軍事技術研究へのタブーをなくしたらいい
(これは、7月27日付メルマガ「文明の万華鏡」第51号に掲載した記事の一部です)
北朝鮮ミサイルの日本沿岸への来襲とか、中国漁船団の尖閣周辺蝟集とか、日本周辺情勢は一気に騒がしくなった。軍事を真剣に考えないといけない。その中で、日本の大学が軍事技術研究を締めだしているという不自然な状況を指摘しておきたい。
戦後の日本は「軍」を持っていないことになっていたし、「軍」という言葉のつくあらゆるものにイデオロギー的なアレルギーがあった。そのため、日本の大学では自衛隊関係者を大学院に入れないなど、タブーが存在してきたのである。しかし、軍事技術は豊富な国家資金に支えられて開発されるので、時に大変なイノベーションを起こす。例えばインターネットは軍事用に開発されたものだ。
日本では逆に高解像度のレンズなど、民間技術が軍事用技術に転用されてきたのだが、軍事技術研究を不自然に禁止しておくこともないだろう。文部科学省は予算を独占できなくなっていやがるかもしれないが、自衛のための軍事技術開発は重要だ。思いつくものだけでも、軍隊のロボット化のためには強力で長時間の使用に耐える動力源が必要、レーザーや電磁波で敵のミサイルを空中で撃破するには、大電力を瞬時に発散し、それを連発して実行できる技術が必要、敵の兵士の脳波に働きかけて一時的に戦闘意欲を失わせる技術もそうだ。
今、米軍は来年度50兆円近くの国防費を使ってドローンの多用等、軍の無人化を大々的に進めようとし、中国も最近「戦略支援部隊」なる新たな軍種を創設、ここにサイバー・テロから電磁波兵器まで、新世代の武力を集めて注力する姿勢である。日本も、大学・政府・自衛隊の間の連携を強めて、自衛技術の開発を進めるべきだろう。
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