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日本安全保障

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2023年2月18日

台湾有事は日本の踏み絵

(これは1月25日に発行したメルマガ「文明の万華鏡」第129号の一部です)

日本にとっては安全保障の根幹、日米同盟関係の根幹に関わる台湾情勢。これまで日本での議論はわりと切迫感を欠き、台湾情勢を「海の向こうのよそごと。アメリカがやること」と捉えている感が抜け切れていません。

「民主主義台湾を日米同盟で守る」というような建前を口先では繰り返しても、では台湾防衛のために自衛隊は何をするべきか、日本の基地からの米軍の出動を許すと、中国が日本を先制攻撃してこないだろうか、というところに思いを致すと、これはもうとても建前論ではすまない、防衛費増額のように閣議で決定して一件落着というわけにはとてもいかない、という段階に入ってきました。

例えば先般、米国のCSIS(戦略国際問題研究所)が、 "The First Battle of the Next War: Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan"を発表しました。これは、米国が台湾を防衛するためには、在日の基地を使用することが不可欠、と言うか、在日の基地を使うことを前提として組み立てられています。さらに、台湾有事の場合、米軍と自衛隊の間での指令ラインをどうするかを明確に決めておく必要があると指摘しています。

日米連携を事前から明らかにしておけば、中国をそれだけ抑止できます。しかしそれでも中国が台湾侵攻を始める場合、中国は在日の米軍、自衛隊基地、あるいはロシアが今ウクライナでやっているように電力網等のインフラを攻撃、あるいはサイバー攻撃してくるでしょう。東シナ海と太平洋の間の航路を確保するため、中国軍は日本の南西諸島制圧にも乗り出してくるでしょう。核兵器での脅しをかけてくるかもしれません。これらに対する備えをどうするか、決めておかないといけません。

これらのことは普通だったら、国会などではとても通らないことですが、平和主義の公明党、立憲民主党がそれぞれハードラインの自民党、維新と組んだことで、両党の議論の切っ先は鈍るかもしれません。野党が、防衛費増のための増税をどうするか、という内向きの議論で終始してくれれば、政府にとっては御の字でしょう。

台湾防衛問題はつきつめれば、米か中かの選択を迫る「踏み絵」なのです。この選択を逃れられるのは、台湾自身が中国に歩み寄った場合、或いは中国経済が崩れた場合でしょう。もう一つ、日本が踏み絵を踏まないで済む、しかし日本自身が踏んづけられてしまう最悪のケースとしては、米中が手を握って「日本処分」を決めることでしょう。まあその場合、昔独立していた時代の沖縄が薩摩と清にやっていたように、米中の双方に友好を誓い、双方の交易を仲介して利を上げることもできるでしょうが。

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