日本はウクライナ復興と国連改革を
(これは6月28日発行のメルマガ「文明の万華鏡」第134号の一部です)
日本政府がウクライナ復興支援で世界の前面に立っている。いいことだ。無理して兵器支援などするより、復興支援、そして国連改革など外交面で日本は特色を出せばいいと思う。
復興支援と言っても、歩留まりはしっかり意識してとりかからないと、日本は資金をただ取りされる。ウクライナは日本から遠い。日本企業で知見や人脈を持つところはほとんどない。こういうところにインフラ建設の資金を提供しても、価格競争力や現地の人脈で優れる欧米、特に独米の企業にパクられてしまうことが多い。日本製品は過剰スペック、割高なことが多いし、注文に機敏に対応できない企業も多い。
だから、やるのだったら、ウクライナ政府と手を握って特定プロジェクトを日本連合が、資金も含めて一手に請け負う体制を作らないと駄目だろう。それができないところでは、受注できそうな欧米企業と提携して機器・ノウハウを提供することになる。
そして、「復興」と言ってもすぐできるわけではなく、また爆撃で壊されることがないところまで情勢が落ち着かないと始まらない。それまでは、支援は書類の上での約束に止まる。実際に資金を渡したら、何に使われるかわからない。
(国連は条約を作ることができる)
一方、国連改革で日本がやるべきこと、できることは大きい。何しろ国連の原初加盟国、ソ連の地位を受け継いだロシア――拒否権まで受け継げるのかについては疑義があるのだが――が、ソ連も昔起草に参画した国連憲章を自ら破って、加盟国に武力侵入。安全保障理事会での拒否権を悪用して、停戦勧告発出等に抵抗しているのが現状だからだ。
安保理勧告は、ロシアが拒否権を使うと出せない。しかし、総会による勧告、あるいは国際条約案の採択はできる。だから日本は、「国連憲章を破ったと総会で認定された加盟国は、2年間にわたってその資格を停止される」条項を含む国際条約案を総会に提案すればいい。グローバル・サウスの諸国の中には、ロシア制裁の色彩が強いものに賛成しないところも多数あるだろう。しかし修正案を何度でも出して、大国を牽制する力とする。それは日本やドイツなど、P5ではない中型諸国の義務だろう。
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