実はわれわれ随分豊かになった?
日本経済と言えば、今年は中国にGDPで抜かれるというので、マスコミは悲観一色だが、どうもそれは僕の実感と合わない。
まず、リーマン・ブラザーズ不況で一時40%も急落した輸出が回復してきたことが、どことなく街の表情に感じられる。居酒屋などどこにいってもけっこう賑わっているではないか?
そして今日この頃の牛肉、豚肉価格の下がり方といったらハンパじゃない。大げさでなく、本当に昔の半額になっている。肉に関するかぎりでは、われわれの実質所得は2倍になったのだ。これはデフレと呼ぶべきものではない。円が上昇したせいだけでもなかろう(安い肉には豪州、米国から輸入されているものが多い)。何かが基本的に変わってきたのだ。肉の流通が簡素化したのか?
さらに言うなら、経済学をかなり書き換えてもらわなければと思うような変化が、インターネットのおかげで起きている。最近発売されたクリス・アンダーソン「フリー」(NHK出版)という本を読んでいて思ったのだが、アマゾンとかジョルダンとかマピオンとかウィキペディアとか(このブログとか?)、われわれが日常無料で使っている便宜を金銭ベースで測ったら、けっこうなものになるではないかということだ(「フリー」は、低めに見積もっても世界で年間百兆円分に相当すると述べている)。
つまり経済が先進化するにつれ、無料で提供される高付加価値のサービスが急増する。これをGDP統計に反映させると、先進国のGDPは実はもっとハイテンポで伸びるのではないか?
「フリー」が示唆しているように、ネットでは付加価値の生産費がゼロに近づき、無限の価値生産力が生み出されつつある。これはかつての産業革命に等しい現象ではないか? GDPを再定義し、統計の取り方を改革しないといけないのでは?
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