Japan and World Trends [日本語] 日本では自分だけの殻にこもっているのが、一番心地いい。これが個人主義だと、我々は思っています。でも、日本には皆で議論するべきことがまだ沢山あります。そして日本、アジアの将来を、世界中の人々と話し合っていかなければなりません。このブログは、日本語、英語、中国語、ロシア語でディベートができる、世界で唯一のサイトです。世界中のオピニオン・メーカー達との議論をお楽しみください。
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世界はこう変わる

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2011年3月10日

旧ソ連諸国をめぐる動向――12月~1月を中心に

                                2011年2月16日

12~1月周辺の中央アジアとNIS諸国をめぐる情勢をまとめてみた。主として露語、英語の公開情報に基づく。なおエジプト情勢が他国へも波及することが懸念されているが、中央アジアではその兆候は見られない。これら諸国では中流層が薄いため、既得権につかっている上層部、権利意識の低い大衆だけでは、エジプト情勢のようなことは起こりにくい。米国がエジプト情勢等に過度に介入するようであれば、中央アジア諸国をはじめ、「民主化のための米国の介入」に警戒感を再度募らせることとなろう。

1.中央アジアをめぐる国際環境
(1)行き詰まり感を強めるロシア世論

ロシアの大統領選は来年の3月、僅か1年後に迫ってきたが、メドベジェフ大統領、プーチン首相のいずれが立候補するのか(両者ともに立候補という可能性は、両者ともに否定している)わからない。相変わらず「メドベジェフ大統領はリベラル、改革志向、プーチン首相は保守、大衆の福祉重視」という分業を行いつつ、社会に広く支持の根を張ろうとしているが、このやり方がそろそろ賞味期限を迎えてきた。12月19日、プーチン首相はお得意の「テレビでの国民との対話」で、数時間にわたり国民からの質問に答えて見せたが、ツウィッターでは随分ひどいコメントが流れていたらしく、その一部はこの模様を報道した民放で画面の下に瞬時的にテロップで表示されたそうだ。曰く「あんた、いつ引退すんの?」、「どうせ、都合のいい質問しか受けないんでしょ」。

メドベジェフ大統領はいいことを言うのだがそのフォローアップが十分でない、他方プーチン首相は特権層・官僚の腐敗を野放しにしている――そういうイメージが社会でほぼ定着してしまった。メドベジェフ大統領は2009年の9月には「ロシアよ、前進せよ!」という勇ましい論文を発表し、改革へ向けてのラッパを吹きならしたのだが、その具体化は線香花火のごとくであり、2010年11月の年次教書では「前進」は影をひそめてしまった。それでいながら、プーチン首相への当てこすりとも取られかねないことを言い続けている。たとえば11月末にはブログで「『統一』(注:プーチン首相が党首の与党。ソ連時代の共産党に似て、官僚等のエリートを党員とする。最近では大学学部長のレベルのような非政治的なポストに至るまで、「統一」の人材が浸潤しつつある)は社会を固めつつあり、ソ連時代の停滞を思わせる。これは保守・リベラル双方にとって損害だ」と言ったそうだ(AFP)。

こうした情勢への飽き、先が読めない、国の向いている方向がわからない、特権層の腐敗ばかりひどくなる――こうした意識が社会をむしばみ、年末から年初にかけて19世紀末チェーホフを思わせる厭世感がマスコミに相次いで報道された。
11月24日には、グトコフ下院議員(下院諜報副委員長)がラジオで、「腐敗がひどいために、ロシアではあと4~6年のうちに暴動が起きるだろう。1983年にも自分は米国でソ連は崩壊すると言った。その頃、統計数字のねつ造がひどくなった。自分の予言は不幸にしてずいぶん当たった。(今また)権力の危機が始まった。政府は自分たちのことで手いっぱいで行政のための時間がない。体制は敵をドンドン増やしている。歴史(注:1917年ロシア革命のこと)を学べ、自分たちの未来はそこにある。この国では、錆びが全構造を食い尽くしたかのようで、内部からの爆発が起こりつつある。上から真剣な改革がないと駄目だ」と述べた由(Johnson's List)。

その予言が的中したかのように12月6日にはモスクワの真ん中、クレムリンのすぐ脇で、「サッカー・ファン暴動」が起きた。前日の5日、サッカーにからんでロシアの青年がコーカサス地方(イスラム系で白人系ではないため、ロシア人には特別な目で見られがちである)出身の青年に射殺されたのだが、この犯人をロシアの警察が拘束後、すぐ釈放してしまったことが「サッカー・ファン」の怒りを買い、コーカサス人種、その実自分達の警察に対して暴動を起こしたのだ。

12月24日のモスクワフスキー・コムソモレツ紙で識者のユリヤ・カリーニナ女史は言っている。「国は分解してしまった。警官は市民を守らず、医者は治療せず、教師は教えない。全てを信用できない。市民は誰かにだまされるのではないかといつも用心している。(この20年)我々は相も変わらず廃墟に生きている。金が全てだ。全ては嘘。真実がない、人々が欲しがるものでなく、政府が必要とするものだけ。それでも我々は廃墟の中で(石油ブームのおかげで)ハイ・ライフをもう少し続け、(2014年ソチ冬季)オリンピックもできるだろう。だがいつかは分解する。政府もダメ、野党もダメ。望みがない」。

そして1月10日の「毎日ジャーナル」ではアナトーリー・ベルンシュテインという人物が、「何か大きなことが起こる予感が大気に漂っている。具体的にどこがというのでなく、この社会は腐っているという感覚がある。91年のクーデターのようなことが起きるかもしれない。何も起きないかもしれない」と書いた。

ロシアは世界金融危機はなんとか乗り切った。だが経済は相変わらず石油輸出に過度に依存し、自力で工業を改革することはほぼ不可能である。そして石油輸出と関連するサービスが作り出す仮初めの富の恩恵を受けている者は限られている。10月29日国家統計委員会が公表した数字によると(最近ではこの政府統計のずさんさ、操縦がずいぶん指摘されるようになっているが)、2010年1~9月、所得の30.5%は人口の10%の富裕層に集中し、底辺の10%は冨の1.9%を入手したのみの由。しかも09年より中級の所得が減っている一方、上層部の所得が増えている。しかも、ひどいことには富裕層の中に官僚が増えている。

こうしたロシアの情勢は、NIS諸国、中央アジア諸国に対するロシアの政策、影響力にも響いていくだろう。今やロシアの代表的なイデオローグになった感のあるルキヤノフは言っている。「極東を強化しないとロシアはアジアでプレーできないどころか、極東を米中対立のバーゲニング・チップとして使われてしまう。・・・米国の軍事・政治プレゼンスはアジアでは安定要因かもしれない。・・・一方で、ロシアは反中のサークルに入ってはならない。そのため、NATOとのMD開発協力も(中国を警戒させないよう)慎重に行うべきだ。・・・そしてロシアのアジアでの力は、ロシアが西でしっかりしていることによる」(10月28日 RIA)。

