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街角での雑想

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2009年1月17日

「ソマリアの海賊」には国際協調ゾーン・ディフェンスがいい

最近の新聞によると、「ソマリア沖の海賊」をやっつけるため、EUだけでなくロシア、そして何と中国までが軍艦を送ったことで、日本政府は慌てているらしい。

自衛艦を送らないと、また日本の影が薄くなると思ったのだろう。特別法を作るのを待たず、現行の自衛隊法に基づき海上警備行動を発令するのだそうだ。

大きな護衛艦で小さな海賊船を本当に捕まえられるのかどうかは別にして、護衛艦を派遣するのには賛成だ。「ソマリア沖の海賊」との戦いが国際協力(または協力の競争)の様相を見せているからだ。

ただ、「中国が派遣したから」というので尻に火がついたのだとしたら、情けない。
それに良く考えて見ると、これは大変な前例になりかねないことなのだ。これまで「海上警備行動」が発令されたのは2回だけだそうで、それは1999年「能登半島沖不審船事件」と2004年の漢級原子力潜水艦領海侵犯事件だけなのだそうだ。つまり両方とも事件は領海がらみ。

ところが今度は公海も公海、ここは遠きソマリア沖だ(中国なら遠い昔、明の時代にイスラム教徒の鄭和が大艦隊を率いて行ったけどね)。そして自衛艦は、主に日本の商船を守るのだそうだ。

すると考え込んでしまう。では、今度台湾沖で正体不明の潜水艦が日本の商船の付近に浮上でもしたら、以後は自衛艦が「シーレーン」をずっと守ることにするのか? いや台湾沖だけじゃない。命綱の対米航路を守るために何かしなくていいのか? ・・・と議論は果てしなくなる。日本の商船1隻に護衛艦1隻づつつけていたら、日本の防衛予算は破裂する。

国際航路を海賊やテロリストから守るのは、各国がばらばらにやるべきではない。国際協力・調整でやるべきだ。マラッカ海峡などでは、その方向での話し合いが進んできた。沿岸国の海軍と海上保安当局が権限争いをしたりしてあまり進んでいないにしても。

ソマリア沖についても、国連でも、国連の委託を受けたEUでもいいから(EUだって今では自分の兵力を持っている建前になっているのです)、どこか国際的な組織に対策本部を設け、各国艦隊の行動を一括して調整させてはどうか? つまり、日本の自衛艦は日本の商船の護衛、中国の軍艦は中国の船の護衛などと言っていたら、20世紀型の国民国家の張り合いを繰り返すだけなので、21世紀は国際調整の結果、各国軍艦・自衛艦にゾーン・ディフェンスをさせたらいい
自分の守るゾーンで海賊が現れたら、それがどの国の商船を襲っても出動するのだ。

日本政府も自衛艦を出動させるだけではなく、こうした国際的枠組みについても根回しをしているならば流石! ということになるのだけど。

・・・だけど自衛艦ってのは、海賊の使っている漁船のような小さな船を本当に捕捉できるのでしょうね?
軍艦が海賊に乗っ取られたら、目も当てられないから。

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