GDPで日本を抜いた実感――中国人学生
中国がGDPで日本を抜いたことでわれわれは随分しょぼんとしているが、1970年代後半、日本がイギリス、ドイツとどんどん抜いて「世界二番目の経済大国」になった時のことを思い出してみると・・・それほど国内は沸いていなかった。むしろ人口が多いし、これだけ働いているのだから不思議じゃない、だが生活水準ではヨーロッパにかなうはずないだろう、くらいの感じで。実際、「日本人の住む家はウサギ小屋だ」と言われて、ごもっともと思っていたくらいだから。
今中国の若者はGDPで日本を抜いたことでどう思っているか? その生活感覚はどんなものか? 僕の友人の学生が感想を送ってきたので、その許しを得て掲載する。まあ中国も広いし、この学生は日本人の僕向けに書いているので、これが中国のすべてではないが。
――今度、中国のGDPは日本を上回りましたね。めでたいことですね。中国のメディアも、それとなくですが、自慢げに報道しております。故郷で高校の同級生と一緒に食いに行った時も、話題に上がりました。そこで一応日本滞在経験者として、専門家面をして日本でのことを話したら、みんな感激しました。さすがは先進国のことだの、うらやましいだのと。中には、さらに50年かけても、日本に及べるかいと嘆く者もおりました。
調子に乗ってさらにおしゃべりしようとしたところ、質問されました。お前、また留学に行くこともあるだろう、やばいよ。GDPが日本を上回った国の国民は、奨学金もらいにくくなるんじゃない? と。
そう注意された私はぞっとしました。そうか、これはわが身に来るいわゆる経済発展のしわ寄せというものか。それじゃ、これからは、世界二番目の経済大国の国民らしく、GDP相応に、しっかり節約してお金をためていこうと決心しました。
が、夕食を誘われた時、うまいものに目のない私はすぐ先の決心を放棄して、豪華な餃子料理を食うことにしました。いわゆるGDPは人間の、人間による、人間のためのGDPだから、ひとりの人間として、ことさら自分自身を苦しめるわけにはいかないのだと自らを慰めた次第です。
冗談みたいな話を申し上げましたが。しょせんはGDP、数字以上になんら意味なし、無理に意味づけてはいけないと存じております。
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