(2)新START条約批准で頂点――米ロ関係Reset
(イ)NATOのMD等

米ロ間のReset――つまり相手の嫌がることはせず、もっと重要な別のことに注力する政策――は続いている。米国にとってはイラン核問題の他に、今年から始まることになっているアフガニスタンからの軍撤退で、ロシアの協力は不可欠だ。パキスタン領を通って南へ抜けるルートが主要なものだが、これは今でもタリバンの攻撃の的になっている。だからウズベキスタンとカザフスタン、そしてロシア領を通って欧州や黒海へと抜けるルートが非常に重要なのだ。もっともロシアもこれでアメリカの生殺を握ったと思っていると、中国新疆地方を通って太平洋岸に抜けるというワイルド・カードもあり得るので、調子に乗らない方がいい。

12月中旬には米議会で、米ロ原子力平和利用協定が承認された。これで、米ロの原子力平和利用協力がやりやすくなり(これまでも、ロシアが廃棄した核ミサイルのウランを薄めて、米国の原発で燃やすなどの協力が大々的に進行していたのだが)、日ロの原子力平和利用協定の批准が進みやすくなる。後者は、例えば日本企業がカザフスタンで採取したウラン鉱石をロシアで加工、濃縮してもらうことなどのために不可欠の協定である。

そして12月末には、大方の予想に反し、米上院が新START(戦略核兵器削減)条約を批准した。11月中間選挙で大勝利した共和党が認めまいという予想は、ブッシュ減税策の延長を認める等のオバマの対共和党歩み寄りにより、みごとに覆されてしまった。これを受けて1月末にはロシア下院も、新START条約を批准した。米ロの議会は双方とも、いくつかの附帯条件をつけているが、これは義務的なものではなく、「かっこをつけた」だけのものである。

「核のない世界」を目標とするオバマ大統領にとっては、次の目標は米ロ間の戦術核兵器(計1万発程度の小型核弾頭がロシアに依然として配備されている。ロシアにとっては、通常兵器で西欧に大いに劣っているために、不可欠の抑止力である。米国が欧州に配備する戦術核兵器は冷戦時代より激減して約200発に過ぎない。ドイツの一部にはこれの撤廃を求める声があるが、撤廃すれば米欧間のきずなは大いに弱まろう)の削減、そして中国等を核兵器削減交渉に含めて行くことだが、双方とも難しいだろう。既にロシアのラブロフ外相は、戦術核削減交渉は新START条約の実行ぶりを見極めてから考えたいと述べている。そして戦術核兵器交渉は、たとえ開始されたとしても、検証・査察が戦略核兵器よりはるかに困難であるという問題がある。

MDをめぐる米ロ関係も、すんなりとは行くまい。NATO側は、「欧州に配備するMDはロシアと共同開発」という線で11月NATO・ロシア首脳会議の折り合いをつけようとしたが、メドベジェフ大統領が「ゾーン・ディフェンス」の考えをその場で唐突に打ち出したために、話し合いは一時蹉跌している。ゾーン・ディフェンスとは、たとえばイランがミサイルを発射した場合、ロシア領内通過中はロシアのMDが対処し、欧州上空では欧州のMDが対処するというものである。テニスのダブルスで、前衛がロシア、後衛が欧州だと思えば良い。前衛が頼りないと、後衛は大いに困る。それにロシアのMDは、上空で小型核を爆発させることで、敵ミサイルを吹き飛ばすというものなので、ロシアとしてもなかなか使う気にはなりにくいだろう。

事態をこのように行き詰らせたうえで、メドベジェフ大統領もプーチン首相も、MD合意ができなければロシアは独自の兵力を開発・配備すると脅かしている。先回も紹介したように、ロシアは約1000キロの射程を持つS-500核ミサイルを開発中だし、多弾頭で1万キロ程度の中距離射程を持つRS-24も配備されようとしている。中距離核ミサイルと言えば、1980年代には米欧・日本・ソ連の間で大騒ぎになって結局全廃されたいわくつきのものだが、ロシアはこれを静かにまた生産しようとしている。もっとも、今回の標的はおそらく中国の中距離ミサイルだから、米国・欧州も騒がない。それにロシアのミサイル製造工場はソ連時代とは異なって、一つの工場(ウドムルチ自治共和国のVotkinsk工場)に集中している(12月6日付トルード紙)ので、大した数量は生産できまいとタカをくくっている面がある。ゾーン・ディフェンスをすると言っても、ロシアは自分の受け持ち分に必要な数量のミサイルも生産できまいというのが、西側での通り相場である。

なお、MDについてはこれまでロシアが大騒ぎしてきたが、これは欧州に米国がMDを配備すると、MD用ミサイルを攻撃用に用いてロシアの戦略核ミサイル(米国向け)をたたくことができるようになる、というのが、大きな理由だろう。オバマ大統領は2009年9月、このMD配備計画を縮小することを発表し、それによってResetを軌道に乗せて行ったのだ。
では縮小した結果はどうなっているかというと、12月1日、フランク・ローズ次官補が下院軍事委員会戦略戦力小委で、次のような証言を行っている(米政府公表資料)。彼はこれを、「前向きで数段階のMD(Active Layered Theatrical Ballistic Missile Defence(ALTBMD)」、または欧州の「Phased Adaptive Approach」と名づけた。

①2011年南欧にAN/TPY-2レーダーを配備(「日本の対北朝鮮AN-TPY-2に類似。中東方面を探索」)
②2020年までにSM-3 Block IIBを配備。まず太平洋のミサイル演習場で試験。(2015年、2018年の二段階)

①については配備対象国が決まり次第、条約を結ぶ。同時に洋上配備のイージス艦も使う。
②を2015年に実現するべく、ルーマニアが合意し、基地協定交渉を開始した。既に2005年締結済みの地位協定もある。
09年10月には、ポーランドが2018年にSM-3を配備することに同意した。09年12月にはNATO地位協定を補足するSOFA(地位協定)を締結し、2010年2月にはポーランド議会が批准ずみである。

(ロ)ミストラル輸出 
12月24日、フランスとロシアは強襲揚陸艦「ミストラル」級の輸出成約を公表した。フランス製のミストラルは16機のヘリコプター、70台の装甲車または24台の戦車、750名の部隊、ホーバークラフトを搭載することができる1万トンクラスの軍艦である。フランスは2013年中に1隻目、2014年に2隻目をロシアに引き渡し、3~4隻目はロシアの造船所がライセンス生産してバルト、北洋、黒海、太平洋の艦隊に1隻づつ配備する由。但し金融面の条件が固まっていないようだし、先進的な司令システムは別の入札でフランスが勝った場合のみ仏製のものを購入するという合意なので、他のNATO諸国などからクレームを食らっているフランスは入札で敗北したことにして司令システムをロシアに出さない可能性もある。
サルコージ大統領は大喜びで、メドベジェフ大統領とクリスマスの祝福も兼ねて電話で話し合った由(ロシアのクリスマスは旧暦、1月であるが)。サルコージは、これで4年間にわたり1000人分の職を確保できると述べた由。

