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街角での雑想

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2021年1月16日

上は下へ、下は上へマル投げ 無責任体制の蔓延

(これは12月23日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第104号の一部です)

最近では先進国社会における「ガバナンスの喪失」が目立つ。リーダーは社会にゴマをすって自分の地位の保全をはかるから、どこも放漫財政になる。
リーダーの資質、気構えが劣化している。日本の諸方で、自分がやらなくても大丈夫、という過保護下の妙な怠慢、あるいはマニュアル通りのことしかできない無能が見られる。トップが(中堅幹部でも構わないのですが)危機の到来を予測して、必要な措置を取っておくことが欠けているのだ。ただ漫然と「やっと手に入れた、おいしいポストで飯を食っている」。

1)2019年10月台風19号集中豪雨の際に、北陸新幹線の車庫が冠水し、何両もの車両が使い物にならなくなった。2)2020年10月1日、東京証券取引所のコンピューターがダウンし、1日中取引ができなくなった。3)そして先週は、上信越地方の豪雪で高速道路が雪に埋まって1500台もの自動車が30時間以上も立ち往生した。

1)については、冠水の危険性が高い土地に車庫があることはわかっていたのだから、車両の避難計画を以前から作っておくべきだったし(そのためには運転士の超勤が必要になって云云かんぬんの問題が起こるだろうが、それも手当てをしておく)、計画がなくとも責任者は前日、冠水の危険を当然予見して、必要な指示を出しておくべきだったのだ。

2)の場合は、コンピューターがダウンした場合の代替体制を考えておくべきだった。全日取引ができなかったことで、数百億円の得べかりし利益を失った人、あるいは数百億円の損失を被った人が何人も出ただろうに、どうして訴えないのだろう? 

3)については、ロシアや米北東部のような雪国では考えられないこと。雪かき車がすぐやってくる。日本でも、雪かき車が1時間に1回通るだけで通路は確保できるだろうに。1時間に1台なら、全体に必要な台数はさして多くないだろうし、問題は運転手の確保だが、NEXCO東日本幹部用の公用車の運転手には雪かき車運転の研修もしておけば、こういう危機時には働いてもらえるだろう。そのことは、労働組合の了承もあらかじめとっておけばいい。

今回はトラックが事故を起こして道路をふさいだことが原因らしいが、それが大雪でどういう事態につながり得るかは、幹部だったら頭の中でシミュレーションして、レッカー車の手配、車線の一時変更などの指示を出すべきだろう。社長たちが例によってテレビ・カメラの前で頭を下げている写真を見たが、死者が出ていたら、頭を下げるくらいですむ問題ではない。刑事罰を食らう。

こうした幹部は、「現場」に対応を丸投げしてきたのだろうが、もし現場が上からの指示がなければ何もしないという態度を持っていると、無責任体制が出現する。上は「下がやるだろう」とタカをくくり、下は「上から何も言ってこないから」と言って、何もしないわけだ。

今回、高速道路の冠雪で自衛隊が動員されたが、事前に体制をちゃんと作っておけば、幹部、現場がちゃんと動いていれば、そんな必要はなかったはずだ。つらい、きたない仕事は自衛隊にでもやらせておこう、という気持ちを持つ者は、自衛隊に半年でも体験入隊させてみたらいい。

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