1980年代は、だからドラマも不倫くらいしかテーマがなくなり、演歌もカシャカシャとやたら陽気なJ-Popに場所を譲っていたのだ。それがまた経済が厳しくなると同時に、深刻なドラマとともに演歌も戻ってきた。
ロシアにもオクージャーヴァという、グルジア人歌手のメランコリーな歌がソ連時代から人気なのだが、これも時代が消費景気の躁になると消えてしまい、今のような出口のない鬱の状態になるとあのしめやかなギターの音とともにどこからかモスクワの空気に漂い出すのだ。
日本でもまた、あの人に捨てられても恋しいとか、いろいろ倒錯した感情を唄うことになるのだろうが、もう今の若い女性は自由を手に入れて後戻り不可能、明るいJ-Popのままで生きていくだろう。とすると、演歌は年金を削られようとしているわれわれ熟年世代、そして草食男子と言われる若い男たちのものか?
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