(ハ)ポーランド、バルト諸国でのNATO作戦計画漏えい
12月7日のAPは、ウィキリークスが英国ガーディアン紙に明らかにしたところとして、「2010年1月、米国務省から在外公館あての電報でバルト有事の際のNATO作戦計画が通報されている」旨を報道した。2008年グルジア戦争で、バルト諸国がNATOに作成を強く求めたものである由。作戦名はEagle Guardianで、有事にNATO部隊がポーランド、バルト諸国の防衛に駆け付けるというもの。
大した話のように聞こえるが、有事の際の作戦計画の準備は、どの国の軍隊もやっていることだ。それにロシアはNATOからこの動きを事前に知らされていたし、2010年年頭にはポーランドで報道もされていたと言うので、この件はNATOとロシアの間では問題化しなかった。これもまた、Resetの顕れである。

(ニ)「欧米の対中・対イスラム橋頭堡」としてのロシア?
これだけNATO・ロシアの間の関係が回復すると、ロシアの方には「NATOに使われてしまうのではないか」という懸念も芽生える。11月24日付保守系の「ザーフトラ」紙は、「ロシアは次第にNATOの対中国、対イスラムの橋頭堡的立場に陥りつつある」という趣旨を書いている。心配の種のつきない人たちだ。

(3)CSTOの停滞
冷戦が終わって20年。NATOはソ連という主敵を失って、その存在意義と一体性を維持するのに苦労しているが(但しNATOはEUの安全保障版という面があって、EUの経済的魅力が存在するかぎりはそのコインの裏として存続するだろう。ロシアと関係を改善したからといって、NATOとロシアが完全に一体化することはないだろう。そうなるとNATOの存在意義はほぼなくなって、たとえばOSCEのような組織に融合されてしまうからである)、ロシアを頭とする集団安保機構CSTOは、ロシアに経済的な求心力が欠けるだけにもっと苦労している。
ロシアは冷戦時代のワルシャワ条約機構復活の夢を見て、CSTOを強化したがる。だがCSTOのメンバー国はワルシャワ条約機構の7カ国に比べて、東欧を欠く旧ソ連の7ケ国に限られているのだ。そして今ロシアは、NATOにならって緊急事態即応展開軍なるものをCSTO内部に作ろうとしているが、メンバー国の抵抗で作りきれないでいる。

12月6日にはモスクワで、CSTO緊急事態調整協議会第3回会合が緊急事態相(軍事上の有事に対処するよりも、天災・大型人災への対処が任務)レベルで開催され、「緊急事態対応統一メカニズム」設立を議論した(centrasia.ru)。天災・人災への対処で釣っておいて、最終的には緊急事態即応展開軍の創出にもっていこうという作戦だろう。前者については、ロシアが12月10日のCSTO首脳会議で最終合意を行うことを策していたが、報道ではそれは確認されない。後述の経緯で、棚上げになったのかもしれない。

12月10日モスクワでのCSTO首脳会議では、興味深い展開があった。即ち、メドベジェフ大統領が上記の緊急事態即応展開軍創設についての署名を各国首脳に呼び掛けた際、ウズベキスタンのカリモフ大統領が次の発言を行い、それを帰国後公的通信社(www.uza.uz)を通じて公表したのだ。それは、「①ウズベクはCSTOの強化と活動の効率化を支持する、②しかしCSTOは外部の脅威に対するもので、加盟国間の紛争、加盟国内部の騒動に対するものではない、③加盟国「内部」の騒動に、外部は介入するべきではない、6月10~14日のキルギス南部(ウズベク系)民族騒乱の際、自分はオトゥンバーエヴァ・キルギス大統領代行と長い電話会談を行い、「ウズベク側からは兵を絶対キルギスに入れない」ことを約束した。そんなことをすれば、国同士の紛争になるからだ、④CSTO加盟国同士の紛争としては、ナゴルノ・カラバフ問題もある、⑤以上により、ウズベクは即応展開軍規則、CSTO平和維持軍創設声明に署名しない、ウズベクは外国での平和維持活動には参加しないからだ」というものである。

カリモフ大統領は、ウズベキスタンがごたごたに巻き込まれることを、土壇場で防いでいる。但しこれは反ロ姿勢ではない。ウズベキスタンとロシアの間では緊密な協力・交流が続いている。高名な記者イェシュコフが12月13日付ウズメトロノームで書いたように、「カリモフ大統領がこのCSTO首脳会議にわざわざ行ったのは、米がアフガンから去った場合、CSTOはウズベクの安全保障にとって必要になるからだ。しかしカリモフ大統領は、CSTOが自国に介入したり面倒を起こすことは望まない。かつてのNATOにおける仏のような立場だと思えばいい。」ということだろう。

(4)上海協力機構(SCO)も「農閑期」
日本では、「上海協力機構に入らないと中央アジアで仕事をやらせてもらえない」のではないかという無用の懸念がある。しかしSCOというものは、各加盟国がその名前だけ利用して、真剣には盛りたてようとしない、いわば「非常勤」加盟国からだけ成る組織のような感がある。毎年夏の首脳会議の時だけ世界のマスコミをにぎわすが、首脳会議の開かれない間はほとんどニュースになることがない。まるで農閑期なのである。11月26日にはタジキスタンのドシャンベで首相会合が開かれて(大統領レベルの首脳会議とは異なる)、少しはニュースとなったが、その後はまた深く潜行してしまった。

(5)OSCE首脳会議
そうした中で、12月1~2日、カザフスタンのアスタナで開かれたOSCE首脳会議は、「国連、NATO, SCOその他を一同に糾合する」という壮大なふれこみの下、行われたのだが、前回メモで紹介したとおり、相撲で言えば総顔見世に終わり、取り組みに相当するような目ぼしい合意は行われなかった。各国代表(56カ国)の演説は5分程度に制限され、メドベジェフ大統領がスピーチでグルジアを非難するとサカシヴィリ大統領が会場から退場し、サカシヴィリがいざ登壇してロシアと話し合う用意があることを表明した時にはメドベジェフは帰国ずみ、というちぐはぐぶりだったそうだ(10月ジェームズタウン・ニュースレター)。

このような次第で総括宣言未調整のまま、全首脳は帰国してしまったようだが、後に残ったロシア、EU、米の事務方が話し合い、抵抗するアゼルバイジャンなどを説得して総括宣言の発表に持ち込んだ。但し、論議を呼びやすい行動予定表は抜いてある(12月3日付centrasia)。なおウズベク代表団は(カリモフ大統領は参加せず)、ナザルバエフ大統領が提案した、①4大洋間の「安全保障空間」創設、②NATOとCSTOとの間の協力、③国際通貨の創設、④CSTO安保研究所設立、などは事前の相談を受けていなかったとして、総括宣言に入れることに反対するとの声明を発表した。

こうして、この首脳会議はカザフスタンのナザルバエフ大統領には大変な晴れの場となったが、OSCEにとっては組織としての無力さを如実にさらす悪夢の場であったろう。OSCEのロシア語版ОБСЕは「欧州無益協議体」とも読める――そのような揶揄がマスコミに掲載される始末であった(centrasia.ru)。

日本はOSCE加盟国ではないが、オブザーバーの資格を持っているので、伴野外務副大臣が出席して短いスピーチを行った。このスピーチにおいて同副大臣は北朝鮮との関係に詳しく言及、拉致問題、核兵器開発問題で同国を厳しく批判した。更に中国軍拡張の動きが不透明であること、日本はOSCEとアジア・太平洋地域間の橋渡しをできることを指摘した。

