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世界はこう変わる

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2011年4月12日

2011年3月のアメリカ――印象記5 (米国で製造業を復活させよう)

中国から輸入する代わりに自分で作ったら?――製造業回復に向けて
ものづくりは富の源泉。農業と鉱業だけではろくに成長しなかった世界経済が、数百倍の規模へと急成長を開始したのは、イギリスで始まった産業革命による。と言っても、作ったものを売らないとそれは富にならないわけで、国内や欧州だけでなくインドなど植民地にもそれを売りつけて豊かになったイギリスは、さしずめ外国の富を自国に移転して豊かになったとも言えるのだが、とにかく「もの」というものがないとそれもできなかった。そして「もの」が売れると、その周辺には流通とか営業とかサービス産業が膨れ上がってGDPを大きなものにしていく。

アメリカは60年代後半から始まった日本からの「豪雨輸出」で、国内の製造業のかなりを外国に移転させたり、外国人に売却したり(テレビを世界初に広めたZenith社は韓国のLGに身売りして、Zenithのブランドはここで生きている)「空洞化」のはしりとなった。だから現在、アメリカの流通業は輸入品を右から左に動かして食っているし、カネをいじってはカネを増やすという不健全な金融業が見せかけの付加価値を作り出し、そのすべては次から次に印刷されるドル紙幣に依存している、という不健全な構図が生まれることとなったのだ。

その後アメリカへの輸出国は日本から中国に交代したが(実際は日本は中国を通じて米国に輸出を続けているのだが)、ものづくりの多くを失ったアメリカがドルを刷っては自国、いや世界全体の経済を支える構図は変わっていない。だが輸出、そしてGDPが増えたことが中国人の一部にいわれのない自惚れを植え付けることとなり(なぜいわれがないと言うかというと、輸出の半分は外資系企業が行っているものだし、GDPが増えたのはこれまで無料だった土地にインフラやビルを建てて付加価値を何倍にもするという、安易な手段を使っているからだ)、特に金融危機後は「アメリカに学ぶべきものはもはやない。今やチャイナ・アズ・ナンバーワン」と言わんばかりの風潮が目立つ。1980年代前半の日本人のように、野郎自大なのだ。

中国は、低賃金を売り物に外資を招致した。だがアメリカにも、低賃金で働く用意がある人たちは多数いる。中国でも賃金水準は最近急に上がりだした。流通・運輸の面でのコストを考えれば、ものづくりをアメリカに戻しても不都合はない、どころか、世界におけるアメリカの力を取り戻すためにも、製造業をアメリカに戻すべきではないか?

ということを、今回多くの人たちに聞いて回った。その結果得られた印象は、「そのようなことを考えているアメリカ人は増えてきた。特に民主党系に。ところが共和党系はどうも製造業振興を忌避しているようだ。このコントラストは大統領選での争点づくりの一環ではないか」というものだ。いくつかの意見を並べてみる。

(共和党系ロビースト)「製造業は自動化され過ぎていて、雇用をもたらさない(注:そんなことはない。僕は2,3年前日本の自動車工場の組み立て工程を見学したことがあるが、手作業、そして労働者が多いことに驚いたものだ。お馴染のロボットを多用して無人工程というのは、塗装とか別の工程である。全体として労働交代時間に工場にやってくる労働者の数は、非常に多い)。社会保障負担を減らしたり、住宅ローンの条件を改善するなど、個人の暮らしを良くする方が経済的に有効な政策だと思っている」

(政府系シンクタンク)「貴方は、まるでハドソン研究所のErnest Preeg(外交官出身で米国製造業協会所属)のようなことを言いますね。製造業の復活は重要で、私もその方向で運動しています。アメリカの経常赤字の80%は工業製品の輸入によるものだからです。製造業復活のためには、税制を改革する等の措置をとっていかないといけません」

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