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世界はこう変わる

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2013年4月24日

尖閣とフォークランド

最近どこかのセミナーで、「フォークランド紛争の時もアメリカはイギリスの作戦に加わらなかった。だから尖閣でも・・・」という意見を聞いた。

フォークランド紛争の時、僕は西ドイツに勤務していて、西独外務省から随分話しを聞いていた。もうあまり覚えていないのだが(その頃の報告電信はそろそろ公開され始めていると思うが)、アルゼンチンにはドイツ系市民が多数いたため、西ドイツはフォークランド紛争で微妙な立場に立たされていた。英国はNATOの一員で、NATOの一員が外部から攻撃を受けた際には、NATO諸国がこれに反撃することになっているのだが、西ドイツは確か、当初、旗色を鮮明にしなかったと思う。

それがある日、いやに英国支持の立場に変わったので理由を探ってみると、当時東西に分割されていたベルリンのうち西ベルリンの安全保障について、「英米が連れ立って申し入れをしてきた。西ベルリンの安全保障の面倒を見ているのだから、フォークランド問題について英国を支持しろと言うのだ」ということだったのである。これを教えてくれた西ドイツ外交官の顔は屈辱で歪んでいた。

だから、フォークランドでアメリカが「何もしなかった」とは言えないのである。日ロ戦争の時も、英国は日英同盟の相手国、日本と共に戦いはしなかった。その代わり、バルチック艦隊のアジア回航で嫌がらせをしてくれたし、フォークランドの時もアメリカは衛星・電波諜報で得た情報を英国に提供するなどしていたに違いない。

それに、当時のイギリス海軍は、まだ遠方のフォークランドで作戦を展開するに足る兵力を持っていたのだ。これに対してアルゼンチン海軍・空軍は大きく劣り、結局は英国の軽空母を基地とする垂直離着陸戦闘機ハリアーにいいようにやられてしまった。

だから、「フォークランド紛争の時もアメリカはイギリスの作戦に加わらなかった。だから尖閣でも・・・」というのは、少し違うものを比べている感じがする。尖閣の場合、米海軍の空母が周辺に近づくだけでも、大きな牽制効果を持つ。

コメント

投稿者: 関 淑子 | 2013年5月 4日 23:36

第2次世界大戦前の日英同盟と現在の日米安全保障条約は、日本が大戦争に巻き込まれるのを防いできました。言い換えると、英国や米国のような、その時代の世界帝国は日本が軍事的な強国にならないようにけん制していたと言えます。

しかし、日独伊三国同盟は日本を第2次世界大戦に参加させることになりました。集団的自衛権は様々な視点から考えないといけませんね。

ドイツも日本も世界戦略を持つ教育や訓練が欠けているのは何故でしょう。日本は世界の果ての島国だから理解できるけれど、何故、ヨーロッパの真ん中にあるドイツが戦略思考に欠けるんでしょうか?

投稿者: 関 淑子 | 2013年5月 4日 23:41

米国に言われる前に分かりそうなものですが。

日本は世界の果ての島国だから世界戦略に疎いのは理解できるけれど、何故、ヨーロッパの真ん中にあるドイツが戦略思考に欠けるんでしょうか?

投稿者: Johnd619 | 2016年12月 5日 23:14

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