(6)中ロ関係
ユーラシアの東半分にとって米ロ関係に劣らず重要な因子は、中ロ関係である。中央アジア等において「中ロの勢力争いが嵩じている」ように伝えられ、モンゴルやトルクメニスタンにおいては天然資源への支配権をめぐる隠微な争いが起きる時もある。だがそれはいずれもいわゆる「テーブルの下での足の蹴り合い」に止まり、テーブルの上では両国間の協力・友好関係が崩れる兆しはまったく見られない。双方とも、こうやって米国に対抗しようとしているのである。

両国協力関係進展の象徴的なできごととして、最近完成したパイプラインを使ってシベリアの原油が12月20日、大慶に初めて到着した。またモスクワ・タイムズによれば10月下旬、ロシアのヤノフスキ・エネルギー省次官は「中国はロシアからの石炭輸入を2015年までに1500万トン、2030年には2千万トンにしたいと言っている」と発言した由。
また天然ガス国際市況が大きく値崩れするなか(米国におけるシェール・ガスの大々的開発、カタールによるLNGの大量生産開始)、ロシアは以前よりも中国への輸出に重点を置き始めた。10月プーチン首相は会議の席上、2030年に向けて天然ガス年間生産量を現行の6500億立米から1兆立米に引き上げることも検討している、輸出先の多元化が必要であり、中国が恐らくロシアの天然ガスの最大の消費者になるだろう、と述べている。もっとも、石油パイプラインは主要産地の西シベリアまで通じているのに対して、中国とロシアの天然ガス主要産地を結ぶパイプラインは未だない。そしてその建設費は12月16日モスクワ・タイムズでミルレル・ガスプロム社長が述べているように、「140億ドルはかかる」かもしれないのである。

なお1月2日付ワシントン・ポスト紙は、「米ロが共同して中国に、中距離核ミサイル削減を働きかけるべきである」とする、ブルーメンソールの論評を掲載した。これは、安全保障問題におけるロシアの対中懸念にもかなったもので、米国がロシアによる中距離核ミサイルの開発を黙認していることを示唆するものである(前出)。中距離核ミサイルは1970年代末ソ連が配備したのに対して、ドイツをはじめとするNATOが強硬に反発し、1987年には米ソ双方が中距離核ミサイルを全廃する合意を結んだ。こうして米ソ、米ロ両国が自分で自分の手を縛っている間に、中国、北朝鮮、イラン等の国は自前の中距離核ミサイルを開発し、ロシア、米国の同盟国に対する脅威となってきた。米国がロシアによるRS-24等の中距離ミサイル開発の動きに目をつぶっているゆえんである。

(7)GUAMに動きなし
GUAMというのは、グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドヴァの頭文字で、旧ソ連諸国内の一種の圧力団体である。1996年に結成されたときは、旧ソ連のなかでも米国に傾斜した国の集まりだったが、その後加盟国の外交路線は変遷を繰り返し、現在は凝集力を欠いている。今年はウクライナが議長国だが、「1月にキエフで首脳会議を行う」という合意が昨年末に報道されたまま、会議は今に至るもまだ行われていないようだ。ウクライナ、アゼルバイジャンがロシアと良好な関係を維持しようとしている現在、GUAMは当分勢いを得られない可能性が高い。

(8)トルコというワイルド・カード
学者出身のダウトオールが外相になって以来のトルコ外交は、鬼面人を驚かす。EU加盟に主眼を置いて西側の一員として振る舞ってきたのが容れられず、EU加盟を実質的に断念したのがきっかけとなった(但しトルコでは、イスラムと言われる現政権が実は改革志向で、専制・保守の軍部を抑制しておく必要があるために、EU加盟という表看板は下ろしていない)。今やトルコは昔オスマン帝国だった時代の地盤を思い出し、中近東そして中央アジアに活躍の場を見出している。
それは米国等大国が維持している国際情勢の枠組みの中で巧みに立ち回っているに過ぎないが、パレスチナへの肩入れ、イスラエルとの対立、イラン・米間の「仲介」への試みなど、これまでやっていなかったことをやってみせるだけで称賛を浴びている。政治優先のこの地域の国であるだけに、エアドアン首相以下の個人プレーで大きな効果をあげている反面、その基礎はもろい。そこらじゅうで行った「新鮮なイニシャティブ」が相互につじつまが合わなくなった時、トルコ外交は大きくつまずく可能性がある。それは安定した同盟国を持たない、「自主独立外交」の国が持つ宿命である。

先回紹介した、トルコにおける中国空軍、陸軍との初の共同演習も大いに人を驚かした。トルコは数年間にわたって米、イスラエルと共同演習をしてきたが、イスラエルとの関係悪化後、イスラエルとの共同演習を拒否したのに対して、米軍がトルコとの演習を控えたことが背景にある。米中両軍の間の対立気味の関係を知りながら、中国との共同演習を行うのはサーカスに等しい外交に見える。
トルコ、中国の陸軍は山間部で演習をしたようで、中国がアフガニスタンでの作戦を念頭に置いているとしたら興味深いことである。また空軍は中国のSU-27を使って模儀空中戦を行ったそうだが、これはトルコ空軍がロシア空軍のSU-27に対処する方法を演習したとも解釈できるものである。一部の報道によれば、2008年8月グルジア戦争の際トルコは、ロシア軍がトルコ領に近づくことに対して警告を発している。

一方、トルコに定住しているウィグル人(中国新疆地方の原住民)は、トルコ政府の真意を測りかね、中には怒っている者もいる由(11月14日付ユーラシアネット)。他方、米国はトルコに対し、中国との共同演習では米国の新型兵器を使用しないよう求めている。ダウトオール外相は10月28日、新疆地方のカシュガルを訪問した際、「トルコと中国の間の接近は、(新疆地方の)トルコ系住民に対する中国政府の出方を和らげている」と述べている。このあたりにもトルコ側の狙いがあるのかもしれない。

(9)アルメニアとイランの間の協力関係
アルメニアとイランの間で経済協力関係が進んでいることは先回紹介したが、11月1日アルメニア軍がロシアの対空ミサイルS-300を所有していることがテレビで流されたことは興味深い。アルメニアには以前からロシア軍が駐留(ギュムリ基地に3.500名のロシア軍人、100両の戦車等。8月27日付独立新聞)しており、S-300があって何も不思議はない。
但し問題が二つある。一つはイスラエルがイランの原爆施設を空襲する場合、アルメニア空域はその通り道になり得るため、S-300の存在は大いに(イスラエルに対する)抑止手段となることである。イラン自身S-300をロシアから直接購入しようとしたが、米国・イスラエルからの圧力の下でメドベジェフ大統領自身が輸出停止を命じた。だが、ロシアは第三国を経由してS-300をイランに出すことを考えたかもしれない。現に11月11日付モスクワ・タイムスによれば、イランの軍人は「自力でS-300相当の兵器を開発して、実験に成功した」と称している由であり、これが「自力」でなかった可能性がある。つまり、アルメニアのイランとの協力は、アメリカの虎の尾を踏む恐れがあるということである。現に12月23日付ワシントン・タイムスは、「ウィキリークスによれば2008年12月、ネグロポンテ国務次官はサルグシャン大統領に書簡を送り、同大統領が国防省時代にイランに兵器を供与したことに抗議して、制裁をもちらつかせた」旨を報じている。

