Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

最近の出版・メルマガ

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2020年10月 1日

9月の情勢まとめ メルマガ文明の万華鏡101号から

9月23日、メールマガジン「文明の万華鏡」第101号を発行しました。
その「はじめに」を、転載します。9月の情勢のまとめのようなものになっています。

100号を書いた時はまだ安倍内閣でしたが、101号は菅内閣。まあ「番頭内閣」ですし、自民党内も世論も「変えないでくれ」、「変わらないでくれ」、「なんで変えるんだ」、「変える資格があるのか」というのが本音でしょうから、みんなで持ち上げて、提灯コメントで何とか好スタートを切った感じ。しかしどうも気が抜けていて、麻生副総理はあいさつで、「菅内閣」と言おうとして言いよどみ、「カン内閣」と言って自らも失笑する始末。茂木外相もあいさつで、「今度のアベ内閣では」と言ってこれも苦笑(いずれも週末のテレビ報道番組)。これが大きく報道されないのも、大手マスコミが手加減しているからでしょう。

掲げられる課題の殆どは、官房長官が政府内部で処理していけばいいような問題で、これが新内閣の課題だ、と言われても鼻白むものがあります。2%物価上昇(私は不賛成ですが)とか改憲とか、もっと大きな、哲学的な筋の通った課題を出してくれないと、気が抜けます。まあ、そうやって総選挙までを無難に乗り切りたいのでしょうが、外交面では早、安倍前総理は靖国神社を参拝してツイッター、森元総理は台湾に行って蔡総統に菅総理との電話会談を持ちかける。外交を無難に切り抜けようとしても、こうやって院政、院院政になりかねないわけです。

安倍前総理が靖国神社訪問をツイッターで広報したように、トランプが本格的に始めたツイッター政治は日本でも定着し始めました。政府がよほどしっかりしていないと、百家争鳴、有力政治家たちのツイッター(さえずり)で政治・外交はしっちゃかめっちゃかになりかねません。

しかしふと見ると、菅総理は71歳で、私と同じ団塊世代。団塊世代は総理も出さずについにこの世を去るのかと寂しく思っていたのでちょうどいい。団塊世代が年金基金の負担になって、粗大ごみとして社会からはたき落されるのを見過ごすことなく、むしろ団塊世代を日本の資源として活用するような政策を打ち出してもらいたいものです。団塊世代は今や、最大の有権者クラスターになっているのです。現役時代、毎日残業、残業だった落とし前を年金その他でもらう意欲満々なので、その欲望にうまく道筋をつけないと、子や孫の世代に構おうとしない勢力になりかねません。

あと、大手マスコミは沈黙していますが、菅内閣は安倍内閣の脛の傷をそのまま継承するわけです。特に河井案里当選のために億以上もの資金が渡された経緯、そして桜を見る会にも招待されていたジャパン・ライフの山口容疑者が集めた資金の行き所、こういったものです。これを警察や検察と手を握ってもみ消すのであれば、それはロシアのプーチン政権と同じく、警察・公安に力のベースを置いた政権と評されても仕方ないでしょう。

もう一つ、後で詳しく言うように、米国ではバイデンが大統領になる可能性も出てきたので、「バイデン外交」、バイデンの対日政策を予測しておく必要があります。詳しいことは後で述べますが、バイデンが副大統領だった時代の言動を見ていますと、「日本は敗戦国。日本人は自分の意見をよう言うこともせず、結局は米国の言うことを聞く連中」という態度が見えます。これは日本側にも問題があったと思うのですが、とにかくバイデンはそういう姿勢で日本に接してくる。トランプのように首脳レベルで直談判することもしないでしょう。「自分の意見を持たない」日本との話し合いは事務方、そして"Japan handler"(「日本屋」)と呼ばれるロビースト達に委ねようとするでしょう。

前置きはこのくらいにして、今月の目次は以下の通りです。
 
 トランプ、バイデンのシーソー・ゲーム
 「バイデン外交」のスタイルは
 米国の中国叩きにどこまで付き合う?
 やはり(当面)勝った、ベラルーシのルカシェンコ大統領
 閉塞するロシア
 今月の随筆:ヴァイキングは「ハンザ同盟」の先駆けなのか?
       ヴァイキングとハンザ同盟=バルト海地域
       ハンザ

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/4028