2012年2月 8日
自前で外交をする時代
この頃外務省の若手と話をすると、マスコミや国会には叩かれるわ、政治家には権限を奪われるわ、給料は下げられるわ、そのうえ日本社会は外交に関心を示すほどの余裕がない、相変わらず優秀な人材は入ってくるが、この頃は辞めていく若手も多いのだ、と浮かない顔をしていた。
さもありなんと思って、別れはしたが、家に帰って考えてみると、今の時代けっこう面白い、even excitingなのではないかと思い始めた。というのは、今の日本、外交を作ってきた地盤が液状化してきたので、土台から何から、自分で考え、自分たちの手で組みなおさなければいけないからだ。
日本とアジア地域の安全保障と安定を維持する上での日米間の役割再配分などさしずめもっとも重要な問題だが(双方とも、相手が起こす戦争には巻き込まれたくないと思っている。では「同盟」に日本は何を期待するのか、といった問題など)、外務官僚が情報を集め、分析し、案を作る。国会、マスコミ等で議論し、採択された路線の執行はまた外務官僚だ。この仕事、面白いではないか。
外務官僚だけではない。外交に関心を持つすべての人たちは、歴史観、価値観、すべてのものを動員して、これからも日本人が食っていけるだけの外交路線を作り出していかないと。
いろいろ考えるが、安全保障面での対米依存が強かった時代、GDPが世界で2位だったこの数十年間勤務していた我々の世代が頭を切り替えるのは、至難の業だ。50代以上の連中も、よほど意識して努力しないといけないだろうと思う。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/2074