もっともアルメニアはロシアに近いだけでなく、アルメニア系移民を通じて米国・西欧でも大きな政治力を持っている。オバマ大統領にとっても選挙戦中の重要な支持団体であり、アルメニアと敵対するアゼルバイジャンに既に1年半も大使を送れないでいることが示すように、アルメニア人社会からの圧力には弱いのである。アルメニアは人口小国でありながら、大国を手玉に取って自国の利益を最大限プロモートしている。

(10)中ロ米間の勢力争いの露頭・モンゴル
かつてユーラシアの大半を制して市場を統一したモンゴルは、現在では中ロの狭間で逼塞している。明王朝に敗北して以来、その対中関係は基本的には守勢であり、それ故にソ連が成立した後は「世界で二番目の社会主義国」としてソ連の衛星国となることで、中国からの独立を守ってきた。ただモンゴル人居住地域はモンゴルだけでなく、中国の内蒙古自治区、ロシアのブリヤート自治共和国、トゥーヴァ自治共和国に分散している。

ソ連崩壊、中国台頭の中にあってモンゴルは、大国の間で微妙なかじ取りを行っている。それは一人の指導者が一貫した戦略をもって実行しているものと言うよりも、利権と権力争いの成り行きに随分決せられている趣がある。
米国は2001年以来、モンゴルと毎年共同軍事演習"Khan Quest"を行っているし(2007年からは韓国も参加)、中国とロシアはモンゴル国内の鉱業・経済利権を奪い合っている。モンゴルはウラン、石炭、非鉄等の資源の宝庫であるだけに、この争いはますます激しくなって政治家同士の勢力争いにも関わってくるだろう。日本はソ連時代からモンゴルにODAを供与してきただけでなく、現在は商社を中心にモンゴルの資源開発に積極的に関与しようとしている。それも独力ではなく、中国、ロシアを含めた第三国と提携してである。

これら動きの一端は先回も報告したが、今回の動きの中には次のようなものがあった。
12月14日モスクワでの露蒙首相会談で、Dornodウラン鉱山開発のための露蒙合弁企業設立の署名が行われた。モンゴルが株の51%、ロシアが49%を所有し、取締役は5人ずつ出す。年間2千トン採取予定の由。
ドルノド鉱山はもう少しで中国に持っていかれるところだった。ドルノドの開発ライセンスを取得していたカナダのKhan Resources社が、中国のCNNCと提携しようとしたからである。モンゴル政府が一計を案じてカナダ社を追い出し、ロシアと結んだという次第である。

この首相会談でプーチン首相は、ロシアがモンゴルに対して有する債権の97.8%を帳消しにする合意に署名した。なお、ソ連時代の債権は2003年に帳消しにしている。さらに両国は、非鉄金属開発に関わる両国合弁企業「エルデネット」と「モンゴル・ロシア貴金属」を合併して、IPOを行う予定である旨言明した(12月15日RBC等)。両社のロシア側パートナーは国営持ち株会社のロステクノロジーである。

(11)アフガニスタン
11月のNATO・ロシア首脳会議では、期待されたアフガニスタンをめぐる両者の協力進展は明らかにされなかったが、11月22日付コメルサント紙によれば、右首脳会議直後、NATO・ロシアは(ロシア製)ヘリコプターのアフガニスタンでのメンテナンス、パイロットの訓練、燃料、弾薬のための信託基金設立を決めた由。NATO諸国が拠出すればスタートする。

ソ連のアフガニスタン戦争中に開発されたMi-17等のロシア製ヘリコプターは、アフガンの高山を飛び越えるに必要な大馬力を持つほか、土埃にも強い。米国、NATOはこれを是非アフガニスタンで大々的に使いたいのだが、イラン制裁のために米国はロシアと武器取引ができず、商用機として僅か数機の使用に止まっていたのが、1月21日付ウォール・ストリート・ジャーナルによれば兵装Mi-17ヘリコプター21機購入が近くまとまりそうである由。ロシアがイランへ対空ミサイルS-300を輸出しないことを誓ったことも、大きかったろう(但しイランは自力でS-300の開発に成功したと称している。第三国を通じて入手した可能性がある)。

12月21日付centrasia.ruによれば、12月初めモスクワでロシア・アフガン・パキスタン・タジクの痲薬取締庁長官たちが集まり、「中央アジア痲薬取締4カ国会合(カルテット)」設立で合意した由。

アフガニスタンは今や麻薬生産の世界的中心地になったが、中央アジアを通じてその5分の1が流出している。右カルテットにはトルクメニスタンが入っていないのが目に付く。トルクメンとアフガン国境は744キロと、アフガン国境の中では最も長く、しかも平原である。ベルディムハメドフ大統領は時々、「押収した麻薬」の焼却を視察するのだが、トルクメニスタン政府は毎回約750キロの麻薬を年3~4回焼却しているというから、摘発されずに流入してくる量は半端なものではないだろう。このため、トルクメン社会では麻薬が大きな問題になっている由。
11月5日付のExec.Intell.Reviewによれば、芥子栽培で生計を立てているのはアフガン人口の6%と推計される。しかし芥子農園の持ち主は不在地主で、多くはロンドン、米国、湾岸諸国に居住している。肝心の農民は芥子栽培で年間70ドルほどしかもらえず、小麦栽培でもこのくらいは稼げるだろう、との由。

1月10~11日にはバイデン米副大統領が急遽来訪した。1月9日付centrasia.ruは、カルザイ政権はトルコの仲裁、イランの協力を受けてパキスタンと手を握ろうとしており(タリバンとの停戦を意味するのだろう)、これに慌てた米国がバイデン副大統領を急遽派遣したのだと報じている。
1月17日付Radio Libertyによればバイデン副大統領は、2011年7月米軍撤退開始、2014年完了という日程を、アフガニスタン側から要請があれば先延ばししてもいいと述べた由。このあたり、米国がカルザイを突き放して早期撤退をはかろうとしているのに対して、カルザイがパキスタンやロシアなど米国にとって好ましからざる国々を引き込むそぶりを見せて、米軍撤退を遅らせようとしているように見える。

そして1月21日、カルザイ大統領はロシアを訪問した。経済協力協定に署名し、ロシアは水力発電所や穀物倉庫を建設する意向を表明した由。ソ連・ロシアは1989年軍をアフガニスタンから撤退させたあとも、タリバンに対抗してアフガン北部のタジク系・ウズベク系から成る「北部同盟」に肩入れしていた。従って、カルザイ大統領の訪ロはまったく奇想天外というものでもない。

なお12月24日付タイムスは英国諜報機関からの話として、イランがアルカイダとの提携を進めつつあると報じている。以前は、アルカイダ分子がイラン領内に入るのに目をつぶっていた程度だったのが、最近ではイラン政府はアルカイダのテロリストを牢獄から釈放し、アルカイダの再強化を助けており、パキスタンとサウジアラビアが懸念しているいる由。シーア派のイランはスンニー派のアルカイダとは相容れない、と思われてきたのであるが、背に腹はかえられない、ということらしい。

