Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
ChineseEnglishRussian

世界はこう変わる

Automatic Translation to English
Automatic Translation to English
2012年2月22日

ロシアとその周辺の情勢 勉強会の様子

2カ月に一度ほど、僕のような(?)若手専門家が集まって、ロシアとその周辺の情勢を政治・経済・軍事・エネルギーなど総合的な観点から洗っている。2月2日にも行ったのだが、出席者の重城さんが簡単なメモを作ってくれたので、ここに掲載しておく。


反プーチン集会は「民主化」デモか?

2011年12月にモスクワでの2万人を超える(政府発表)大集会ほかロシア全土で行われた「反プーチン集会」について活発に意見交換した。
昨年末の「反プーチン集会」は各地で当局の表てだった介入や右派勢力の妨害もなく、広範に行われた。勉強会では反プーチン集会の規模、参加者の分析を基に、①集会は中高学歴の中産階級が中心、 ②リーダーと目される人は複数いるが、彼らが「政治的な民主化グループの指導者」となり得るかどうかは未知数、 ③ 政権の腐敗(産業の利権化や内部の権力抗争)に対する反発を含め、ロシアの現体制への「閉塞感」は広まっているが、これが「民主化勢力の結集」につながるかどうかの判断はまだ難しいーなどと分析された。集会に関連してプーチンが「外国勢力」と米国を牽制、新任米大使の野党勢力指導者との面会問題もあったが、欧米NGOが集会に直接、影響を及ぼしているようではなさそう。今のロシアは30年前の旧ソ連時代を知らない世代(20~40、50代)が社会を動かし出している。

ロシア大統領選挙については、これらの反プーチン集会の影響は限られたものになりそうで、プーチンが第1回投票で過半数をとるかどうかが焦点。事前の世論調査からみると、決選投票がある場合その相手は共産党のジュガーノフ。決選投票になった方が「公正さ」という意味では政権にマイナスとはならないとの見方も紹介されたが、「プーチンの性格からいって1回目の過半数を狙う」との判断に落ち着いた。政府は開票所の全国9万カ所にWebカメラを設置して、選挙公正さをアピールするようだ。

内政動向
プーチン・メドべージェフのタンデム政権にも変化がみられる。ロスネフチ会長のセーチンはガンを患っているといわれ、同社のセーチン系人脈も力を失った。ガスプロムも「民族派」といわれ外資に警戒的だったアナネンコフ副社長が更迭され、スルコフ大統領府副長官も影響力を失ったという。イワノフ大統領府長官、ナルイシキン国会議長は力を持っている。

プーチン・メドべージェフの違いは政治手法。「メドべージェフは法律、委員会などをつくって制度的なアプローチをするが、プーチンは属人的に誰かを血祭りにあげる」との意見も出た。プーチン自身はなお「強いロシア」を復活した指導者として多くの支持を集めているが、「最近は取り巻きの動きなどから、クリーン・清潔な政治家というイメージが薄れてきた」との指摘もあった。
 
このほかロシアのマクロ経済について、原油・ガス価格の高止まりで「経済はおおむね順調だが、ロシアからの資本の流出が急」との注意喚起があり、トランス・アナトリア天然ガス・パイプライン(アゼルバイジャン-トルコ)開通が間近で、従来、ロシアが牛耳ってきた天然ガス流通、価格への影響に注意する必要があると指摘された。

コメント

投稿者: Tadahiro Asami | 2012年2月27日 19:05

河東様
いつも貴重な情報をありがとうございます。ロシアのWTO加盟交渉が決着した後、OECD加盟問題が机上に上り、ロシアの政策論議が論議されます。ビジネスの視点から低経済成長率や対内投資の減少をもたらす政策環境、国営企業問題、corruptuionなどビジネスの観点から多くの改善を要する問題があると考えています。
浅見

投稿者: 福渡直躬 | 2012年2月27日 21:08

今日(2月27日)のNHK見させていただきました。短い時間でしたが今のロシアの問題点よくわかりました。
アンチプーチン派はエリツイン時代の経済のを混乱を余り知らない世代だが中産階級でしかも何か創造的なことをやろうという意欲のある一派でまだ多数を占めるに至っていないというご指摘と理解いたしました。この世代が主力を占めかつ経済のインフラ(サプライチェーン)や人材を作り上げるまでまだまだ時間がかかりそうですね。急ぎすぎると待っているのは混乱のみということでしょうか。

投稿者: momo | 2012年2月29日 16:17

27日のNHK拝見しました。目は口ほどにものを言うということを実感いたしました。

http://d.hatena.ne.jp/k1491n/20111029/1319868356 お時間ありましたらこちらのブログをご覧ください。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.japan-world-trends.com/cgi-bin/mtja/mt-tb.cgi/2087