Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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2021年6月 3日

この頃のウツの原因

(これは、5月26日に「まぐまぐ」社から発行したメルマガ「文明の万華鏡」第109号の冒頭です。これを書いたあと、コロナ・ワクチン第1回目を受けることができ、気分が前向きに転じてきています)

今から15年余前、大使は一回やれば十分と思って外務省を辞した時、ライフ・ワークとして考えたのは、世界を相手にした評論。日本はどういう国で、何をやろうとしているのか、英語、ロシア語、中国語で(それぞれ異なるストーリーで)説明しようと思いました。今、盛んに言われている広報を、政府の外から自由にやろうと思ったわけです。政府の広報は、内部で決済を取っているうちにタイミングを失することが多く、説明の仕方も自分として納得できないことがよくあったからです。
また日本国内に向けては、世界はどういうところで、日本はどこをどう誤解しているのか、説明しようと思いました。

そのために、マルチリンガルのサイト、www.japan-world-trends.comを立ち上げ、運よくNewsweek日本や「現代ビジネス」で拾ってもらって勝手なことを言ってきたわけですが、今日この頃は「~~~なことをしても仕方がない」という無力感、倦怠感に囚われています。

それは、コロナで出歩けないからと言うより、コロナ対応、特にワクチン問題での日本政府の体たらくに幻滅したこと、そしてインターネットで外国のメディアを渉猟していても、日本に言及しているものは皆無。「以前ならカネを持っているから仲間に入れてやったが、今はカネもなさそうだから・・・」という暗黙の無視が広がっている感じがします。日本人が何を言おうが、書こうが、内容の良しあしに関係なく相手にしてもらえないのです。

そしてそのことを、今の政権は感じていない。そういうことが重要だということを、知らない感じがします。安倍政権は全身で外交をやっていた(つまり、自分がやっていることが世界でどう見られるか、見られているのかを見て、「発信」のしかたを練り――代理店に丸投げで逆効果のものもありましたが――日本のイメージをいつも最良の状態に維持しようとした)のですが、菅政権は国内にしか気が向かず、しかも政府をきちんと動かす能力がない。「これでは・・・」と思うわけです。

もう一つ、私のやる気をなくさせるものは、米国社会の瓦解です。バイデン政権は本当によくやっていると思いますが、トランプとその一味が流している毒は米国の白人の一部に本当によくマッチして、「荒くれ、ならず者の米国」をますます前面に引き出しています。

そしてバイデン政権も、外国の問題から「手を引く」傾向は今のところ、ウクライナとかアフガニスタンなど非同盟国に限られているわけですが、基本的には国内志向なので、それは次第に台湾、次いで日本に及んでくるかもしれません。イスラエル、サウジ・アラビアに対しては、その傾向が既に表面化しています。

というわけで、今月は時事の話題はパスして、こうした「たが」の外れてしまった世界の諸現象の根底、そしてその意味を考えてみることにしたいと思います。とは言え結局、何か突き抜けたような感じのする発見はできませんでしたので、皆様からの御叱正を得たいと思います。

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