かなり前のニュースになるが(8月26日付afghanistan.ru)、アフガニスタンのSari-Pool州で原油生産が開始されたらしい。日量800バレルというから、毎日100トン程度。国内で精油するのは難しかろうが、50トンのガソリンが採れたとすると、約1000~2000台の乗用車を1日動かせるくらいの量だ。

2.中央アジア各国情勢
(1)ウズベキスタン

前回紹介したように、11月12日ウズベク議会でカリモフ大統領が演説し、「一層の民主主義化のための改革」として、①最大議席を有する政党が首相候補を提案して、大統領の同意を得た後、上下院の多数票で決定する(これまでは大統領が首相候補を提案)、②上下両院は単純多数で首相を不信任できる、③大統領の健康悪化の場合、上院議長が代理となり、3カ月以内に選挙を行う(これまでは、大統領辞任表明後5日以内に両院総会で代理を選び、その後選挙をすることになっている)などの改革を提案したが、その後憲法改正手続きが始まったという報道には接していない。また同時期、一時盛んになったカリモフ大統領交代の報道も止まった。

他方、少なくとも数字のうえでは経済は好調である。1月21日閣議ではカリモフ大統領も出席して10年度経済統括が行われたが、その時報告された数字は(1月22日uzmetronome)GDP8.5%増、鉱工業生産8.3%増、農業6.8%増、建設8.1%増、輸出10.8%増という立派なもので、日本とは大違いのGDPの0.3%相当の財政黒字であった。国民の実質金銭所得額は23.5%増えたことになっている。1月20日の国連機関報告でも、ウズベキスタンは2010年8%の成長で、旧ソ連諸国中最高だった由。

少々数字が膨らませてあるにしても、経済が好調だったのは確かだろう(他方、価格水準も上昇している。2010年はガソリン価格が30%上昇し、モスクワの水準を超えた由――12月30日付centrasia.ru。2010年上半期には石油ガスの生産が低下したそうだ――8月25日付vesti.uz)。それは、①国内の金融が世界からかなり切り離されているために、世界金融危機のあおりを受けて貸し渋りが起きることがなかったこと、②重要な輸出品目である綿花の国際価格が高止まりしていたこと、③ロシアがトルクメニスタンに代わってウズベキスタンの天然ガスを大々的に輸入するようになったことなどに、大きく起因するのではないか。

外交においては、ロシア、中国、西側のどれにも決定的に傾くことはなく、うまくバランスを取っている。なお12月31日、ノロフ外相が第一次官に降等され、代わりにガニエフ副首相が外相を兼任することになった。ノロフ前外相はドイツ大使の前歴から西側寄りとされてきた。ガニエフ外相はロシアとも近いが英語も堪能で、誠実・忠実な全天候型の能吏である。彼はウズベキスタンの対米関係が悪化した2005年から1年余、外相を務めたことがある。しかし、今回の任命が対米関係の変化を予兆するものではあるまい。

これまでガニエフ副首相が兼任していた対外経済相(日本のODA受け入れの窓口でもある)にはサイドヴァ元経済省(ソ連時代の国家計画経済委員会=ゴスプランの後身)次官が任命された。サイドヴァ経済相は有能で廉潔イメージの女性、経済省時代はアジモフ副首相の右腕であった。

ウズベキスタンは中央アジアの中でおそらく、中国に最も入れ込んでいない国だろう。カリモフ大統領は、中国の安価な消費財が国内に流入して国産品生産に打撃を与えるのを嫌っている(ウズベキスタンはものづくりの国で、自動車も生産してロシア等に輸出している)。中国のインフラ借款も受け入れていないようだ。2001年集団テロ以降数年はアメリカに大きく傾いた外交を行ったが、2005年5月のアンディジャン事件での米国の介入に反発してハナバード空軍基地から米軍を追い出してからは、数年間ロシアに傾いた。そして2008年メドベジェフ大統領が就任してからは、ロシアとの関係がまたよそよそしくなり、反面米国との関係には修復が目立つようになった。12月にはクリントン国務長官が来訪して、科学技術協力協定を結んでいる。

米軍がアフガニスタンで作戦をしている間は、ウズベキスタンは米軍物資の搬入路(アフガニスタン領に入る世界唯一の鉄道がある。この鉄道のウズベキスタン山間部分での建設には日本の円借款が出ている。2月に来日したカリモフ大統領はこの山間部分の電化のための円借款供与で合意して帰国した。電化すると牽引力が増す)として、米国にとって重要な意味を有する。このためもあって、米国はウズベキスタンの人権問題に対する批判を控えている。

他方、カリモフ大統領は前述のように、ロシアが求めるCSTOの早期即応展開軍創設に抵抗している。ロシアはこれに苛立っているようだが、天然ガスの対ロ輸出ではウズベキスタンがトルクメニスタンを抜くなど、カリモフ大統領は硬軟両様の対ロ外交を展開している。早期即応展開軍については、これがキルギス南部(ウズベク系住民が多い)に配置され、ロシアがウズベキスタンに対して何らかの圧力をかける手段として使うことを警戒しているのだろうか。

米・NATOがアフガニスタンで作戦をしている間はいいが、アフガニスタンが不安定化するとウズベキスタンは深刻な安全保障上の脅威をかかえることになる。この時ウズベキスタンがその自主外交の原則を曲げなくとも安全保障を確保できるように、今から手立てを考えておかなければならないだろう。

カリモフ大統領は1月24日、ブラッセルに赴き、NATO、EU首脳と会談した。2005年5月のアンディジャン事件(ウズベク北東部のアンディジャン市にテロリストが隣国キルギスから侵入、市庁を占拠して住民を煽ったため、これを鎮圧しようとした内務省軍が、広場にいた市民までを大量に殺害して国際的非難を浴びた事件。EUはウズベク要人への査証拒否等の制裁措置を導入し、やっと2009年になってそれを解除していた)以来、欧米とウズベキスタンの関係にはしこりがあったが、このブラッセル訪問でカリモフ大統領は5年ぶりに西側に足を踏み入れたことになる由(1月31日付centrasia.ru)。

NATOは10数年ぶりにカリモフ大統領をその本部に招き入れ、ラスムッセン事務総長が協力関係(アフガニスタンでの作戦で、NATO軍はウズベキスタンのテルメス空港を中継基地として使用している)の継続を確認した。カリモフ大統領は、アフガニスタンの安定化についての話し合いにウズベキスタンをもっと入れることを要請した。
EUは加盟国の中にウズベキスタンの人権問題を問題視している国があることに配慮してか、ファンロンパイ欧州理事会議長との会談は行わなかったが、バローゾ欧州委員会委員長とエティンゲル・エネルギー問題担当委員が会談して、資金・技術協力、そしてエネルギー面での協力促進のための覚書2件に署名した(1月31日付centrasia.ru)。EUはタシケントに代表部を開設する意向を表明した。

本件訪問はウズベク側のイニシャティブで行われたようで、非公式訪問である。西側マスコミの一部はカリモフ大統領を「独裁者」と決めつけ、本件訪問を受け入れたEU、NATO双方を非難したが、双方とも「自分は招待していない」との言い方で非難をかわした。非公式訪問には「招待」はいらないので(公式訪問の場合、通常受け入れ側が費用の一部を負担するが、非公式訪問ではそのようなことはない)、それは嘘ではない。

いずれにしても、アンディジャン事件以降、しこりの消えなかったウズベク・EU関係間では一応手打ちが行われたと解釈してよかろう(EU側は既に2009年、対ウズベキスタン制裁措置を解除している)。カリモフ大統領はこれを受けて、2月8日の訪日を行ったのである。これは公式訪問だったので、天皇陛下御夫妻による謁見をはじめ最高レベルの接遇が行われたのである。

(2)カザフスタン
12月以来議会では、どういう背景があるのかわからないが、「ナザルバエフ大統領に2020年まで大統領をやっていただくための国民投票」実現運動が盛んで(有権者の半分以上に達する500万の署名を集めたという――1月13日中央選管発表)、ナザルバエフ大統領も最初は嫌がるそぶりを示していたのが、最後には「憲法評議会がいいと言うなら」ということでその判断をあおいだ。ところが憲法評議会は1月31日、このような国民投票は憲法違反であるとの決定をくだし、それを受けたナザルバエフ大統領は4月3日、前倒しの大統領選挙を行うことを決定、2月15日現在既に5名の候補者が明らかになった。
このような回りくどい方法を取ってまで、ナザルバエフ大統領が延命を確実にしようとする背景はよくわからない。うわさでは、最近妻以外の女性に初めての息子ができたとされるが、2020年ではまだ10歳にしかなっておらず、後継は無理だろう。

(3)キルギス
キルギスでは10月の総選挙のあと、連立政権樹立の試みが数回挫折、12月初めになって社会民主党を首班とし、共和党、アタジュルト党から成る政権がやっと発足した。首相は社会民主党のアタムバエフ、国会議長はアタジュルト(第一党)のKeldibekov党首、今回オトゥンバエヴァ大統領から組閣を委任された共和党のババーノフ党首は副首相に収まった。
ババーノフはハンサムな政治家で女性層の間で人気が高い。もともと社会民主党に属し、総選挙の僅か3カ月前に共和党を立ち上げていたものである。実業界出身で、バキーエフ大統領時代にはガソリン販売の利権をバキーエフの息子に明け渡すことを代償に副首相の地位についていた。今回も、おそらく実業界での力を背景に副首相の座に返り咲いたものであろう。

ロシア系メディアは早速、オトゥンバーエヴァは任期の延長を狙っている(本来なら、本年秋には大統領選挙の予定)、そしてババーノフを使って利権獲得にも乗り出した、後者はカザフスタンの資本とも組んで、ロシア系の携帯電話会社からロシア人経営陣を追い出した、それにはオトゥバーエヴァ大統領の息子も関与している旨批判している(1月31日付ベールイ・パールス)。誇張もあるだろうが、ロシアがオトゥンバーエヴァ政権を親米と見なして警戒している可能性には留意しておく必要がある。
なおこの内閣が崩壊しても、あと1回組閣ができるが、それが崩壊すると、繰り上げ総選挙を行わなければならなくなる。

アタムバエフは首相となるや、天山山脈の一峰(4.500メートル)を「プーチン山」と命名、それを手土産に12月の末、初の外国訪問として訪ロを行った。外相、財務相、電力相、農相、麻薬取締庁長官、国境警備庁長官等を引き連れての大代表団だった(12月26日付Zpress)。

1月11日には、昨年6月オシュ等南部で起きた「民族騒動」の調査報告書が発表された。この件は南部を根拠地とするバキーエフ前大統領勢力による復讐、アフガニスタンからの麻薬取り扱い利権の奪い合いが絡んだ人為的なものであったと思われるのにもかかわらず、この2点をあいまいとし、「南部に集住するウズベク系住民がウズベキスタンからの助力もあてにして起こした『民族騒動』で、オトゥンバエヴァの臨時政府はこの動きを事前に知っていながら何もしなかった」という線で調査を収めている。おそらく10月総選挙で、バキーエフ系と言われるアタジュルト党が第一党となり、連立政権にも入ったことが作用しているのだろう。
また騒動の主要舞台となったオシュの市長ムイルザクマトフ(キルギス人。マフィア出身とされる)は、6月騒動の主要アクターであったと思われるにもかかわらず、右報告書では大きな言及はない。今や同人は、秋の大統領選挙における有力候補の一人にのし上がろうとしている。

このような混乱は、2011年度予算が未だに承認されていない状況の中で進展している。1月31日付centrasia.ruによれば、1月25日国会の法務委が「予算案は会計検査院の評価を要する」という理由でこれを突き返したためである。これを受けて、国会では予算の取り合い合戦が再燃した。1月29日にはイマシェフ財務相とママサリエフ社会保障相は自ら辞任している。
昨年の政変、民族騒動等のあおりでもう少しでデフォルトを起こすところだったキルギス経済は、今年も危ない橋を渡ることになる(1月31日付 centrasia.ru)。

アフガニスタンでの作戦のため、米空軍はビシケク近郊のマナス空軍基地を賃貸使用している。12月初めキルギスを訪問したクリントン国務長官はマナス基地の米軍を訪問し、「皆さんはここに無期限にいるわけではない」、「ここは3500名の軍人が毎日通り(ママ)、毎月1300万ポンドの貨物を中継し、年間1.17億ガロンの航空燃料を供給している」と述べた。アフガンでは米軍が毎日110万ガロンの燃料を消費しているが、うち70%は中央アジアから搬入される由。
上記「年間1.17億ガロン」の燃料は大きな利権なのだが、これがバキーエフ前大統領からババーノフ副首相に移行した(オトゥンバーエヴァ大統領の子息も一枚かんでいると報道されている)。これまで担当していたMina社という企業の手を離れ、ロシア・キルギス合弁のメガ・オイル社の担当となったのである。なおいずれも、ロシアのガスプロム系の参与を受けている(1月12日 centrasia.ru)。

(4)タジキスタン
タジキスタンの下院は1月12日、中国との国境確定条約を批准した。中国との国境問題は、1884年の清露国境協定で不明確な箇所があったために生じたものである(係争地は3カ所あり、面積は計2万8500平方キロで、タジク領の20%に相当)。1999年3カ所の係争地のうち2カ所について合意、Markans川周辺の400平方キロは中国のものとなった。2002年3番目のMurgab州に関する合意が成立、タジク領の0.8%に相当する1000平方キロが中国側に移ることとなった。だが、これは中国が要求していたものの4%に過ぎず、5000メートルの高地にある無人の地なので、本来はタジキスタンに有利な解決である(1月Jamestown等)。

しかし当時、キルギスと中国が同様の合意に達した際、アカーエフ政権は土地を中国に売ったとして売国奴呼ばわりをされることとなった。これを見たラフモノフ大統領は2002年合意の批准作業を先延ばしにしていたのである(1月14日付centrasia.ru)。今回タジクでの下院審議においては、野党は早速「領土の不可侵を定めた憲法第7条違反」であると批判を行った。国民の間でも、「中国に領土を売った」、「お偉方が代金をくすねた」、「沢山、資源があるのに、中国にくれてやるなんてもったいない」といったお決まりの声が出ている由(1月12日のBBC)。
なお、カザフスタンは中国との千平方キロ係争のうち407平方キロを、キルギスは数カ所計1100平方キロを中国側に渡している由。

この国境問題との関連も少しはあるのだろうが、この数年中国はタジキスタンに低利借款をつぎ込んだ。全融資額は約10億ドルに及び、道路近代化だけでもそれは2億5千万ドルに上る。タジキスタンのGDPは約50億ドルであるから、日本で言えば中国からの借款が100兆円積み上がっていることに相当する。
タジクの場合、中国からの融資の多くは道路、トンネル建設などのインフラ建設融資なのだが、中国の建設企業、中国人の建設労働者にその資金の多くは流れて、実質的には中国の内需拡大と同じ効果を発揮しているものと思われる。しかも11月30日付centrasia.ruによれば、中国道路社が6800万ドルの融資で建設中のチョルマグザク・トンネル(首都ドシャンベと南部の間を100キロ短縮する)は、粘土質のため両端で崩れ、工事に数ヶ月の遅れが出るようなことが起きている。

但し、対外債務累積額は昨年10月時点で約18億ドル、GDPの約32%相当で、未だ危険水域(40%超)にはない。しかも世銀、アジア開発銀行双方からの融資を合わせた約7億ドルの殆どは返済期間40年、年率2%の長期低利融資である。

タジキスタンは中央アジアの中で、中国からの借款に最も依存している。同じく経済的に弱いキルギスは、ロシアに対する依存度が大きいので、中国の借款漬けにはなっていない。中国がタジキスタンに入れ込む原因は不明だが、①中央アジア及びアフガニスタンにおける勢力拡大のための橋頭堡(ウズベキスタンは独立独歩の性格が強く、中国はもちろんロシアに対しても自己主張を貫く)、②アフガニスタンの銅(中国は大規模銅鉱山の利権を入手している)を将来運び込むための運輸路を確保する、などの目論見があるのではないかと思われる。

だがタジキスタンは借款については全方位外交を展開している。11月26日、ドシャンベでの上海協力機構首相会合の際、ラフモン大統領はプーチン首相と会談、近郊のアイニ空軍基地をロシア軍に無償で貸与する代わりにタジキスタンの電力開発(山間部の中型発電所建設)に投資して欲しいと持ちかけた(11月26日付centrasia.ru)。長年の懸案である大型プロジェクト「ログン・ダム」建設への協力を求めていないところが面白い。
そして12月7日にはミルレル・ガスプロム社長が来訪してラフモン大統領とも会い、Sarikamysh Shakhrinav(ドシャンベから36キロ南東)で旧ソ連では最深(6000メートル)の天然ガス探鉱を開始することで合意した由。埋蔵量は600億立米で、タジクの消費50年分に相当する(centrasia.ru)

(5)トルクメニスタン
トルクメニスタンについては、天然ガスの搬出先多様化(への努力)についてのニュースが多かったが、2009年4月にロシアによる引き取り量が激減して以来、基本的な構図に変化はない。2007年ガスプロムはトルクメニスタンから420億立米のガスを輸入して約60億ドルを支払っていたが、2010年にはその額は25億ドル程度に激減したと報道されている(11月2日、centrasia.ru)。2009年12月には、中国への天然ガス供給が始まったが、PS契約であるためにトルクメニスタンには現金があまり落ちないとされている(但し中国との間では2本目のパイプラインが完成し、年間輸送能力は昨年初の50億立米から150億立米に増加した由。最終的には年間300億立米の輸入をめざす――10月28日付centrasia.ru)。

11月2日、ロシアのズプコフ第一副首相が来訪して、経済貿易政府間委員会が開かれた。トルクメニスタン側はここで、ガスプロムによるガス輸入を2010年の100~110億立米ではなく、180億立米に上げるよう、強く要求した(11月2日、centrasia.ru)。
トルクメニスタンは、アフガニスタン、パキスタン経由のインド向けパイプライン(TAPI)、「ナブッコ」パイプラインを通って西欧に輸出するアイデアなどをぶち上げているが、いずれも早急には実現しにくいものである。

但し、1月14~15日にはEUのバロッソ委員長、エティンガー・エネルギー問題担当委員がアゼルバイジャンを回ったあと、来訪した。EUが両国の天然ガスへの真剣な関心を表明したものと解釈できる。トルクメニスタンの天然ガスをEU方面(ナブッコ・パイプライン)に搬出するためには、カスピ海底にパイプラインを建設しなければならないが、ロシア、カザフスタン、イランとの間で海底の境界線引きが合意できていないために、建設できずにいる。昨年11月のカスピ海周辺国首脳会議では、アゼルバイジャンとトルクメニスタンが係争海域については5カ国ではなく直接の紛争当事国の間だけの合意で開発ができるものとする、という妥協案を提示、他の3国も大きく反発しなかった経緯がある。今回来訪したバローゾ達も、右の両国案を支持する姿勢を示した由(1月Jamestown)。

こうして天然ガス輸出収入が激減したままで、ベルディムハメドフ大統領は難しい政策運営を迫られていると思われるが、そうとうかがわせる事件は起きていない。1月12日、ベルディムハメドフ大統領は大統領府長官(ホジャムハメト・ムハメードフと思われる)を更迭したが、その意味合いはまだわからない。これは同大統領就任後2度目の長官更迭と思われる。

ウィキリークスによれば、そのベルディムハメドフ大統領について現地米大使館は、「あまり利発でないが、嘘をつく名人である」との評価を米国に送っていた由(12月3日付けモスクワ・タイムス)。同じく右米大使館の電報によれば、ベルディムハメドフ大統領には2人の娘(それぞれロンドン、パリに在住)、1人の息子がいる他、ロシア人の愛人マリーナとの間に14歳の娘がいる由。そして夫人はロンドンでトルクメニスタンのガス公社事務所の所長をしている娘婿のところに、2007年以来同居している由(12月22日 Deutsche Welle)。この事務所はこのほど閉鎖されることになった。

ベルディムハメドフ大統領は、タジキスタンのラフモン大統領やキルギスのバキーエフ前大統領あたりと比べると縁故採用は少ないとされてきた。しかし実際には、同大統領の出身の地アハル州のテケ族の者に主要なポストの70~75%が配分され、西部のYomud、東部のErsari、マリ州のTeke族は軽視されたとして不満を強めている由(11月27日付centrasia.ru)。またニヤゾフ前大統領時代から大統領補佐官を務めるロシア系のヴィクトル・フラモフ、ヴラジミル・ウムノフ、アレクサンドル・ジャンダンは、石油ガス、イデオロギー、マスコミ、外交、教育を司り隠然たる影響力を行使している由(11月27日付IWPR)。

なお、イスラエルがトルクメニスタンに大使館を設置しようとして、イランの介入を招いているとの報道があった(12月15日付IzRus)。トルクメニスタンはイランと国境を接しているので、イランが警戒しているのである。

なお1月12日付Eurasianet.orgによれば、米軍、NATO軍機は02年ごろからアシハバードなどで、荷卸し、燃料補給を行っている(燃料税は免除されている)。Red Starエンタープライズ社なる企業がアゼルバイジャン、トルクメニスタンから、08年には7.2億ドル分の燃料をアフガンのバグラム空港に運送した由。
                                    (了)

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